年が明けてしばらく経ちましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

毎年恒例の記事となりますが2025年の予想を振り返り、今年の予想を書いていきたいと思います。

・去年の答え合わせ

・今年の予想① Block社のBTC決済プロダクトが人気を博し、後続が増える

・今年の予想② 日本の資本規制が一層強化される

・今年の予想③ ソフトフォーク提案はないが、レイヤー2を利する改善が引き続き行われる

・おまけ:ビットコイン価格予想

去年の答え合わせ

早速、去年の記事で残した予想の答え合わせをしていきましょう。

2025年の予想と昨年の答え合わせ
2024年最後の記事では一年間を通して印象的だった出来事を振り返りました。 2024年の振り返り早いものでもう2024年も末となりました。今年も恒例の振り返り記事を書こうと思います。 今年はビットコインが4回目の半減期を迎え、アメリカではマイクロストラテジーがおびただしい量のビットコインを購入していたり、トランプ次期大統領の当選にも深く関わった可能性があるなど、どんどんスケールの大きな話になってきました。それと同時に、「通貨」としてのナラティブが「資産」というナラティブの影に隠れてしまい、今後その認識の違いが規制面などでビットコインの本質的なアダプションにとって困難を招いてしまうおそれも少し感じてしまうほどとなっています。 そんな1年を通して印象的だった5つのテーマを振り返ります。なお、2024年初の予想の答え合わせは来年最初の記事で行います。 ・「ビットコインL2」ブームが爆発 ・ライトニングより手軽なレイヤー2の模索が進む ・Bitcoin Tokyo 2024カンファレンスが開催 ・アメリカの存在感がさらに増大ビットコイン研究所加藤 規新 今日は毎年恒例となっている予想記事で

昨年の予想記事

日本国内でライトニングの普及が急速に進む→△

残念ながら日本国内でのライトニングの普及は急速に進んだとはいえません。私の見立てとしては、結局今も日本国内のいずれの取引所もライトニング入出金に対応できていないことが主な原因です。

もしBitbankが宣言通りライトニング入出金をリリースできていれば、今頃多くのユーザーがライトニングにアクセスできるようになり、そんなユーザー相手にライトニングで商売をする動きさえ出てきていたかもしれません。もちろん、そうなっていなかった可能性もありますが。

しかし、ネガティブなネタだけではありませんでした。決済手段にライトニングのみを採用するECであるUseBitcoinの売上は大きく伸びており、本稿でも何度も触れたようにSparkやArkadeなどノンカストディアルなライトニングウォレットの作り方がいくつか増え、特にSparkに関してはいくつかのウォレットで採用されはじめました。

Bitcoinとトラストを考える:トラストレスという理想の行方
Bitcoinにおける「トラスト」とは何かについて、その概念を整理しながら考察します。 初期のBitcoinが掲げていた、フルノード運用やセルフカストディを重視する姿勢がどのような背景から生まれ、どのように変化してきたのかについても振り返ります。

押川さんの記事内で、ライトニングウォレットとトラストモデルの変遷についてよくまとめられています。また、こちらの記事から関連記事へのリンクも豊富なので、ぜひご覧ください。

手前味噌ですが、ヤップアイランドを通して5000人以上のユーザーがビットコインを受け取ってくれています。この流れは来年へと続くでしょう。多くのユーザーが使うようになれば、逆に取引所での採用がしやすくなると嬉しいです。

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海外の、コンプライアンスを遵守している取引所でもライトニング入出金に対応できているのに、日本の取引所が対応できない合理的な理由が私には思いつきません。

日本国内でビットコインETF、税制改正などの話が急速に進む→◎

これは思ったより進みました(年末に駆け込みで進んだ印象があります)。大きく分けるといわゆる金商法の適用の話と、税制改正の話となります。専門外なので間違っているかもしれませんが、金商法の改正に関しては2027年から施行、税制の改正に関しては2028年からの適用という見方が主流のようです。駆け込みとはいっても、政府のスピード感はゆっくりですね。

