ハードフォークとは何か?ビットコイン・モナコインの事例でわかる仕組みと危険性を徹底解説
ここのところ「ハードフォーク」という言葉をよく聞くとおもいます。
ビットコインが、ブロックサイズ問題をめぐってハードフォークするといった話がでて、価格急落につながったのは先月の話です。
そして、今月は、国産仮想通貨のモナコインがハードフォークを敢行します。
ハードフォークとはいったいなにか?
何が問題になるのか?
安全なハードフォークと、危険なハードフォークとは?
ハードフォークに失敗した場合の最悪の事態とは?
といったことを誰にでもわかるように解説したくおもいます。
<目次>
ハードフォークとはいったいなにか?
ソフトフォークとハードフォークの違い
ハードフォークの何が問題か?
ビットコインでハードフォークがおきるとどうなるか?
ハードフォークは危険か?モナコインの事例
ハードフォークとはいったいなにか?
まず、ハードフォークとは何かという基本を抑えましょう。
ビットコインなどの仮想通貨をすこしでも勉強したことがある方は、ブロックチェーンの仕組みについては理解していると思います。
ブロックが一本鎖になって続いている。途中で不正な分岐しようとしても、51%のパワーがなければ出来ない。これが理解されていることだと思います。
しかし、51%のパワーがなくても分岐することあったら・・
これがハードフォークです。
フォークというのは、分岐のことです。皆さんご存知の、スプーンとフォークのフォークのことです。語源を知ると、何だという感じですがw 同じ綴で同じ意味です。
つまりフォークの先端は分岐してますよね。そういう意味で、ブロックチェーンが分岐することを言います。
ハードというのは、完全に分岐してしまう、互換性がないといった意味です。ハードフォークのイメージは、あるブロックを境にして、ブロックチェーンが2つに別れてしまい、それぞれは決して互換性がなく二度と交わらないといったイメージです。
なんでしょう。パラレルワールドのように、コインの世界が2つに分岐して、それぞれが別の未来を歩み出す、みたいなイメージがたぶんいちばんつかみやすいと思います。
ソフトフォークとハードフォークの違い
ハードフォークとの違いにソフトフォークというのがあります。
もともと、フォークという言葉は、ソフトウェアの開発の用語で、なんらかの要因で仕様が変更されるとき(分岐がおきるとき)に使われる言葉です。
ハードとソフトの違いは、こちらのブログの図がわかりやすい
https://bitcoin.stackexchange.com/questions/30817/what-is-a-soft-fork
ソフトフォークというのは、将来に対して互換性があります。
新しいソフトウェアは、古いソフトウェアに含まれます。これは、新札の発行に似ています。たとえば、お札の偽造が増えて、最新の透かし技術を導入した新ドル札を発行したとしましょう。
こうした場合、旧ドル札も引き続き有効ですが、新ドル札はより狭い範囲でより厳格な条件をもったものになります。つまり透かしが入っているというより、狭い条件が課せられます。これが、上記の図になります。oldという部分は引き続き有効ですが、より厳格なnewの部分ができる。
そして、newのほうが安全だということで、newが広まっていくことが望ましい。つまり、いずれ新札に切り替わって、古いお金は使われなくなる。これが、ソフトフォークです。
これに対して、ハードフォークは、互換性が全く無い。
言ってみると、これは新ドル切り替えに当たります。ある時から、昔のお金は無効だといわれるようなものです。日本でも戦後に旧日本円はつかえなくなりました。預金が封鎖されて、新円に切り替わったのです。ある日を境に、旧円が使えなくなります。(実際の新円切り替えの場合は猶予期間があったでしょうが)
この新円切り替えに相当するのが、ハードフォークと考えるとイメージが付くのではないでしょうか。
ハードフォークは何が問題なのか?
では、ハードフォークは何が問題なのでしょうか?
どういう場合に混乱がおきるのでしょうか?
もちろんハードフォークでも、一斉にすべての人が、新しい仕様に合意して切り替えることができれば、何の問題も起きません。
例えば、新円切り替えでもそうですし、昔、ヨーロッパのひとは、それぞれの通貨を廃止して、ユーロに切り替えました。これもハードフォークだったわけですが、スムーズに言ったわけです。
これは、国が強制力をつかって、いつから切り替えるとして、全員がそれに従う(従わざる得なかった)からですね。
では、ハードフォークが混乱する場合はどういうときでしょうか?
