DefiでつかえるBTCペグトークンについて(wBTC, RenBTC, sBTC)簡単解説とリスク
引き続きDefiを試してみます。
Defiの稼ぎ方の基本として、プールへの流動性の提供というのがあります。これによって、流動性のうち一部が還元されるほか、ガバナンストークンの配布がうけられることがります。
これをやろうとしたときに、どうしてもイーサリアムのDefiですから、ベースとなるものは、ETHとERC20トークン、または、そのステーブルコイン(DAIや、USDC、USDT)ということになります。
イーサリアム系のひとはこれらをホールドしているとおもうのですが、私のようなビットコンマキシマリストとなると、これらトークンは一切もってなかったりします。
しかしこれらトークンでないとDefiに参加できないのですから、しかたなく購入するわけなんですが、BTCも同時に上がっている最中ですので、できればBTCは売りたくありません。
そこで、先物でBTCをロングしてヘッジしながらUSDTを買うといったようなことをするわけですが、これが非常に面倒です。
流入が加速するBTCペグトークン
そこで、なんとかBTCをそのままイーサリアム上でDefiにつかえないかと考えるひともでてくるわけです。そこで出てきたのが、ペグトークンです。つまり、BTCと価格連動するERC20の資産をイーサリアム上で作り出し、それを代替とするわけです。つまりBTCステーブルコインですね。今回はこの流れをおってみます。Coindeskによれば、イーサリアム上に流れ込むBTCの量は加速的にふえているとのことです。"イーサリアムブロックチェーンに流入したビットコインは7月、約9600万ドル(約100億円)に達した。6月に記録的な増加を見せ、約5900万ドルとなっていたが、さらに増加した。現在、2万ビットコイン(約2億2500万ドル、約235億円)以上がトークン化され、イーサリアムブロックチェーンで利用されている。"
イーサリアム上のBTCペグコインはマイナーなものを含めると何種類かあるようですが、ここでは代表的な3つのものを解説します。
wBTC(Wrapped BTC)
wBTCは、イーサリアム上のBTCトークンのシェアの75%をもつリーダーです。1万50000BTC以上が発行されています。
発行方式は、カストディです。BitGO社が、現物のBTCを預かり、その預かり証としてwBTCを発行する形になっています。100%の準備率です。発行方式でいうと、TetherのUSDTと同様で、発行体の信用のもとに発行されているということになります。ただ、BitGO社は、取引所のお金なども預かっているカストディ企業のNo1ですから、信用具合でいうと、かなり信用できるといえるのではないでしょうか。次にあげるRenBTCが非中央集権型をうたっていますが、現時点では、はるかにBitGOのほうが信頼性があります。
wBTCは入手がなかなか困難です。BitGOに直接BTCを預け入れることはできず、マーチャントといわれる提携取引所をつかって交換することになります。そのほとんどが、Coinlistというカリフォルニアの取引所がになっています。わたしもwBTCを手に入れようと、Coinlistに登録したのですが、KYCがいつまでたっても終わらず、ずっと使えない状態です。米国企業だけに、ややこしい感じの匂いがしますw
というわけで、wBTCは信用できそうだが、入手が面倒というデメリットがあったのですが、どうやらFTX.comで、先日から交換できるようになったようです。
交換の手数料は、0.25%程度。wBTCを、BTCにもどすときも0.25%とられます。往復で0.5%です。
wBTCですが、なんといっても、MakerDAOの担保に使えるというのが最大のウリです。wBTCを担保に、DAIを生成(借り)りて、そのDAIをつかって、Defiのファーミングをするというのが一般的なつかわれかたでしょうか。これにより、BTCを現金化することなく、DAIをを調達することができ、またBTCの値上がり益も失うことがありませんので1つのwBTCで2回美味しいってことになるわけですね。
このように、値上がりしそうなコインを担保にしてステーブルコインを借り、それをつかってDefiファーミングするというのが、Defi周りでの基本運用パターンになっています。ETHホルダーは以前からそれをやっていたわけですが、BTCをホルダーも同様のことができるようになったのは、嬉しい限りですね。
RenBTC
RenBTCは、RenVMというものを通して分散型で発行されるBTCペグトークンです。いちおう分散型のしくみといわれています。
基本的には、BTCのチェーンで、BTCをマルチシグアドレスにロックします。そのロックが確認されたら、イーサリアムのスマコンがRenBTCというERC20トークンを発行します。元に戻すときは、逆をするわけです。
スマコンでやってるので分散型ということなわけですが、気になるのは、このBTCをリリースするときの秘密鍵をどうやって生成しているのかというところです。
詳しい仕組みは私もよくわかってないのですが、概要だけをみるとRENはPOSで動いており、ダークノードといわれるいわゆるバリデータノードがあります。そのノードの2/3以上の承認で、いろいろそのあたりが出来るということのようです。
ただ、ノードがそれぞれ秘密鍵を持っているわけでもなさそうでうし、スレッシュホールドシグネチャでしょうか。となると、1/3以上のバリデータがやめてしまったり、消えてしまったら、秘密鍵が復元えきなくなってしまわないのでしょうか?
