Bitcoin Japan 2025というカンファレンスがいよいよ日曜日・月曜日に迫っています。サイドイベントに関しては本日から開催されているものもあり、読者の皆様の中には参加される方もいらっしゃるかもしれません。また、参加されない方でも内容に少しは興味があるんじゃないかと思います。

BITCOIN JAPAN 2025
Make Japan a Great Bitcoin Nation Again.

Bitcoin Japan 2025のスケジュール

今日の記事はこのカンファレンスの見どころをカバーし、登壇者でもある私の個人的な目線で気になるセッションについて予習になるような内容です。どこのカンファレンスでもやっているような話よりは、どちらかというと耳新しい技術的な内容に偏っているため、Dev Dayに注目セッションが集中している点はご容赦ください。

また、カンファレンスの内容自体が録画公開されるかは把握していませんが、ビットコイン研究所のライターも多数参加するので面白かった内容は今後記事として出てくると思います。お楽しみに!

・豪華なDev Dayはサイドステージに注目。開発者大歓喜のラインアップ

・メインカンファレンスは海外でのビットコインの立ち位置がメイントピック

・サイドイベントは相変わらずNostrasiaが楽しそう

豪華なDev Dayはサイドステージに注目。開発者大歓喜のラインアップ

個人的にはBitcoin Japan 2025の一番の注目ポイントはDev Dayだと思っています。冒頭でリンクしたスケジュールから感じ取った方もいらっしゃると思いますが、メインカンファレンスと比べて多数のスピーカーを呼び、2ステージ同時進行で開催される上に、呼ばれているスピーカーの顔ぶれも錚々たるものです。

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なお、Dev Dayの発表はほぼ全て英語なので(機械通訳ありだそうですが)心の準備をして参加してください。

以下におすすめのセッションをラインナップします:

Wallet of Satoshiだから語ることができるライトニングの現実

去年の東京のカンファレンスにも来ていた、Wallet of SatoshiのCEOであるDaniel James氏のセッションはおそらく去年と似た、Wallet of Satoshiの利用状況をベースにしたものになります。ただ、去年との大きな違いはSparkの統合です。

Sparkについては下の記事でおさらいしてくださいね。

Lightsparkが発明した新しいレイヤー2:Spark
ノンカストディアルなライトニングをエンドユーザー向けにスケールさせることの難しさはウォレット事業者が一番痛感しています。これが最近の記事でも取り上げた「Nodeless Lightning(Liquid Networkを使わせるライトニングウォレットのバックエンド実装)」のようなアイデアにつながっています。 セルフカストディ型のライトニングウォレットのスケーラビリティを補完できる技術は出てくるのかライトニングでセルフカストディをしようと思うと、最低でも自分でチャネルを保有する必要があり、よりトラストレス性を高めようと思えば自分のノードを立てることになります。したがって、世の中にあるセルフカストディ型のライトニングウォレットはこのいずれかの形をとっています。 しかし、この使い方にはコストがつきものです。例えばチャネルの開設には今のオンチェーン手数料が低迷している環境でも数十円、場合によっては数千円以上になることも考えられます。ライトニングノードの維持も無料ではありません。(趣味で維持している場合は無料のように考えてしまいますが) ライトニングはカストディ型で普及する、という今では主流の
SparkとXverseの提携で浮かび上がる、新種のビットコインエコシステム
Wallet Of Satoshiのノンカストディアル版のバックエンドに採用されたSparkですが、他にも導入するウォレットが出てくるなど快進撃が続いています。 Lightsparkが発明した新しいレイヤー2:Sparkノンカストディアルなライトニングをエンドユーザー向けにスケールさせることの難しさはウォレット事業者が一番痛感しています。これが最近の記事でも取り上げた「Nodeless Lightning(Liquid Networkを使わせるライトニングウォレットのバックエンド実装)」のようなアイデアにつながっています。 セルフカストディ型のライトニングウォレットのスケーラビリティを補完できる技術は出てくるのかライトニングでセルフカストディをしようと思うと、最低でも自分でチャネルを保有する必要があり、よりトラストレス性を高めようと思えば自分のノードを立てることになります。したがって、世の中にあるセルフカストディ型のライトニングウォレットはこのいずれかの形をとっています。 しかし、この使い方にはコストがつきものです。例えばチャネルの開設には今のオンチェーン手数料が低迷している環境でも

