メリークリスマス!と言ってももう深夜になってしまいましたが、今日は自分はbitFlyer加納さんをゲストにした放送などで盛り上がっていました…。

さて、自分の方からは年始に研究所内でしたビットコインに関する予測の答え合わせ、一年の総括をしようと思います。なお、今回の振り返りポイントのトピックや技術の多くは、日替わりコラムで詳細を解説しているものも多いので、各トピックをもっと詳しく掘りたい方は過去のコラムをご活用ください。

年始の予測レポート↓

121 ビットコイン研究所&Token Lab 2019年年始予測レポート
今年も例年通りビットコイン研究所では暗号通貨業/ブロックチェーン業界に関して年始の予想をします。そして年末に一年の振り返りも含めて、予想が果たして当たっていたのか、間違っていたならなぜか、という振り返りをします。 当然全てが当たるはずもなく、例年大きく外す部分も少なからずあります。それだけこの業界はまだまだ変化が激しく、どのコイン、プラットフォーム、プロジェクトが生き残っていくか、トレンドがどのように変化していくか、半年以上先は読むのが難しいのが率直なところです。ただし、それでも現時点で1年を見通してどのようなトレンドが来るのか、まだ表面化していない課題は何なのか(18年で言えば…
LIGHTNING NETWORK
  • ウォッチタワー、AMPなどの重要基本機能が今年中に実装される(大石)⇒〇

    実装してリリースまで行ったものは全てではないですが、ちょうど年末にAcinqが新しいPhoenixというLNのモバイルウォレットをリリース。そこにAMPが搭載されたり、他にもチャネル開設の1承認必要なしでLNの使用が開始できるTurbopaymentなども追加され、重要基本機能の多くは実装、ウォレットに追加され始めています

    年始の大石さんの予想通り、LN関連の機能実装のスピードはセカンドレイヤー上で自由に開発が出来るので想定より早いスピードで今年も来ています。

(Phoenixについては年末年始色々いじったりして、面白い部分があれば後日もう少しちゃんと解説します)

  • ゲームなどの応用が出てくるが、キラーアプリは出てこない(大石) VS キラーアプリの片りんが見えてくる(東)

    今年はLN関連のゲームが複数、チップボットと広告を組み合わせたLNtxbot,、LNのマイクロペイメントを利用したペイウォール、Radarが開発したLNを利用したトークンスワップツール、日本のNayutaはIoTと組み合わせるLN用の開発ボードをリリース、など多数の応用、事例が出てきました。

    その点ではアプリの種類は増えましたが、まだ「これだ」というキラーアプリの片鱗が見えるところまでは来てないように見えます。こういうのが見えてくるのはやはり上記の重要基本機能が実装され、ウォレットなどに乗った来年以降になりそうですね。
  • モバイルウォレットの充実とユーザビリティーの改善(東)⇒〇

    これは予想はそこまで難しくなかったですが、今年はLightning LabsのNeutrinoウォレット、イスラエルのBreezなど多数の新LNモバイルウォレットがリリースされ、LNユーザビリティーは大きく改善しました

    Neutrinoの場合はAutopilotという機能を使って、自動的に接続すべきノードやバランスを裏で設定してくれる、というのがUX改善の大きなポイントです。

    Breezは特にUI/UXにこだわっているウォレットで、また新規ユーザーには一部無料でチャネルの構築費用を肩代わりしてくれていたり、この一年でLNのユーザビリティーは一般の仮想通貨ユーザーが使えるレベルに段々近づきつつあります
  • 取引所でのLN実装はまだ起こらない(大石) vs 取引所でLNの統合が始まる(東)

    Bitfinexが先日LNを利用した入出金に対応しましたね。ユーザーのLN利用はまだかなり限定的だと思いますが、新しいビットコイン取引所のユーザー体験に触れられるようになり、来年はLN対応をする取引所がさらに増えてくると思います。
LIQUID
  • 今年中にLiquidをつかった業務プロセスの効率化が始まる(大石)&取引所間でアービトラージをする一部トレーダーが使い始める(東)⇒×



Liquidは今年はTetherに対応、またSecurity Token発行プラットフォームのリリースなどがありましたが、取引所での利用、業務プロセスの効率化、と言えるレベルまでは今年は到達していません

すでにBitfinexなどは対応していますが、取引所にとってLiquidの対応はまだあまり優先度が高くないようで、Binanceやその他の大手もLiquidに対応してプッシュをしないと中々利用は増えなそうです。予想以上にLiquidの利用に関しては渋い形になりました。

  • Liquidは、プライベートチェーン、プライベートチェーンとパブリックチェーンの接続や相互運用の議論に一石を投じる(大石)⇒△

    Liquid上のセキュリティトークン発行、Tether対応などは、確かに果たしてこれらのユースケースはパブリックでやる必要があるのか、パブリックチェーンにつながるコンソーシアムチェーンの必要性の示唆などはありましたが、仮想通貨、ブロックチェーン界隈全体で大きな議論に発展、とまではいかなかったかな、と思います。ここら辺はLiquidの利用が増えないことにはそういう話はまだ出ないでしょうね。
  • サイドチェーンはLiquid以外にも複数立ち上がってくる(大石)⇒×