もうちょっと混乱の状況をイメージできる比喩をします。
通貨が複数使われている状況です。
たとえば、ギリシャが崩壊して、ユーロから、旧貨幣であるドラクマに戻ったとしましょう。ハードフォークです。ニュードラクマが発行されて、そちらを使うように政府は推奨します。
しかし、一方で、ユードラクマなんて嫌だ、ユーロのまま持っていたいという人もいます。ギリシャ国内でもドラクマを信用せず、そのままユーロしか受け取らない商店などもでてくるかもしれません。
これがまさにハードフォークで、それぞれの仕様が混乱して使われているような状況です。
ドラクマとユーロは互換性がありません。もちろん両替はできますが、それぞれ別の通貨です。
そういえば、私がいま住むベトナムも10年前まではハードフォーク状態でした。いまでこそベトナムの通貨はドンで統一されていますが、私が初めてベトナムに言った10年以上前では、ホテルやお土産物屋ではドルしか通用せず、ローカルのお金(ドン)を受け取ってくれなかったのです。外貨を稼げる商売のひとは、ドルだけを信用していたのですね。
一方で、ローカルの食堂などでは、ドンも平行して流通しており、公務員はドンで給与をうけとっていました。
こういう国は今でもあります。カンボジアがそうで、いまでもほとんどの場所でドルが通用します。ローカル通貨のリエルというのがあるのですが、ドルを渡してお釣りがリエルでくるという具合で、1ドル以下のお釣りとして利用されているという状況w。
ビットコインでハードフォークが起きるとどうなるのか?
では、ビットコインなどの仮想通貨でハードフォークが起きるとどうなるのでしょうか?
先ほどの比喩のとおり、文字通り別の通貨になってしまうのです。
旧ビットコインと、新ビットコイン。
互換性はありません。ウォレットも、マイニングも互換性がない。当然、別の通貨なので、取引所も別々に扱うことになります。
ビットコインで提案されたハードフォークは、ブロックサイズをめぐるものでした。
従来ビットコインのブロックサイズは、1ブロックあたり1Mバイトというものです。これが、ビットコインXTという仕様が発表され、8Mから8Gバイトまで拡張するという提案がなされました。そして、これの採用は、マイナーの自由裁量となったわけです。
しかしこれには根強い反発もあり、仮に、一部のマイナーがこれを採用し、残りのマイナーは従来の仕様を使い続けた場合、ビットコインがハードフォークするということが危惧されたわけです。
(現在はXTは支持を失い、ハードフォークの危惧はなくなりました。ただブロックサイズ引き上げの議論は続いており、コンセンサスを得られた時点で、新円切り替えみたいなことになるでしょう)
ハードフォークは危険か?モナコインの事例
ハードフォーク自体は危険ともいえますし、そうでないともいえます。
通貨の例でもいいましたように、ほぼ全員の合意がとれて、みんなが一斉にアップデートすれば、全員があたらしい仕様に移行するので、フォークしても混乱はおきません。
しかし、フォークをめぐって、意見が対立する場合、(まさに分岐ですが)、このときに、お互いの調整がつかずに、それぞれが、独自の仕様を採用すると、分岐が起きてしまいます。
現在モナコインでもハードフォークが提案されています。
モナコインの場合は、マイニングアルゴリズムを変更するというハードフォークが提案されています。
モナコインは、Scryptというマイニングアルゴリズム(ハッシュ関数)を利用していました。これはライトコインなどと一緒のものなのですが、これを、"Lyra2REv2"というものに変更するという提案です。
これは互換性のないハードフォークです。Scryptをつかって発掘されたブロックと、Lyra2REv2をつかって発掘されたブロックの間では互換性がなく、それぞれがお互いを承認しません。よって別のコインとみなされるわけです。
モナコインの場合は、開発者のwatanabe氏によって、これが提案されて、45000ブロック移行、新しい仕様をつかうことが推奨されています。
もちろん推奨だけなので、マイナーや、取引所、ウォレットなどがすべてこれに対応しない場合は、移行がされません。現在、以降が呼びかけられています。
私はモナコイン界隈の事情には精通していないので、どういう力学がはたらいているのかはっきりとは述べられませんが、どうやら概ねのひとが賛成して、45000ブロック以降は新しいコインを使う人が多数派になると予測されています。
さて、ハードフォークとはなにか、ソフトフォークとの違い、ビットコインとモナコインの事例といった話をしました。
今回は、わかりやすくするために比喩をつかって、技術にくわしくないかたもイメージできるように書きました。
次回はもう少し突っ込んで、実際にハードフォークでは、ブロックチェーンにどういうことが起きるのかというのを追ってみたくおもいます。
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