Vol.326:今回は違う?BTC半減期後の暴落サイクルが再来しないかもしれない理由(2025年9月1日)
「ビットコインは半減期後に必ず暴落する」
こうした市場の定説をよく耳にしますね。
ところで、投資の世界には「This time is different(今回は違う)」という有名な皮肉があります。
バブル崩壊や暴落の前に投資家が口にする言葉で、「今回は過去と違って今回は大丈夫だ」と言いながら、結局同じ失敗を繰り返してしまう。
そんなちょっと苦い教訓としての言葉ですね。
だからと言って、「今回は違う」をすべて無条件に否定するのも、非科学的だと筆者は考えています。
今回の記事では、ビットコインが過去の半減期サイクルとは根本的に異なる動きをしかねないかもね、、、ということについて書いてみたいと思います!
みんな大好き「BTC半減期1.5年後に下落」の法則
ビットコインには4年に一度、新規発行量が半分になる「半減期」があります。
そして過去の半減期前後の価格推移を検証すると、なんだか規則性のあるサイクルが確認できます。

上のチャートはビットコインが半減期を経た後に上昇基調に入り、およそ1.5年程度で価格が天井を打っており、その後は1年程度の下落調整につながっていることがみて取れます。
もし同じことが今回も繰り返されるのであれば、2024年4月20日の第4回半減期からを基準にすると、今のビットコイン上昇基調は2025年10月頃にピークアウトし、2026年末まで下落調整が続く計算になります。
上昇幅は半減期ごとに弱まっているのも現実
さらに半減期時点の価格と続くピーク価格の比率を見ると以下のような推移になっています。
- 1回目:91倍
- 2回目:29倍
- 3回目:8倍
- 4回目:??(今回)
きれいに毎回約3分の1くらいに縮小していますね。市場規模の拡大に伴い、価格変動の振幅が収束するのは理論的に妥当です。大きな船ほど小回りが利かなくなるのと同じようなものでしょう。
それでも、やはり今回の半減期1.5年後も調整局面は避けられないのでしょうか。
筆者は、いろいろと条件をテーブルに並べてみると、「今回は違う」もアリなんじゃないかなと考えています。
少しその理由を探ってみましょう。
2025年10月以降の持続上昇可能性を探る
仮に今回の半減期サイクルで持続上昇が発生するとすれば、その要因として以下の構造変化が挙げられるでしょう。みなさんもご存じのものがほとんどでしょうが、改めてみていきますね。
1. 機関投資家資金の継続流入
ビットコインETFの承認により、機関投資家の参入障壁が大幅に低下しました。これまで仮想通貨に参入できなかった年金基金や保険会社などの資金が流入する構造が整いました。
2. 確定拠出年金制度への組み込み
米国401(k)制度に仮想通貨オプションが追加されました。定期積立による継続的な買い圧力が、一時的な売り圧力を上回る可能性があります。
3. 米国債からの大規模資金流出
最も重要な要因がこれです。現在の米国債券市場では大規模な売り圧力が発生しています。ちょっと過去から現在までの推移をみてみましょう。
法定通貨への信認度は2020年で天井を打ち転換している

債券は「金利が上がると価格が下がる」という組成になっているので、2020年以降の急速な金利上昇は、すなわち米国債の売却圧力が急速に強くなっていることを表しています。
ビットコインは4回目の半減期にして、初めて「米国債が売られまくっている」状況を真正面にしているのです。
図2を見ると、ビットコインが誕生した2009年以前から、米金利は長期下降トレンドにあったことがわかります。これは以下の構造を意味しています。
金利低下=債券価格上昇=米国への信認向上=ドル需要拡大
この40年間続いた構造は、2020年に完全に終わりを迎えました。
例えば米国10年債利回りは2020年の0.5%を底に急激な上昇に転じ、2023年には5%台まで上昇しているのですから。
米ドルの兵器化による脱ドル加速
この変化の背景には、2022年のロシア・ウクライナ侵攻に対する西側諸国の対応があります。
米国および欧州諸国がロシアの海外ドル資産を凍結したことで、ドル保有の政治的リスクが国際的に認知されたのです。
これは通貨を外交・軍事政策の道具として使用することを意味します。
つまり「政治的に都合の悪い国のお金は凍結する」という前例を作ってしまったのです。
これは基軸通貨ドルに対する信頼の土台に(かなり大きめの)ヒビが入った瞬間です。
第4回半減期の歴史的意義
つまり、今回の第4回半減期は、法定通貨システムへの信認が逆転してから初めて迎える半減期という歴史的な位置づけにあります。
現実の「今日の」市場が行っていることは、米国債やドルそのものを売却(もしくは空売り)し、その資金をゴールドやビットコインなどのハードマネーにシフトさせています。
