バイナンスチェーン・バイナンススマートチェーンの仕組みと狙いについて、簡単な解説
さて、ここのところ一部で注目されているバイナンスチェーン、バイナンススマートチェーンについて、簡単な解説と戦略について説明したいとおもいます。
バイナンスチェーン
まずバイナンスチェーンから。
バイナンスチェーン(以下BC)は、バイナンス社が運営するセミパブリックチェーンです。セミというのは、トランザクションの承認をする11のバリデータをすべてバイナンスガ運営しているからです。其の代わり、トランザクションの発行やチェーンの閲覧だ誰でも出来ます。形式としてはリップルのネットワークとほぼ同じです。
ブロックタイムは0.5秒で、秒間数千〜万のトランザクションを処理できるとされていますので、性能のよいチェーンです。技術的には、Cosomos(Tendermint)のSDKを使ってつくられています。
エキスプローラーは下記になります。かなり高速でブロックが生成されており、エクスプローラーの表示が間に合ってない(笑)のがわかります。
BCの狙いは2つあります。
- 誰でも自由にBC上でトークンを発行し、DEXにリスト出来る
- BSCや他のDefiシステムへのゲートウェイになる。
トークン発行&リスト機能
BCではいくつかのトークン規格があります。BEP-2、BEP-8、BEP-20などです。詳しい説明は省きますが、
BEP-2・・バイナンスで取り扱っているコインのペグトーン
BEP-8・・ユーザーが簡単に作成できるミニトークン
BEP-20・・バイナンススマートチェーン用のトークン
といったところです。
バイナンスチェーンでトークンを発行するには、単に勝手にコマンドを打てば発行されます。たとえば、下記は、Bigsotne Token(笑)を発行するコマンドです。所定のBNBの手数料がかかります。(手数料ですが、およそ3万円くらい)
./bnbcli token issue --token-name "Bigstone Token" --total-supply 100000000000000000 --symbol BSTONE
ほかにも、Mint、Burn、Token Freezeなどの機能があります。こうした機能はスマートコントラクトではなく、チェーンの内部の機能として実装されており、クライアントからコマンドを打つことで実行することができます。
さて面白いのが、BinanceDEXへの上場コマンドがあることです。BinanceDEXは、BC上で動いており、BEP-8というトークンタイプでは無審査で上場することができます。下記が其のコマンドです。
./bnbcli dex list-mini -s=$mini-token-symbol --quote-asset-symbol=BSTONE --init-price=1000000
といった具合です。こちらも手数料がかかりますが、誰でもリストできるということです。
これがBCの主な機能です。基本的なDefiの機能がそろっており、バリデータをBinanceが独占していることを除けば、普通にDefiのチェーンであるといえます。
ドキュメントリンク https://docs.binance.org/
BSCや他のDefiシステムへのゲートウェイになる
BCの2つめの狙いは、ゲートウェイです。これは他のDefiなり、クロスチェーンDefiなどへのゲートウェイをBCが担うということです。
BCでは、バイナンスに上場されているトークンであれば、すべてペグトークンが発行されています。バイナンスをカストディとして、その預りを担保に、バイナンスチェーンにトークンを出金することができます。
たとえば、BTCBは、BTCのバイナンス版カストディアルトークンです。同様にBC版の、BCHや、EOSやTRON、LTCなど、すべての取り扱いトークンでカストディアルトークンをすでに出金することができます。
さて、いままでこのカストディアルトークンの使いみちというのがさしたるものがなかったのですが、Defiとクロスチェーンによって、用途が広がる可能性が有ります。
バイナンスのカストディアルトークンの使いみちは2つです。
- バイナンススマートチェーン(BSC)で使う
- Cosmos-Hub(IBC機能)を通じて、コスモスエコシステムで使う
です。
バイナンススマートチェーン
バイナンスチェーンに出金したトークンは、後述するバイナンススマートチェーン(BSC)に送ることができます。すると、BSC上につくられたイーサリアムDefiのコピペアプリの上でトークンがつかえるようになるのです。
バイナンススマートチェーンは、プライベートチェーン版のイーサリアムです。イーサリアムがマイナーによるパブリックなPOWで動いているのに対して、BSCはバイナンス保有の21のヴァリデータによるPOSに切り替えて高速化しています。ですので実態はプライベートチェンですが、アクセスは誰にでも開放しています。また手数料も格安です。ETHのかわりにBNBを手数料支払いに使います。
機能ですが、ヴァリデーションの部分が中央集権化しているのを除けば、機能はイーサリアムとまったく一緒です。まったく一緒というのは、コードをそのままコピペすれば動くということです。アドレスの形式までまったく一緒です。メタマスクをBSCに繋いでつかうことすらできます。
BSCで作られたコピペアプリにCREAMというのがあります。イーサリアムで展開していたCREAMというDefiをそのままBSCにコピペしました。
BSC版のCREAMの特徴なのですが、LTC、XRPといったコインがつかえることです。イーサリアム版では、イーサリアム内のERC20トークンは多数あつかえるのですが、それ以外のLTCやXRPといったコインは扱えませんでした。イーサリアムの内部にそれらのトークンを持ち込む手段がなかったからです。
BSCでは、バイナンスに上場しているコインであればなんでも、バイナンスのカストディにより、BSC内に持ち込むことができます。
ですので、LTCやXRP、EOSといったトークンをDefiの担保に使うということができるようになっています。
BSCの特徴をまとめます。
- イーサリアムにない多様なトークンが使える
- 手数料が極めてやすく、高速
今後どれだけのイーサリアムのアプリがBSCに引っ越ししてくるかはわかりませんが。移行コストはゼロですし(単にコードをコピペしてデプロイしなおせばよいだけ)、失敗してもなんら問題ないので、もしかしたらイーサリアムと並行してBSCでもDefiが展開するのが普通になるかもしれません。リスクはありませんし。
コスモスエコシステムへのペグ
BSは、Cosomos-SDKをベースに開発されているとかきました。となると、年内にもアップデートが予定されていりIBC(インターブロックチェーンプロトコル)が利用できるようになります。
すると、バイナンスチェーンと、他のコスモスベースのチェーンが相互運用可能になります。
コスモスエコシステムでもいくつかのDefiがたちあがっています。
Kava・・・MakerDAO、AMM
Thor Chain・・・DEX
BAND・・・オラクル
Ethermint・・・イーサリアムクローン
こうしたコスモスのチェーンにとっては、バイナンス経由で生成されたペグトークンを利用するのはとても便利で合理性があります。つまり、バイナンスガ、コスモスエコシステムに対してのカストディ、コインペグのゲートウェイのような位置づけとして機能する、ということが考えられます。もちろんカストディアルではない方法でコインをペグする方法も将来的に進むと思いますが、最初の段階で、バイナンスというかなり信用のある主体が保証するトークンをつかえるのは、コスモスエコシステムにとっては、Win-Winな展開でしょう。
まとめます
バイナンスチェーン(BC)
- 誰でも自由にBC上でトークンを発行し、DEXにリスト出来る
バイナンススマートチェーン(BSC)
- バイナンスが運営するプライベート版イーサリアム
- イーサリアムにない多様なトークンが使える
- 手数料が極めてやすく、高速
バイナンスの狙い
- バイナンスをペグトークンのゲートウェイとして、他のプラットフォームにペグコインを供給していく
- それらを通じてBCのネイティブトークンであるBNBの価値を上げていく
以上です。(大石)
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