アルトコインはすべて、ビットコインよりも「遅い」
ビットコインでは、6確認がおわればほぼチェーンがひっくり返されることはないとされています。最も保守的な取引所であっても6確認で入金をOKしています。2確認程度でも入金をOKしている海外取引所も多く有り、それだけチェーンがひっくり返るリスクはすくないと考えているということの現れでしょう。
さて、アルトコインの中には、ビットコインよりも早いということを売りにしているものが沢山あります。ビットコインのブロック生成は10分ですが、1分であったり、30秒であったりと、短いブロックタイムを売りにして、ビットコインよりも高性能であると主張しています。これは本当でしょうか?これに関して、先日のレポートで、加藤さんが触れていた、「ビットコインで二重支払い防止の待ち時間として安心とされる6ブロックと同じ電力量が費やされるのに各チェーンでどれだけの時間がかかるか」というサイトが面白いので、ここから引用します。https://howmanyconfs.com/
ビットコインで6確認のチェーンをひっくり返すため掛かるコストがあるとします。そのコストは具体的には明示できていませんが、仮に100億円としましょう。100億円をつかって不正なブロックを掘ることで、6確認をひっくり返すことができるという意味です。さて、ではアルトコインにおいて、同様に100億円をつかって不正なブロックを掘ったとしたら、どのくらいまでブロックをひっくり返すことができるのでしょうか?
ビットコイン・・6確認、60分
イーサリアム・・・1029確認、3時間49分
ドージコイン・・・809確認、14時間9分
ビットコインキャッシュ・・・367確認、2日と3時間
ビットコインSV・・・1390確認、9日と59分
といった感じです。
つまり、ビットコインの1確認と、他のコインの1確認では掛かっているコストが全然違うのです。ビットコインキャッシュは、ビットコインより性能がよいことを売りにしていますが、同じだけのセキュリティを担保しようとすると、取引所は367確認またなくてはいけません。2日と3時間です。つまり、入金まで2日またないと、ビットコインと同じくらいセキュリティが高いとはいえないわけです。
同様にビットコインSVとの場合は、なんと9日間です。つまり、一定のセキュリティを基準にした場合、アルトコインはビットコインよりも何倍も遅いということになるわけです。以前にもたびたびアルトコインへのアタックがありました。ETCやモナコインが大規模な再編成を食らったのは記憶にあたらしいとおもいます。そのとき取引所は、入金完了までの確認数を大幅に上げて対処しました。安全だと考えられる確認数が増えてしまえば、入金までの時間はビットコインよりも長くなってしまったのです。
POSのセキュリティはどうなのか?
では、最近やはりのPOSの場合はどうでしょうか。POSといってもいろんな種類があるのですが、Cosmos(Tendermint)や、Polkadot、EOS、Ethereum2.0、Polygonなどが採用しているタイプのPOSを想定します。これらのPOSは、1ブロックでファイナリティが得られ、ブロックが覆されることはありません。ですので、取引所としては最速1ブロックで入金をOKとしてもダイジョブです。
たとえばCosmosの場合は、ブロックタイムが7.5秒ですので、7.5秒で入金することができます。となると、たしかに非常に高速であるといえます。POSの売りである高速性とセキュリティを同時に満たしているように見えます。死角はないように見えますが、どうでしょうか?POSは、ネットワークの1/3のコインを一つのバリデータが支配すると、チェーンを停止させることができます。つまり、攻撃に必要な閾値は、33%です。すべてのコインの33%が一つのところに集まってしまうということはそうそうないように思えますが、よくよく考えるとそうでもありません。
以前書いたレポート「イーサリアムはすでにバイナンスに支配されている」で分析しましたが、取引所で管理するコインの数が増えるにつれて、下手をすると一つの取引所が33%以上のコインをあつめてしまう可能性は十分有ります。そうなるとチェーンを停止させることができます。POSの攻撃がPOWと決定的に違う点は、33%以上のコインをあつめて攻撃したら最後、永久にチェーンを停止させることができるという点です。POWの場合、51%攻撃を続けるためには、未来永劫に攻撃のためのマイニング費用を電気代として支払い続ける必要が有ります。一方でPOSの場合、一旦33%を超えたら、その後はノーコストです。この点はあまり知られてないのではないでしょうか?POSコインの中にはそもそも運営者が33%以上を始めから持っているようなコインもあり、そのコインの場合は、いつでも運営がネットワークを未来永劫停止させることができてしまいます。
分散性とは?
ビットコイン、アルトコイン、POSのコインのセキュリティについて簡単にお話しましたが、話は簡単ではないということがお分かりになるかとおもいます。ちょうどKojiさんも、分散という言葉の形骸化について話されていましたが、よくよくこういうことを考えてみる必要があるとおもいます。以上です。(大石)
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