ライトニングノードは儲かるのか?
ライトニングネットワーク上のトランザクションの増加とともに、少しずつLNの中継手数料を稼ぐことに対して関心が集まってきているように感じます。果たしてライトニングノードは儲かるのか、検討してみましょう。
LNノードのビジネスモデル
まず、大前提として収益目的のLNノードを運用するとして、収入と支出の内訳や割合を予測する必要があります。幸いなことに、かなり簡単な事業構造をしています:収入:
・中継手数料 (チャネルごとに設定可能)支出:
・オンチェーン手数料 (おそらく支出の大半)
・資金をホットウォレットに保管するリスク (資本に比例)
・機材やサーバーのランニングコスト (固定費)したがって、資金効率を上げるにはより多くの中継手数料を得ながら、オンチェーン手数料をいかに節約するかが肝心となります。これはチャネルを開閉する回数を減らすことで実現しますが、チャネルあたりの残高を増やしたり、残高が偏りにくいところにチャネルを開くなど、多くの戦略が考えられるでしょう。また、資金力がないよりはあったほうが固定費率が下がるほか、リバランスのためのチャネル開閉も減らせるかもしれません。
ビットコイン単体でリスクフリーで得られる金利はありませんが、LNノードの運用が他の事業や投資と比べて割が良いのか考える必要もあります。
LNのルーティング市場概況
多くのチャネルを持つライトニングノードを個人的に運用しているLightning LabsのAlex Bosworth氏のツイートによると、2018年には5,000件の支払いを中継して約20ドルの手数料収入だったが、2019年には15,000件の支払いで200ドルのリターン、2020年には70,000件の支払いで2,500ドルほど得られたそうです。ビットコイン価格も変動している上に、どれくらいの資本をコミットして得られた収益なのかも一定ではないのでROEを計算するにはデータが不足していますが、現在Bosworth氏は複数のノードで少なくとも43BTCを運用しているので、現時点では年利1%には満たないのではないでしょうか。(上記リンクからBosworth氏の運営するサービス名"Yalls"で検索)Spotlightの小川さんも有料記事でデータを公開していますが、今年に入って手数料を狙いにいった結果として見込んでいる利益率はBosworth氏のノードとそれほど違いません。
ルーティングを攻略する方法
これがわかれば儲かりやすいでしょうが、とても難しいです。なぜならネットワークの形、どこにチャネルがあって、どこからどこへ資金が流れているか、そして他のチャネルの手数料設定がどのようなものかに左右されるからです。自分のノードを経由してルーティングされやすくする戦略を作るには、まずはルーティングの仕組みに詳しくなるところからです。正直なところ、自分もライトニングノードがどのようにして経路を選択するのか詳しくはわかっていないですし、詳しい人も自分のエッジを教えてはくれないでしょう。少なくともAvailabilityとCentralityの概念は意識する必要があります。
Availability - これはノードが常にオンラインであるかを測る概念で、オフラインになっている時間が長いと低下します。逆に2年間ほぼオフラインになったことがないようなノードはAvailabilityが高いといえます。ライトニングノードのソフトウェアはまだ完全に安定しているとは言えないため、ある程度以上のAvailabilityの改善にはノードの耐障害性を向上させる必要があります。例えば、ペイメントのデータベースを安全な方法で共有し、メインのノードが落ちたりした際に、自動的に同じデータベースを引き継いですぐにバックアップのノードに切り替えるシステムを構築するなどです。ノードが長時間ダウンしたせいでチャネルが高い手数料で強制的に閉じられることも防げます。
Centrality - グラフ理論の話で、ネットワーク内の2つのノード間の最短(最安)経路上に当該ノードが含まれる確率を表す数値です。Rene Pickhardt氏の2018年のツイートを見るとわかりますが、チャネルが多いほうがCentralityを向上しやすいが、少ないチャネル数でも上手く最適化すればそこそこのCentralityを得られます(GERMANというノード)。Centralityが高いと、単純にルーティングされやすくなります。これらの概念を組み合わせたBosスコアというものがあります。先述のBosworth氏にちなんで命名されたこの数字は、ノードのavailability、チャネルの長命さや数、運用資本、手数料の水準、隣接するノードのBosスコアなどによって決定されます。ここに300ノード分のデータがあります。(サイトへの追加は申し出る必要があるので、全ノードのトップとかではありません)
Lightning PoolでのLiquidityの提供 (貸し出し)にはBosスコアによる足切りがあります。Lightning Poolに関する記事はこちら
元々は一般ユーザーがプライベートチャネルを開設する相手としてふさわしいノードを判別するためのスコアでしたが、逆説的にBosスコアの高いノードはルーティングされやすいと言えるでしょう。
LNBIG
LNBIGはライトニングネットワーク上で461BTCも運用している、ライトニングノード運用業最大手の業者です。パブリックチャネルすべての残高の40%近くという膨大な数字です。LNBIGは2018年というメインネット初期からこの流動性を供給し、ネットワーク上の安定したルーティングの確立に一役買いました。また、インバウンドキャパシティの問題に対応するため、無料でチャネルを開設してくれるサービスもありました。一方でその正体がわからないため、その行動を怪しむ声もありました。
インバウンドキャパシティとは、チャネルの相手方の勘定にある残高で、支払を受け取るのに必要ですが、自分でチャネルを開設すると基本的にはゼロからスタートします。
自分 (○○○○ = = = = = □□) 相手
○←アウトバウンドキャパシティ
□←インバウンドキャパシティ
非合理的な参加者が無料でチャネル開設をしたり、中継手数料ほぼ無料でサービスを提供するとその分の手数料が他のノードに入りにくくなり、ノードを運用するインセンティブを毀損する恐れがあります。しかし、LNBIGも昨年に無料でチャネルを開設するサービスを終了し、さらにLiquidityの偏在を改善するためにチャネルの手数料を増加させているので、かつてほど非合理的な主体ではなくなってきています。
また、長期的な話になりますが、ライトニングネットワークもコストがゼロではないので、将来的にタダ同然でリソースを提供する参加者がいても通常はプライスアウトされてしまう低価値な用途に食われるだけな気もします。
まとめ
ライトニングノードの運用はまだ手探りの段階で、成長市場かつブルーオーシャンと言えるかもしれませんが、これから急激に競争が激化していくと考えられます。特にライトニングネットワークの成長(ペイメント量の急増)によって利回りが向上すると、それに対応して運用資金・ノード数が増加して利回りが低下する、というサイクルが見られるでしょう。最終的にはマイニングと同様、理論上のリターンはかなり小さいところで落ち着いて、一般人が片手間に中継手数料を稼ぐことで収益を狙うのは厳しくなっていくと考えています。
お知らせ
宣伝で恐縮ですが、PaddleというLN (hodl invoice)を使ったノンカストディアルなオークションサイトを作りました。作る過程でいろいろ考えることがあったので、それもまた近いうちに記事にしようと思っています。先ほど終了してしまいましたが、ビットコイナー反省会とのコラボ企画としてオークションを2つ開催しました。今後もし機会があればぜひご利用下さい。ご自身で入札者を集めることができる方に向いています。
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