これは単なる投機的な動きではなく、通貨システムに対する構造的不信の表れと捉えることができます。
例えばトランプ大統領によるFRB議長への口先介入や、クック高官への退任命令などが出るたびに、この不信度は上昇しています。
そしてビットコインとゴールドは、法定通貨への不信を感じる投資家の受け皿となっているのです。
法定通貨への信任が消える速度が加速度的に上昇している今、従来の「ビットコインは半減期から550日後に下落開始」のテクニカルなサイクルがどこまで維持されるのか。
筆者は、この結末を興味深く見守っていきたいと考えています。
ビットコインはデフレ通貨へ変貌している
今回の半減期には、もう一つ決定的な変化があります。
ビットコインが数学的にも「完全デフレ通貨」へ転換しているのです。
デフレ通貨とは、時間経過とともに通貨価値が上昇する通貨を指します。
数学的根拠
新規発行率:0.83%半減期後の年間発行量は約16万BTC(総発行量1,960万BTCの0.83%)
ロスト率:約2%(推計値)パスワード紛失、ハードディスク破損、相続失敗などにより、年間約2%のビットコインがアクセス不能となります。2020年のニューヨークタイムズの研究では、既に全体の20%が消失済みとされています。
実質供給変化:0.83% - 2% = -1.17%つまり、実質的に市場が購入できる新規発行されるビットコインは、すでに2024年以降で年約1%ずつアクセス可能なビットコインが減少しているのです。
もちろん上の計算であげたロスト率は推計値ですから、現実には上下するでしょう。ここに疑念を持たれる方は、ロスト率が年間で0.83%を超えない場合にのみ、ビットコインはインフレ通貨になると理解していただければ結構です。当然、このロスト率の閾値は、2028年の半減期で再度半分へと切り下がります。
ドルとの比較優位性
米ドルの発行料は年におよそ7.72%増加しています。これに対してビットコインは年1.17%の減少です。相対的に年約9%の価値上昇圧力が数学的に発生します。
市場効率性の限界
投資家は直近の経験に過度に依存する傾向があります。これは行動経済学で「利用可能性ヒューリスティック」と呼ばれる認知バイアスですね。
半減期の下落パターンも、多くの投資家に織り込まれています。実際に2025年7〜8月の12万ドル突破時には、旧ウォレットからの大量売却が発生しています。
この売却タイミングは偶然ではないでしょう。投資家たちは以下の2つの要因を重ね合わせて判断したと推測されます:
1. 半減期サイクルの理論過去のパターンから、2025年10月頃が天井となり、その後下落に転じる可能性が高い
2. 月次リターンの季節性ビットコインの過去データでは、8月・9月は月次リターンがマイナスとなる確率が統計的に高い
つまり「半減期の下落時期」と「季節的な弱い月」が重なる前に利益確定しようという合理的判断だったのです。
しかし、ここに落とし穴があります。市場参加者全員が同じシナリオを想定した時点で、そのシナリオ自体は消えてなくなってしまうことも、よくあるお話しなのです。
まとめ:歴史的転換点での投資戦略
今回の分析を振り返ってみましょう。
私たちは今、ビットコインの第4回半減期という節目にいます。しかし、これまでの3回とは根本的に異なる環境下にあることが分かりました。
これまでとの違い:
- 2020年以降、40年間続いた金利下降トレンドが逆転
- 法定通貨への信認が初めて本格的に揺らいでいる環境
- 中央銀行が史上最高ペースでゴールドを購入
- ビットコインが数学的に完全デフレ通貨に転換
これらすべてが重なっているのは、ビットコイン史上初めてのことです。
希望的な未来への道筋
もしかすると、私たちは金融史の教科書に載るような転換点にいるのかもしれません。
法定通貨システムの限界が露呈し、新しい価値保存手段が求められる時代。そんな時代に登場したビットコインが、単なる投機対象を超えて、真の「デジタルゴールド」としての地位を確立する瞬間を目撃している可能性があります。
もちろん、従来通りの調整が起きる可能性も十分にあります。でも、だからこそ面白いのです。どちらに転んでも、私たちは歴史的瞬間の当事者として、この変化を体験できるのですから。
重要なのは、過去の常識や「もっともらしい定説」に縛られることなく、この変化を新しい可能性として楽しんでみることかもしれないですね。
引き続き、、、ハッピービットコイン🚀
本分析は筆者の個人的見解であり、投資を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行い、適切なリスク管理を心がけてください。
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