まだ詳細が確定しているわけではなさそうですが、ビットコインの金商法適用によって決済手段や通貨としての利用が難しくならないことを祈るばかりです。税制についても、売却する場によって税率が変わったりする制度設計はいろんなことを非常にややこしくしてしまうと思います。日本人とビットコインの付き合い方にとってトータルでプラスなのかマイナスなのかは判断しかねるところです。(そもそもキャピタルゲイン課税の税率が増税される流れにもあるので、思うほど負担軽減にならない可能性だってあります)

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日本は一度、年々複雑化するいろんなルールを整理してシンプルにする期間を設けるべきだと思います…。

先進国のどこかでセルフカストディが事実上禁止される→×

このダーク予想は外れてよかったです。現時点では個人のセルフカストディが禁止されている先進国はなさそうです。ただし、いわゆるVASP/CASPに対するAML関連の規制の締め付けは特にヨーロッパで強化されました。

上場マイニング企業の倒産がついに再開→×

これは大外れした予想で、むしろ上場マイニング企業がデータセンターを活用して上場AIデータセンター企業へとピボットした例が多くあり、そこそこ株価が上昇しているものもあります。マイニングの収益性はかなり下がっており、BitmainのASICが定価で売れないくらいマイナーが厳しい状況に置かれているというニュースも流れていましたが、少なくとも上場マイニング企業はAI転身により資金調達ができているようです。

ニュースはこちらからお読みいただけます(Yahooファイナンス英語版)

おまけ:ビットコイン価格は7~12万ドルのレンジ→◎

あまりにもドンピシャすぎてびっくりしました。ただ、根拠として挙げたすべてがバブルすぎる相場は継続しており(特にAI関連がすごかったですね)、インフレも世界的に再燃しているというよりは日本だけひどい状態で、価格が落ち着いていたのはもはやビットコインくらいだったという不思議な展開でした。

とはいえ年末にかけて貴金属など一部のコモディティが上昇したのはこれからくるインフレを知らせているのかもしれません。

今年の予想① Block社のBTC決済プロダクトが人気を博し、後続が増える

昨年末にBlock社がアメリカでリリースした、Square端末でのビットコイン決済プロダクトが人気を集めるでしょう。具体的には、2026年はビットコイン決済が増えるというよりは、売上のうち最大50%を自動的にビットコインに変換できる機能に期待しています。

米ブロック社(Block, Inc.)の戦略|ビットコインを「日常的に使える通貨」へとする挑戦
ジャック・ドーシー率いる米ブロック社(Block, Inc.)のビットコイン戦略を徹底解説。主力サービスCash AppやSquareを用いたビットコイン決済普及活動、マイニングやハードウェアウォレット開発まで担うエコシステムの全貌とは。

ビットコインが「価値の保存」から「交換手段」へと変貌していくメカニズムの1つに「ビットコインがほしいから、受け取りたい」という売り手側の需要があります。(特にアメリカでは)広く価値の保存手段として認知されているので、Squareのこの機能はけっこう人気が出るんじゃないかと思っています。

実際にニーズが多いとなれば、二匹目のドジョウを狙う決済企業がどんどん出てくるでしょう。残念ながら、日本では交換業規制がハードルとなってSquare決済を導入していてもこの機能は使えません。

今年の予想② 日本の資本規制が一層強化される

日本ではインフレが継続しているにも関わらず日銀と政府は利上げを渋っていますが、通貨防衛のためにさらに利上げせざるを得ないでしょう。もはや、利上げしても円安が改善しないリスクを考えるべきタイミングだと思います。とれる対策は財政支出の削減(社会保険料の削減)、増税、そして円からの逃避を制限することですが、前者は政治的に難しく、増税余地も限度があります。

すると円を売って外貨を買うフロー、つまり外国に向かう資金の流れを止めることが必要になり、資本規制を強化することになりそうです。これは例えばNISAから外国株を除外したり、極端な例では外国への資金持ち出しの制限になります(例えば中国にはそのような制度があります)。

