Vol.293 ビットコイン暴落シナリオVol.2 ~トランプ大統領の政権交代リスク~(2025年1月13日)
ビットコイン、暴落シナリオVol.2 へようこそ!
私たち人間は予期せぬ事態に直面したとき、パニックに陥り突発的な行動を取りやすい特性を持っています。
だからこそ、今のように市場がビットコイン強気に傾いているタイミングではリスクシナリオを想定し、心の準備をしておく必要があると考えています。
このシリーズは、ビットコイン市場に起こりうる様々なリスクに対して、事前に「耐性」をつけておくためのトレーニングとしてご活用いただければ幸いです。
Vol.1では、コインベース社のコールドウォレットが攻撃されるシナリオについて考察してきました。
今回Vol.2では、トランプ大統領が政権から突然外れてしまった場合、市場にどのような影響がおよぶのか、そのリスクを考えていきましょう!
トランプ大統領が政権から外れる場合~
2024年のビットコイン市場を振り返ったとき、トランプ次期大統領がポジティブな影響を与えたことは、多くの人が認めるところでしょう。

トランプ氏は「アメリカを暗号資産の世界の中心地」にすると宣言し、ビットコインの現物ETFを却下し続けたSECのゲンスラー委員長を解任すると名言しました。
さらに「戦略的ビットコイン準備金」の創設構想をぶち上げ、アメリカ政府が5年間で100万ビットコイン(総供給量の約5%!)を取得するという計画を発表しました。
これらの発言やポジティブな政策への期待からビットコイン価格は大幅に上昇し、2024年12月には10万ドル(1600万円)を超える高値を記録しました。
政権交代の可能性は3割に!
では2025年のどこかで、トランプ大統領がもしも大統領の座から突然消えてしまったら、どうなるのでしょうか?当記事では、このシナリオについて考えてみたいと思います。
今回、このリスクシナリオを取り上げようと考えた最大の理由が発生確率の高さです。
2024年の選挙活動を振り返ってみると、トランプ次期大統領は3回の暗殺未遂に遭遇しています。(7月ペンシルバニア州、9月フロリダ州、10月カリフォルニア州にて)
もちろん、任期中に暗殺という事態が起きる可能性は、推測しようがありません。でもトランプ次期大統領が政権から突如消えてしまうリスクは、ある程度は推測することができます。
以下は人工知能に予測を出してもらったものです。

うーん、どうでしょう?正直なところ、政治・外的・自発的要因は、かなり当てずっぽうな感がします。というか、読むための条件が揃っていない感じですね。
それよりも明らかなのは、一番上の健康関連でしょう。
トランプ氏は大統領に就任する2025年1月20日の時点で78歳7ヶ月となります。この年齢は、これまでで最高齢の大統領就任となります。(2番目はバイデン大統領で2021年1月20日に就任した時点で78歳と61日でした)
実際78歳の平均的な白人男性が死亡する確率を計算してみたのですけれど、2年以内が11%、4年以内が21%となりました。なのでリスト最上部「緊急医療事態 20%」は妥当だといえそうです。
もう一つは、認知機能が衰えて正常な判断が下せなくなる場合です。
78歳の男性が認知症を発生するリスクは17.5%と計算されますから、上記リストの「認知機能低下 15%」は、かなり現実味があります。

