個人的にはビットコインや仮想通貨全般の価格は細かくはほとんど追ってないのですが、しばらく微増~横横で上がりそうで上がりきらない相場は2016年の感覚となんとなく被る部分があります。

ただし、当然2020年と16年/17年ではビットコインの市場規模や認知度、業界の成熟度も大きく変わりました。今のビットコインは世間一般から現在どういう風に認知されていて、16/17年の時と比べてどのようにその認識は変わってきているのでしょうか?この質問に答えるべくThe Tokenistという会社が17年と今年の比較追跡調査を行い先日結果を公表していました。(合計回答者 n = 4852、対象17カ国、先進国や男性と若年層への偏りが若干あり)

アンケート詳細ページ

Comparing Public Bitcoin Adoption Rates in 2021 vs 2017 - Tokenist
Faith in large financial institutions has been steadily waning for more than a decade and the COVID-19 pandemic has only accelerated this process. Bitcoin, itself developed in the years after the 2008 market crash as an alternative to traditional assets, stands to be a major beneficiary of this tren…

主な発見として、

  1. 回答者の45%が株式や不動産、ゴールドよりビットコインへの投資を好んでいる(13%アップ from 2017)
  2. 回答者の61%(ミレニアル世代の78%)はビットコインをある程度以上理解しており、全体の6%、ミレニアル層の14%はすでにビットコインを保有している( 理解度33%アップ、保有率4%アップ from 2017)
  3. 回答者の47%は銀行よりビットコインを信頼している(29%アップ from 2017)
  4. 回答者の41%が次の10年以内に大部分の人がビットコインを使うようになると考えている(13%アップ from 2017)
  5. 回答者の33%はビットコインの実在しない(Intangiable)性質により価値がないと考えている(16%ダウン from 2017)

などです。上記のアンケートの結果からも明らかなように、ビットコインの認知やイメージは世界的に確実に向上してきており、年齢層によっては今の銀行や金融の仕組みよりビットコインの方を信頼する、というような声が多数派になってきている姿も伺えます。2017年のバブルの時と比べてもビットコインへの「信頼」というのは、コロナによるマクロ経済へのダメージや異次元金融緩和(お金ジャブジャブ状態)への懸念なども大きな追い風になっています。

カテゴリーウィナーとしてのビットコイン

さて、このアンケートの結果とも一部関連した話ですが、先日Chamath PalihapitiyaさんがUnchained podcastでマクロ市場環境、コロナの影響、ビットコインと中央銀行などについてインタビューに答えています。

Chamath Palihapitiya: Why Bitcoin Will Be ‘the Category Winner’
Chamath Palihapitiya, the CEO of Social Capital and chairman of Virgin Galactic, talks about a wide range of issues, including Bitcoin, COVID, civil unrest, and broad economic trends and forecasts. We discuss: Whether his economic forecasts have shifted throughout COVID Why he believes a debt crisis…

ChamathはAOL、Facebookの役員などを経てSlackなどにも投資するSocial CapitalというVCを運営するシリコンバレーの伝説的な投資家の一人です。彼は早い時期からビットコインのポテンシャルに目を付けており、なんと一時期彼のファンドとしてビットコインの流通量の5%を保有していたほどで、現在もかなりの額のビットコインを長期保有しています。ビットコインのWhaleの一人ですね。
彼は「ビットコインはカテゴリーウイナーである」という印象的な主張をしています。

・ビットコインは本質的には中央銀行/統合政府による通貨発行の仕組みの失敗に対する保険である(それ以上でもそれ以下でもない)


重要なのは素直にカテゴリーウィナーに投資をすること。例えばインターネット企業ならGoogleやAmazon、Facebookなどのそれぞれのカテゴリーのトップの企業に投資をするのが最もシンプルで、最も効果的である。マスの投資家は結局最もシンプルな判断でリーダーに投資をする。

・心理的なバイアスもあってか我々は頻繁に二位、三位以降に大きな勝者が隠れていると期待してそれに投資しようとしがちだが、それにかける時間やリスクを考えると割に合わないことがほとんどである。

・ビットコインは現状の金融市場などへのヘッジ/保険というカテゴリーで明らかなリーダーであり、イーサリアムなどの二位以下の仮想通貨、ブロックチェーンは十分な差別化をされているとは言えずビットコインが長期で勝ち抜き、市場の多くを吸収していくシナリオを崩してはいない。

・(インタビュー内でEthereumやDeFi、その他のコインはどうか?と聞かれて、「そんなものは知らない」とかなりバッサリ切り捨てていた)

他にも投資全般に関する考え方、マクロ市場やアメリカでの人種差別などついて彼自身の考えを述べていて興味深いインタビューでしたが、個人的にも彼のビットコインに関する見方には概ね同意見です。結局トップのブランドやネットワークが市場の成長の利益の大きな部分を吸い取っていく、というのは非常にシンプル話ですがほぼ全てのケースにおいて真実でしょう

同時に彼の「ビットコインは既存の仕組みへの保険でしかない」という意見は少しドライだな、という気もしましたが、確かにビットコインの最も大きなユースケースは何か、と言われると究極的にはそこにたどり着くというのも別に間違っているとも思いません。(自分はそれ以外のユースケースも存在するし、広がって欲しいと考えている派ではありますが)

良く「ビットコインマキシマリスト」とか言われて、ビットコイン以外のコインを否定的に見ることには批判も多いですが、投資家のマクロな視点からも結局ビットコインに収束していくだろう、という似たような主張をする人は他にも多く(Tim Draperなど)、技術が新規性があるから、新しいものの方が面白いから、というだけで他のプロジェクトにリソースを割くことは大きなリスクでもあることはもっと意識されてもいいんじゃないかと思いますChamathはインタビューでかなり単刀直入にそこを指摘していて中々爽快で、彼の個人的経験や失敗など含めて納得感がありました。

というわけで前半に紹介したアンケートの通り、ビットコインの認知は数年前と比べてもマス層にも確実に広がり始めており、また投資の原則に沿うならカテゴリーウイナーとしてのビットコインのポジションはまだまだ堅固だといえそうという話でした。