日本はすでにある程度の資本規制によって国民を囲い込んでおり、例えば外国の大手証券会社に日本から口座開設するのは難しかったり、もっと身近な話でいえば海外の仮想通貨取引所を排除したりオンラインカジノをブロッキングしています。表向きの目的はユーザーの保護ですが、実態は課税対象資産の把握だったり資金の流れの透明化(マネロンや脱税の対策)でしょう。

その流れにおいてビットコインのような無国籍資産がどう扱われていく可能性があるかは意識して、セルフカストディで保管したほうが良いと思います。読者の皆さんは中国でビットコインがどういう扱いになったかはご存じでしょう。

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当然ですが、仮に資本規制で無理やり壁を作ってもお金の流れは止められず、いつかは決壊すると思います。

今年の予想③ ソフトフォーク提案はないが、レイヤー2を利する改善が引き続き行われる

コベナンツ、あるいは量子耐性に関して、次のソフトフォークになりうる技術についての議論はずっと地道に進められています。今までもソフトフォーク提案というのはとても勇気が必要なことで、例えばJeremy RubinはOP_CTVを提案したら猛反発にあってビットコイン開発をやめてしまいました。

OP_CTVとソフトフォーク導入方法
先週は寄稿をお休みさせていただいたので前回から間隔が空いてしまいましたが、その間にビットコインの世界は一大論争が巻き起こっています。本稿でも何度か登場している独創的なビットコイン開発者、Jeremy Rubin氏が自身の提案するOP_CTVという機能のソフトフォークによる導入をSpeedy Trial方式で目指すと発表したのです。 ところが同じくSpeedy Trial方式で導入されたTaprootと異なり、まだユーザーやビットコイン開発者の中でOP_CTVに対して広く支持が得られていないこと、Speedy Trial自体がソフトフォークの導入方法として好ましくないことが意見の対立につながっています。 今日はOP_CTVの概要と論争となっているポイントを整理し、個人的な意見も交えながら現在の論争がビットコインの将来にどのような影響を与えうるかを考察します。 TAPROOT導入時のおさらい Taprootの導入にあたって、2017年にユーザーの大半が支持したSegwitの導入にマイナーが抵抗したことを踏まえ、導入に際してマイナーに依存しないソフトフォークのアクティベーション方法

去年印象的だったKnots論争はこの傾向をより強くしたと思います。SNSを見れば一部のBitcoin Core開発者にとてつもない量の誹謗中傷や人格否定の意見が溢れていました。ビットコインに少しでも気に入らない変更が加えられそうになると袋叩きにするキャンセルカルチャーが一部のビットコインマキシの間で受け入れられていることは、ビットコインの改善にとってもハードルとなってしまいます。

2026年に正式に、広く受け入れられそうなソフトフォーク提案が行われることはないでしょう。ただし、メモリプールポリシーの改善など、Arkをはじめとする多くのレイヤー2を利する小さな改善は引き続き行われていきます。

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もちろん、理解できない変更に反発する文化がビットコインを守る側面もあります。ただ、往々にして一番燃えるのは大したことない変更だったりします。

おまけ:ビットコイン価格予想は7万~12万ドルのレンジ

来年特別盛り上がる理由が思いつかないので、今年とあまり変わらないレンジでしょう。下限は一応根拠があって、以前のサイクルの最高値付近、最新の最高値から半値あたりが意識されるかなと思っています。世界中の金融相場が崩壊したらそこでは止まらないと思いますが、毎年予感している割に全然崩壊しないので半ば諦めています。

上限は大した根拠ではありませんが、ビットコインETFやトレジャリー企業の存在によって、以前より最高値を突破しにくくなっていると思うので最高値付近に設定しました。ぶち上げてほしい気持ちもありますが、そのためにはぶち下げる必要もあるのかなと思います。本当はトレジャリー企業がビットコインを吐き出すような展開で現物投資が見直されてほしいですが、それもなかなか難しいところがあります。

それでは、今年一年もどうぞよろしくお願いいたします!