バイデン現大統領も2024年の選挙戦では認知症を疑われる発言が頻発していました。ほぼ同年齢+@で就任するトランプ大統領が同じような情勢に陥ることは、十分に考えられます。
ではトランプ次期大統領が任期中に ① 緊急医療事態 (20%) もしくは ② 認知症(15%) いずれかになる確率はどの程度でしょうか?100%から①も②も起きない可能性を引いて計算してみましょう。
100% - (80% x 85%) = 32%
32% ですから、およそ ⅓ の確率でいずれかが任期中に発生することになります。
もちろん、現職の大統領に認知症傾向が見られたからといって、即座に政権から外される事はないでしょう。
ですが就任から短期間に認知症が進行してしまった場合は、2026年11月の中間選挙への出馬ができなくなってしまう可能性もあります。
これらを踏まえると、トランプ次期大統領が政権から外れる可能性は、およそ3割くらいは見込んでおく必要があると言えそうですね。
トランプ氏が政権から外れた時のビットコイン価格は、その時の状況次第
ではトランプ大統領が突然、政権から外れてしまった場合、ビットコインの価格はどのように推移するのでしょうか。
いくつかの人工知能に推移予測を出してもらいましたが、共通しているのは、最初に値下がりで反応し、ボラティリティーが上昇し、しかし中期的には回復して元の値を超えていくというものでした。
もともとトランプ大統領がビットコインに対して、ポジティブなコメントを出したのは、米国有権者数のうち21%が何らかの暗号通貨を持っていると言う事情に配慮してのものです。
この有権者構造が変わらない限り、次の大統領候補も前大統領の路線を引き継がざるを得ず、それよりも、政治的な不透明性から、安全資産としてビットコインが買われると言う姿を市場は想定するでしょう。
ただこれもその時の状況によっては、まったくもってネガティブな方向に転がる可能性があります。少し状況を整理して考えていきましょう。
79%を敵に回せない民主主義
前の章で「状況次第」と書きました。これがすごくよくわかるのは、今現状のカリフォルニアの山火事への対応です。
1月7日に発生したロサンゼルス近郊の山火事は、経済的喪失が20兆円を超えると試算されており、過去最大の山火事喪失になる可能性が指摘されています。
この山火事の発生後、1月9日に出てきたのが、米国司法省(DOJ)がシルクロードから押収した約69,370ビットコイン(約6.5億ドル相当)を売却する許可を裁判所から取得したと伝えた報道です。
この内容は、トランプ大統領が選挙期間中にナッシュビルでの演説で述べていた「戦略的なビットコイン準備金を維持し、政府が取得したビットコインを決して売却しないと約束した」ことに真っ向から矛盾するものです。
選挙期間中のトランプ大統領であれば、この報道を真っ向から非難し、否定していたことでしょう。
ですが現状、1月9日以降にトランプ氏がこの事態に対しては何のコメントも出していません。
それもそのはず、今、政治が取り組むべきは、明らかに山火事への対応と被害者の救済です。
2024年の選挙で民主党が大敗したのは、政策の優先順位の歪みが理由でした。
党の関心がジェンダーや環境問題に傾斜する一方で、有権者の大多数を占める中間層が直面する切実な生活課題への対応が後回しにされました。
中間層の生活実態に寄り添う姿勢を欠いていたことが、支持基盤を失う決定的な要因となったのです。
今回の山火事でも、同じことが起こり得ます。
事態が収束していないタイミングでトランプ氏が「ビットコインは売らない!」などと言ってしまうと、民主党が支持を失ったのと同じように、共和党は暗号通貨を保有していない79%の有権者から嫌悪感を抱かれることになります。
経済や国の安全が万全であればビットコイン準備金構想も(規模は小さくなったとしても)進展する可能性はあるでしょう。
ですが、仮にトランプ大統領が表舞台から消えたタイミングと、今回の山火事のように緊急の対応を要することが同時に起きてしまったならどうでしょう?
「ビットコイン準備金に向けて積んでいた資金を被害者救済に使う」という決定になる可能性は大です。というか国の目的は自国民の保護なのですから、まともな国ならそのような行動を取るでしょう。
それでもやっぱりビットコインは上昇する
さてここまではトランプ大統領が政権交代が発生し、さらにそのタイミングで国として対応すべき高優先順位なタスクが同時発生した場合は、ビットコインへの追い風も一時的に弱まるんじゃない?ということを書いてきました。
ただ、それでも米国の政治家がビットコインを無視することは、ますますできなくなってきているんですよね。
実際、米国内の有権者が暗号通貨を保有している割合は、2020年から2024年にかけて7-8% -> 20-25%へと3倍になっています。
この推移が続く場合、トランプ政権4年目の2028年には、およそ35-40%の有権者が暗号通貨を保有していると想定されます。

この「35-40%の有権者」というのは、もはや米国を一変させてしまうほどの影響力をもつ比率です。
というのも現在、米国の政治において最大の投票シェアを持つのはカトリック教会で、信者数は6800万人、全国選挙において25-27%の票を投じています。
2028年の選挙では、暗号通貨の保有有権者が、そのカトリック教会の票を凌駕してしまう可能性があるのです。
この数字を見る限り、仮にトランプ大統領が政権交代し、同時多発的に突発的な資金需要が発生してビットコイン準備金の創立が延期されたとしても、政治家が暗号通貨に友好的な政策をアピールすることは、もはや確定的だというしかありません。
結論として、、、トランプ大統領が政権交代で抜けたとしても、ビットコイン上昇のトレンドには一時的な影響に止まると筆者は考えます。
あなたはどう思いますか?
まとめ
このレポートでは、トランプ大統領の政権交代リスクについて、かなりシビアな分析をしてきました。でも結論としては、むしろ楽観的な未来が見えてきてしまった感があります。
政権交代の確率は約3割。これは決して小さくない数字です。ただし注目すべきは、その先にある構造的な変化です。
米国の暗号資産保有者は、2028年にはカトリック教会と同等の投票力を持つまでに拡大する可能性があります。
このトレンドを見る限り、もはや誰が大統領になろうと、ビットコインを無視できる政治家はいなくなるでしょう。
むしろ私たち投資家に求められるのは、このような構造変化を見据え、価格調整の局面があれば好機と考えることですね。
ビットコインのすごいところは、どれだけ破滅的なシナリオを準備しても、結局はその堅牢性を再確認して終わってしまうところです。
それでも筆者はめげずに、「暴落シナリオ」シリーズを書き続けていきます。次回もお楽しみに!
引き続き、ハッピー・ビットコイン!
ココスタ
佐々木徹
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