Liquid以外のその他のサイドチェーンの立ち上がりもまだなかったですね。一応イーサリアムをビットコインのサイドチェーンに移植したRSKなどが昔からありますが、こちらの利用もまだ今年はほとんどない状態です。

サイドチェーンの利用や議論は今年はまだそこまで盛り上がらず、その代わり中盤くらいからLibraなどのPermissioned型のコンソーシアムチェーンに移っていってしまった印象です。

  • 決済やトークンプラットフォームとしての取引所外でのLiquidの利用は今年はまだ限定的(東)⇒〇

    上記説明した通りですが、Liquidの利用は全体的にまだかなり限定的で、トークンプラットフォームとしての利用もまだほぼないです。
ビットコインキャッシュ(BCH)、BITCOIN SV(BSV)
  • ネットワーク分裂後の状況は厳しい。決済ネットワークとしての利用が進まない(大石&東)⇒〇


    価格的に見ても

    BCH年始価格 0.04btc ⇒BCH年末価格0.025btc (-37.5%)

    BSV年始価格 0.022btc⇒BSV年始価格 0.011btc(-50%)

    という感じで対ビットコイン比で大幅に下落しています

    ちなみに同じタイムスパンでEtherは対btc比約50%下落しているので、その面ではBCHは案外検討していると見ることも出来るかもしれませんが…。

    ちなみにbitinfochartsによれば、平均してBCHはTx数はBTCの10分の1程、BSVはここしばらくBTCよりトランザクションが多い状態が続いています(添付画像①)



ただし以前コラムでも紹介した通り、Tx手数料が安いチェーンのTx数は簡単にBotなどを使ってかさ増しすることが出来るので、Tx数での比較で、実際の利用度と需要の比較はすべきではありません。

自分が把握する定性情報的にも、BCHとBSVの実利用はほぼなく、価格的にもビットコインに対して低迷した厳しい年だったと言えるのではないでしょうか。

また来年にはそれぞれコイン供給量が半減する半減期が控えており、来年以降もビットコインのフォークコインは厳しい局面が続くと自分(東)は予想しています

ビットコインの課題
  • 機関投資家が入ってこれる環境が出来るか。Bakktなどの現物の受け渡しが可能な先物市場のスタート、機関投資家むけのカストディサービスの整備(大石)⇒〇
  • ETFの認可は今年はまだ難しい(大石)⇒〇

    Bakktは今年の後半にようやく始まり、最初は取引高もパッとしませんでしたが、着実に取引高、存在感を高めています(添付画像②)


ビットコインETFは結局まだでしたね。まあこれはもうずっと言われていて中々永遠に実現しないビットコインの毎年の風物詩みたいなものです…。

  • エンタープライズでの応用などが少ない。企業での採用の差がさらに開く可能性(東)⇒〇


    具体的な採用企業数などは定かではないですが、自分が把握している限りではビットコインのエンタープライズの利用は今年もあまり広がっておらず、企業はむしろイーサリアムからコンソーシアムチェーン、またCosmosベースの相互互換性を持った独自チェーン開発(BinanceのBinance Blockhcain/DexはCosmosベース)に興味がシフトして行っている様子が伺えます。

    ビットコインのエンタープライズ利用では、現時点ではLiquid上でのSecurityトークンの発行やICO/IEO(先日BTSEという取引所がLiquidでのIEOを発表)、また日本のCrypto GarageはLiquidを利用したステーブルコインの発行とブロックチェーン上の金融オプションの開発などを行っています。ただしこれらは数も少なくまだ規模も小さいので、今年もビットコイン関連のエンタープライズ利用はあまり広がっていないと総括出来ると思います。

価格予想

  1. 4000~8000ドルの間。年末8000ドル近くであれば上々(大石)
  2. 前半は4000ドルくらいで行ったり来たり。その後上昇して、年末価格10,000ドル付近(東)

    価格予想は毎年一種の余興ですが、上記見てみると自分と大石さん両方とも結構かすっている部分はあるかと思いました。

    特に大石さんは価格レンジも大体あっていますし、今年の年末くらいまでは10000ドルの下くらいのレンジで留まれば来年は半減期もあるので大きな相場がまた訪れる、と予想しており、今のところ大まかなシナリオはこんな感じで進んでいますね。
最後に

というわけでどうだったでしょうか。ビットコイン全般に関してはLightning Networkに関しては想定通り大きく進展しましたが、Liquidは想定よりは盛り上がらなかったかな、という印象。

イーサリアムなどのスマートコントラクトプラットフォームの足踏、アルトコイン市場の崩壊などあり、今年は価格、市場的にはビットコインの一人勝ちみたいな状況が続いたのが印象的でした。また、予測ではあまり入ってませんでしたが、デリバティブ取引の盛り上がりも一つの大きなトレンドだったと思います。

その点では今年はビットコインに関しては、過去数年で取り組んでいた技術やプロジェクト、市場環境が足元で18年んと比べても見えるレベルでさらに固まってきているといえそうです。

来年以降の課題としてはやはり足元がしっかりしてきた中で実需と言えるユースケースや企業での利用などをどういう風に増やしていくか、などだと思います。ここら辺については年始にまたもう少し詳しく予測するレポートをまた書きます。毎年恒例の予測、展望レポート、今年もお楽しみに。

ではみなさん良いお年を…。