Wallet of SatoshiへのSparkの統合に関心のある方はこのセッションに参加し、質問を投げてみるとよいでしょう。

ビットコイン助成金の歩き方

グラントをもらってUtreexoの開発をしているCalvin Kim氏が、開発者向けに助成金をもらってオープンソース開発する方法を説明してくれます。開発者向けグラントを出している団体OpenSatsの幹部やSeedSignerの開発者もパネリストとして参加するので、このあたりに興味がある方はぜひ参加してみてください。

BIP352: サイレントペイメントと自己管理型ウォレットの今

Silent Paymentsについては下記の記事で紹介しました。最近Sparrow WalletがSilent Paymentsの支払いに対応していましたが、このセッションの注目ポイントはプレゼンターがBitbankのジョナサン氏ということです。セッションを聞いた後に、昨年のカンファレンスでライトニング入出金対応を宣言してから未だにリリースされていないことを質問してみてもよいかもしれません。

第三者からプライバシーを守る新しい支払い方法、Silent Payments
ビットコインで寄付を受け付けたいとき、ウェブサイトなどにビットコインアドレスを公開することが一般的です。この方法のメリットはどのウォレットでも必ず使えること、送金する際に相手との通信等が不要なこと(新しいアドレスを発行してもらう必要がない)、アドレスを生成して貼り付けるだけというシンプルさです。また、場合によっては集まった金額を見てもらいたいという場合もあるでしょう。 一方で、集まった金額の透明性はそのアドレスに対する送金がすべて見れてしまうことの裏返しです。このため、特定の団体に寄付したユーザーのトランザクションを辿って本人を特定したり、逆にその団体の資金の流れを追って取引所等の口座を凍結することができてしまいます。 この問題の解決方法はBIP47、寄付の両側でのミキシング等いくつかありますが、今日はそれらと比較してシンプルさが際立つ“Silent Payments”という新しいものを解説します。 仕組み 送金を受け付けたい者は32バイトの公開鍵X = x*Gを「サイレントアドレス」として公開します。 送金したい者はサイレントアドレスを見て、自身の持つUTXOから送金に使

あるいは裏番組で安土さんが発表する「量子コンピューターとBitcoin」に興味がある方も多いかもしれません。Dev Dayの中でこの発表だけ日本語です。以下の記事で予習して聞かれるのも良いでしょう。

ビットコインは量子コンピューター耐性をどうやって手に入れるのか
ここ数年、定期的に話題に上がる量子コンピュータのビットコインに対する脅威が今週もツイッターで話題になっていました。確かに量子コンピュータは進歩していますが、現時点で状況が大きくは変わっておらず、ビットコイン研究所のFAQにも簡潔な回答があります: 量子コンピューターが出てきたらビットコインは大丈夫なのか?豊かな知識とともに。ビットコイン研究所田中 芳治 また、4年近く前に有識者によってSpotlightに投稿された以下の記事もとても参考になるので、お時間のある方は読んでみてください。 ビットコイン vs 量子コンピュータ本記事では結局量子コンピュータはブロックチェーンに対してどのような影響があるのかをなるべく詳細に説明Spotlight😆 この話題が盛り上がるとき、多くの場合話題の中心は「量子コンピュータがどのようにビットコインに対して脅威なのか」「時期的にはいつくらいからリスクがあるのか」「自分が取れる対策は」というテーマになります。しかし重要なのはビットコインがどのようにして量子コンピュータ耐性を獲得するのか、そのプロセスなのではないでしょうか。 今日はビットコインが量

