LN関連ビジネスは持続可能か
ライトニングネットワークの利用増加を促すには、UIの改善などもさることながら、LNを使用して行えることの幅が広がる必要があると思います。今週もLN MarketsというCFD取引プラットフォームが登場するなど、ライトニングアプリやライトニングに関連したサービスは徐々に増えてきていますが、これらの事業にビジネスとしての勝算はあるのでしょうか?今回の記事ではLN関連サービスをいくつかの種類に分けて見ていきます。
取引所
冒頭で紹介したとおり、LNを使って登録と入出金ができるCFDプラットフォーム、LN Marketsというものが登場しました。現時点ではα版で、ビットコイン価格のCFD取引ができます。(※ご利用は自己責任で)
LN Marketsのサイトによると、手数料は20bpsスプレッド(≒往復で0.2%)、ポジション維持手数料 (当初は0%/日)、最大ポジションサイズは1,000,000satsとのことです。
となると、1人のアクティブユーザーあたり1日1往復100,000satsの取引をしたとして、LN Marketsの収入はわずか200sats、もしこの業者が顧客の注文を呑まずにヘッジしているとしたら、そこからヘッジ費用やサーバー代、人権費などを出す必要があります。
ビジネスとして成り立つのか?
→LNにフォーカスして少額の取引からスプレッドをいただくビジネスモデルでは動く金額が小さすぎるので、数万人のアクティブユーザーがいたとしても大した収入にならず、既存の大手取引所やFX業者に勝るサービスを提供することが難しそうです。
世界中から特に他国の株式指数などの金融商品のCFDが誰にでも取引できること自体には一定のニーズがあると思いますが、入出金をLNに限定することが取引高の足かせになり、不利です。(CFD取引プラットフォーム自体はBitMEX規模も狙えるビジネスかと思います)
また、オフラインでのチャネル作成など、既存の取引所へのLN導入は簡単になっていく方向に進んでいるので、そちらでもLN経由での入出金は可能になり、より有利な環境で取引できるでしょう。(前述の「金額が小さい」という理由で、ほとんどの取引所でLN導入は優先度が低いかもしれませんが)
余談ですが、"Strike"というアメリカの銀行口座またはデビットカードを使ってライトニング支払いができる開発中のサービスがありますが、これはアドプション的にもビジネス的にもポテンシャルが高そうです。
LIGHTNING SERVICE PROVIDER
Lightning Service Providerとはライトニングチャネルの管理代行や、インバウンドキャパシティの提供などを行う事業者の総称です。有名どころではBitrefillやLNBig、Breezなどがあります。
利益の源泉は手数料ですが、手数料そのものがあまり高くない上に、使用頻度の低いチャネルに資金が拘束される点など資本効率に難があります。
ビジネスとして成り立つのか?
前にも研究所内で触れられていた気がしますが、これら単体では資本効率があまり良くない上、参入障壁も低いのでいいビジネスになるかは疑問ですが、当面は存在し続けるでしょう(特にインバウンドキャパシティの提供)。
LIGHTNING WALLET
ライトニングウォレットの開発も立派な事業ですが、ビジネスとしての将来性は未知数です。
現時点では、VCやビットコイン系の企業からの出資によって開発しているチームやオープンソース開発者がそれぞれライトニングクライアントを作っているような状態ですが、現段階ではまだビジネスとしてどこで収益化するかはっきり決まっていません。
ビジネスとして成り立つのか?
→ビットコインウォレットの開発と同じく、オープンソースで開発されたり、LNの成長にベットしている企業が貢献する状況が続くと思うので、開発自体は持続可能だと思います。LNクライアントは独自機能を搭載しやすいためそこが収益化の狙い目なのかもしれませんが、そこでネットワーク効果を狙うなら無料提供がおそらく最適だったり、チャネル管理代行などはLightning Service Providerの欄で述べた通り、実際はビジネスとしては厳しいのではないかと思っています。
お楽しみ系LAPPS
Pollofeed (生中継で鶏に給餌)、Satoshi's Place (1ピクセル単位で落書きできる掲示板)など独自の世界観をもつLappsや、Bitcoin BounceのようなゲームにLNによるリワードを実装したものまで、様々なものがあります。
収益構造
Lappにもよりますが、ほぼ一定コストのもの(Satoshi's Place)や、ほぼセットアップコストのみのもの(Pollofeedのオーナーは元々鶏を飼っていた)は一定以上の購入があれば黒字化します。
例えばSatoshi's Placeの維持費が月額150,000satsだとすれば、150,000ピクセル、つまり描画領域の累計15%が毎月塗り替えられれば黒字化します。Pollofeedも、元々鶏を飼っているのであれば数週間から数ヶ月でセットアップのコストが回収でき、趣味・家庭用の養鶏にプラスαの収益をもたらします。(アイデアの勝利的なサービスで、例にしていいのかわかりませんが)
また、Bitcoin Bounceの場合は広告収入をプレイヤーに日毎に抽選で還元することでプレイヤーの定着や広告閲覧を増やしていると思われるので、こちらもある程度以上プレイヤーがいれば黒字化すると思います。(現時点では毎日少なくとも25satsは当選するので、自分もほぼ毎日数回やっています)
ビジネスとして成り立つのか?
→現状で大金が動いているものはないですが、新しいカタチのマイクロビジネスを生み出すことには成功しているようです。アイデア次第では塵も積もって大きな金額になる可能性もあるのではないでしょうか。
インフラ系LAPPS
BitCloudsという時間貸しのVPSや、LN支払いでSMSが送受信できるサービスなどを便宜上「インフラ系Lapps」としました。要するに、従量課金制でなにかのサービスを提供してくれる、いわゆる○aaS系のLappsです。どちらかというとエンジニア向けという雰囲気があります。
収益構造
特徴として、上記の例のようなサービスは仕入れも従量課金制の場合、コストが収入と比例するという点があります。例えば、従量課金制でVPSを借りることのできるAWS EC2を又貸し(取次ぎ)するような場合などです。
ビジネスとして成り立つのか?
→既存企業の商品を組み合わせてLNで支払えるようにしただけの比較的シンプルに作成できるものであれば、コモディティ化によりレッドオーシャンになる宿命にあり、高い利益率は見込めないと思います。例えばLN経由でSMSを送受信できるサービスは、おそらくTwilioなどをLN支払いで使えるようにしているだけで、いくらでも模倣することができるはずです。
しかしながら、このタイプのビジネスは収入と支出が比例し利益率が安定するので、取引所を介さないビットコイン購入という意味合いで一定の存在意義はあるかもしれないです。例えば5%の利ざやを載せていれば約5%安くビットコインを購入したのと事実上同じですし、逆にサービスを仕入れより5%安く提供すれば少し割高ですが取引所を使う必要なしにビットコインを入手することができます。
おわりに(個人的な感想)
個人的には「インフラ系Lapps」で述べたような「収入と支出がスケールすることで、取引所を介さずにビットコインを入手することができる」という側面はもう少し注目されてもいいなと思いました。ペースをコントロールできれば、それ自体にバリューを感じることができる事業者などにとってはとても割のいい話だと思います。
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