1997アジア通貨危機と現在を比較してみる
最近は円安が進み、2022/07/05時点で1ドル=135円になっています。そろそろ急激な円安もとまり、戻すのではないかという見方もあるが、どうでしょうか。逆に円安がさらに進むとアジア金融危機が起きるかもしれないというような記事が出ていました。
https://www.bloomberg.co.jp/.../2022-06-09/RD883NDWX2PX01
アジア通貨危機といえば、タイ・インドネシア・韓国・マレーシアなどドルペッグ制を採用していた国で通貨暴落が起き、変動相場制へと移行したということで有名です。人類にとって貨幣について考えさせる歴史的な出来事でした。
アジア通貨危機後の1998年には1ドル145円を超え、150円近くまで円安になっていました。私も日本円を持っていますが、このまま持ち続けるリスクについて気になります。今回は、通貨危機当時の状況と現在の状況を比較し、今後の見通しについて考察したいと思います。
当時の状況を振り返りながら、現在と比較していきます。
通貨危機直前の状況ですが、タイや韓国などアジア各国は輸出型の経済で発展している途上でした。
中国は1992年頃から改革開放政策がすすめられ、まだ経済発展がはじまったばかりでした。
当時のアジア各国はドルペッグ制を採用していました。ドルとの為替レートを固定することは、貿易に安定をもたらすというメリットがあります。また、オフショア市場などにも固定レートはプラスに働くようです。
アメリカは、1993年にクリントン大統領が就任していました。1994年にアメリカの景気が拡大し、失業率が下がり始めました。当時のFRB議長だったアラン・グリーンスパンは、インフレ抑制のため、段階的に利上げを行いました。
(現在のアメリカは、コロナショックからは立ち直りつつあるのでしょうか。失業率もロックダウン期よりは回復していると思います。一方で、インフレはすさまじく利上げも激しいですね。この点は当時と似ています。)
1995年にロバート・ルービン財務長官が就任し、強いドル政策をとっていたようです。
(ドル高が進んでいる点も今と似ています。)
1997年5月ころからタイの通貨バーツがヘッジファンドに大きく売られ始めました。タイ当局は介入によって食い止めようとしました。しかし、持ちこたえられず、外貨準備が急減した結果、7月に変動相場制へ移行しました。みずほ証券によれば、97年6月から98年1月までの期間で、タイのバーツは54%下落しました。
タイを震源地としてその他の通貨も下落しました。下落率は、マレーシアのリンギットが44%、インドネシアのルピアが83%、韓国ウォンが51%でした。
(現在各国の通貨も下落しています。特に2022年の2~4月頃から、人民元・香港ドル・韓国ウォン・フィリピンペソ・タイバーツ・日本円などが下がっています。これらの国では中央銀行がアメリカのような大きな利上げをせず、辛抱強い姿勢をとっていることが要因といわれています。)
通貨危機の原因としてアジア各国の輸出が減速してきたなどの指摘もあります。メキシコの輸出量が増えたことで、タイなどの輸出と競合したのではないかということもあるようです。また、1994年1月に中国が人民元を対ドルで33%切り下げ、輸出競争力が強化されていったことも原因とされています。このあたりは筆者も専門ではないので真偽はわかりません。ヘッジファンドはバーツが過大に評価されていると考え、その結果、ドルとペッグされているバーツの売りを浴びせたのではといわれています。
現在、日本は円安で輸入品が高騰しており、物価について注目されています。一方で、輸出には有利との見方もあり、悪い円安論ばかりではないとの向きもあります。ただし、円安による効果で他のアジア各国より日本が優位に立つことで、その他のアジアの輸出産業に影響を与えるかもしれません。
(まったく与えないかもしれませんが)。
その結果、日本周辺の輸出国の通貨安が進むなどして、通貨危機と同様な事態が引き起こされるかもしれません。あるいはそれを口実に、中国などが日本の円安に対する非難をするかもしれません(今は中国も別の問題に対応しなければならず、穏やかですが)。
筆者には、どの通貨が危機に陥る可能性が高いかまでは正直わかりませんでした。ただ、当時の似た状況が作られているような気も致します。
ドルペッグ制で介入が入っているような香港ドルや、通貨バスケット制の人民元は危険かもしれません。外貨準備が少ないような韓国なども危険かもしれません。あるいは日本円かもしれません。
今はそれほど注目されていませんが、アジアの通貨安(日本円も含む)は深刻な事態になる危険性が少しあるように感じます。
これはあくまで私見なので他の情報も見て頂き、評価していただきたいです。
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