Arkade-プログラマブル・ファイナンス

こちらは現在存在感のある2大Ark実装のうち、プログラマビリティを重視した開発が行われているArkadeというプロジェクトの発表です。

Arkの2大実装については過去記事で復習してください:

再来年の「ビットコインL2ブーム」の舞台はArk?
2024年以降、Web3の世界ではビットコインのナラティブに乗っかった「ビットコインL2ブーム」が継続しています。これまで様々な口実で草コインの存在を正当化してきたプロジェクトが、むしろ逆に草コインをダシにビットコインを「ステーキング」させるというトレンドです。2024年の振り返り記事にも書きました: 2024年の振り返り早いものでもう2024年も末となりました。今年も恒例の振り返り記事を書こうと思います。 今年はビットコインが4回目の半減期を迎え、アメリカではマイクロストラテジーがおびただしい量のビットコインを購入していたり、トランプ次期大統領の当選にも深く関わった可能性があるなど、どんどんスケールの大きな話になってきました。それと同時に、「通貨」としてのナラティブが「資産」というナラティブの影に隠れてしまい、今後その認識の違いが規制面などでビットコインの本質的なアダプションにとって困難を招いてしまうおそれも少し感じてしまうほどとなっています。 そんな1年を通して印象的だった5つのテーマを振り返ります。なお、2024年初の予想の答え合わせは来年最初の記事で行います。 ・「ビットコイ

もし質問する機会があれば、Citreaなど同じくプログラマビリティを重視するビットコインL2とどう差別化するのかなど聞いてみてもよいかもしれません。

BitVMを使ったビットコイン初のzkロールアップ・Citreaは需要を見つけられるか?
日に日に泥沼化していくBitcoin Core v30のリレーポリシーにおけるOP_Return制限の緩和に関する議論ですが、当初は「想定ユーザー」としてCitreaというレイヤー2の名前が挙げられていました。しかし実際のところ、CitreaでOP_Returnを使う予定はないようで、風評被害だったようです。 CitreaはビットコインネイティブなEVMレイヤー2を目指しているようで、先日のWebXやその前のTokyo Bitcoin Baseのイベントでチームメンバーと話す機会がありました。そこで彼らの技術的新規性に関心しましたが、同時に作っているものに需要があるのか疑問も出てきました。 今日はCitreaについて概要を説明し、どのような需要を狙っているのか、どこに需要を見つけられそうなのかについて書いてみます。 ・BitVMを使ったビットコインネイティブなzkロールアップ ・DefiにフォーカスしたEVM L2の需要はあるのか ・EVMチェーンであるがゆえの「斜め上」の使い方も ・メインネットローンチ前だが使ってみることもできる

ライトニングのラストワンマイル:ビットコイン決済をすべての人に

Arkadeだけでなく、もう1つの大きなArk実装であるSecondからCMOが参加するこちらのセッションはSecondのArkと同じく決済に主眼を置いた内容となります。モデレーターのStephan Livera氏は開発者をインタビューするポッドキャストもわかりやすくて評価が高いので、(SamsonもNeilも本格的な開発者ではありませんが)面白い内容になるんじゃないかと思います。

ビットコイン UX/UI の最適解──ユーザー体験をデザインする

Wallet of SatoshiのCEO、相続向けウォレットLianaのCEO、Mempool.spaceの共同創業者が登壇してビットコインアプリが苦手としてきたUXについて語ります。

Wallet of Satoshiの長所の1つはその圧倒的にシンプルでわかりやすいUXだと感じているので、個人的にはこのセッションにかなり興味があります。Mempool.spaceも、ビットコインの技術への理解度が高くても低くても使いやすいところがすごいと感じているので、どのような内容のセッションになるのか楽しみです。

Lianaについては以下の記事の末尾で紹介しているのでおさらいしましょう。

ビットコインで話題の新レイヤー2「Ark」はどのような技術なのか
読者の皆さんはちょうど昨年のこの時期にBurak Keceli氏がBitcoin 2023カンファレンスで「Ark」として正式に発表したレイヤー2の話題を覚えていらっしゃるでしょうか? 今年の5月29-31日に開催されたBitcoin SeoulカンファレンスでArkの開発者のうちの1人(Steven Roose氏)による発表と質疑応答の時間があり、ようやく自分の中で内容の整理がつきました。発表当初と少しデザインが変わった部分もありますが、今日はArkの仕組みについて軽く解説してみようと思います。 ・コベナンツを前提としたArkの仕組み(図説) ・少し仕組みを変えて現在稼働しているArkもある ・おまけ:コベナンツではないが、相続を念頭に置いたウォレットLianaが面白い

Dev Dayのおすすめはこんな感じです。Luke Dashjrの発表、OP_Returnの話題など、目玉っぽい発表は外しているんだなと思われたかもしれませんが、これらは過去記事で詳しく扱っており、ビットコインへの実質的な影響など総合的に見ても優先度が低いと感じられるためです。そう感じない方は記念に行ってみるのもいいでしょう。

メインカンファレンスは海外でのビットコインの立ち位置がメイントピック

メインカンファレンスのほうですが、1つのステージのみからなり、構成もだいたい4つに分けられます:

・成田悠輔氏との対談(午前)

・世界でのビットコインの立ち位置(午後前半)

・法人やトレーダー視点のビットコイン(午後中盤)

・社会問題とビットコイン(午後後半)

上の分類に若干当てはまらない発表もありますが、大まかにこのような形です。ステージも1つしかないので、興味があるトピックの時間帯だけ来場する参加者が多いだろうという予想をしています。

この中で選ぶとしたら、(一応成田悠輔氏の本は読んで予習しましたがビットコインとの相性は未知数なので)一番面白そうなのは世界でのビットコインの立ち位置に関する発表たちです。「ビットコイン世界地図」シリーズの発表は12:30を皮切りに14:05まで続くので、この95分が一番ためになりそうだと感じています。

逆にそれ以外はお好みという程度でしょうか。メインカンファレンスではブースやライトニングマルシェのようなものもあると聞いているので、空き時間にはそちらを楽しむのも良いでしょう。

サイドイベントは相変わらずNostrasiaが楽しそう

サイドイベントとしては、11/22土曜日に新宿のCrypto Lounge GOXという会場でNostrasia 2025が開催されます!日本ビットコイン産業もスポンサーしているこちらのイベントはNostrという通信プロトコル(主にSNSとして使用されている)の関係者によるお祭りで、ヒーローショーから技術トークまで幅広いコンテンツが楽しめます。

Nostrasia 2025 - Evento
Nostrasia 2025 is the world’s biggest Nostr festival, held in Japan. It’s a day for learning and having fun. Meet friends from all over the world, join talks and hands-on activities, visit the Nostr Shrine to try a fortune, and make new friends. Enjo…

Nostrを使ったことがない人はぜひこの機会に触ってみましょう。Nostrに関する過去記事はこちら:

ツイッターによる競合指定によりNostrが一躍有名に
先日、ツイッターのポリシーに「競合他者へのリンクやプロフィールの共有禁止」という文言が追加され、批判を呼びました。(のちに撤回、ツイートは削除) Specifically, we will remove accounts created solely for the purpose of promoting other social platforms and content that contains links or usernames for the following platforms: Facebook, Instagram, Mastodon, Truth Social, Tribel, Nostr and Post. — Twitter Support (@TwitterSupport) December 18, 2022 名指しで指定されていたSNSには大手や、ツイッターから追放されたトランプ氏が設立して物議を醸したものと並んでNostrという名前がありました。
分散SNSとしてのNostr
豊かな知識とともに。

まとめ

以上、今回のカンファレンスのおすすめポイントでした。これらのトピックの中から詳細な記事を書くものも今後出てくるかもしれません。もしリクエスト等あればコメントをお願いします。