そのあたりの仕組みが、いまいち私もかっていません。
どっちにしても、肝心の部分がドキュメント上ではあいまいになっており、肝心なところのコードも非公開?という話もあって、正直いって、かなーり微妙です。
分散型といいつつ、やっぱり裏では単純にバックアップを運営がもっているんじゃないかと勘ぐりたくなります。ということで、wBTCに比べると信用力は格段におちますね。
一方、RenBTCの魅力は、なんといっても、取引所やKYCに登録も不要で、だれでも生成できるということにつきます。
生成には、Ren Bridgeというサイトをつかいます。
わたしも実際にやってみました。
まず、メタマスクと接続して、イーサリアムのアドレス情報を事前にRen Bridgeに渡します。そうすると、BTCの送金アドレスがでてきますので、そこにBTCをおくります。6確認とれると、イーサリアム上でRenBTCをクレームする画面がでますので、メタマスクでサインすればRenBTCが取得できます。
流れはスムーズでした。しかし、途中でフリーズしたりしたら、どうなるのかとか、やっぱり怖いものがありますね。
生成の手数料は、0.1%+0.0007BTCです。これに別途、イーサリアム側でERC20トークンの生成コントラクトのGaS代がかかります。私は7ドルくらい払いました。
BTCに戻す実験も行いましたが、逆の手順でいつでも戻すことができます。RenBTCの運用方法ですが、RenBTCがつかえるプラットフォームも徐々にふえてきているようです。Compoundでは、RenBTC/Renのプールに大量に流動性が供給されるなど盛り上がりを見せています。また、Curve.fiでもrenBTC/wBTCのプールがあります。この2つが主な運用先でしょうか。RenBTCは、発行残高が2000BTCを超えて、存在感を増してきています。
Snthetix BTC
最後に、SBTCを紹介します。snthetix networkというプラットフォームで発行されるものです。
wBTC、renBTCともに、現物のBTCを担保にして発行していましたが、SBTCは別の仕組みです。DAIなどの生成と同じで、他のコインを担保にして、BTCと価格連動するステーブルコインとしてSBTCを発行するという形になっています。こういったものを合成資産(シンセティック・アセット)と呼びます。
snthetix network(https://synthetix.exchange)は、このしくみで、あらゆるアセットを擬似的につくりだしています。BTC以外にも、LTC、DASH、XTZなど、数十種類、ステーブルコインではUSD、EURO、JPYはもちろんのこと、NIKKEI225やFTSEといった株価に連動する資産まであります。まさに何でもあれです。
さて、ここで、とんでもない話を書きます。これらのアセットは、何を担保資産として発行されているのでしょうか。ETHでしょうか?DAIでしょうか?ステーブルコインでしょうか?
わたしは当然そうした既に価値のある資産をもとに発行されているのかと思っていたのですが、どうも違うようです。
なんと、担保はSNXというトークンです。聞いたことありませんよね。当然です。SNXというのは、このsnthetix networkプラットフォームのガバナンストークンです。
つまり、自分のところのトークンを担保に、アセットを発行する仕組みということです。
当然ですが、SNXというのは、ゼロから運営者が創りだしたコインであって、なんらの価値のうらづけもありません。snthetix networkが成長すれば、なんとなく価値がでるかもしれないという自社コイン。これを担保にアセットを発行する仕組みをつくって、そのアセットが沢山発行されればされるほど、SNXという自社コインも価値がでる?ということのようです。なんというしくみでしょうか。自分のしっぽを食べるループした蛇のイメージが即座にわきました。
当然ながら、SBTCのリスクは、この3つの中では、最も高いです。現物のBTCの担保は一切ないのですから。
このSBTCですが、いくつかのDefiの中ではすでに組み込まれています。
Defiが気にしていないステーブルコインのペグリスク
以上3つのBTC連動アセットを紹介しましたが、多くのひとは、これらのコインがどのように発行されて、どのようなリスクがあるのか、ましてや何が担保になっているのかなんて調べることはしないでしょう。そして、平然と、それらのコインが流通することになります。何度もTether社の担保割れが指摘されていても、USDTが1ドルを保っているのと似ていますw。
こうした仕組みをみると、Defiは非常に脆い橋を、何重にも掛けたところに、大量の人が乗っかている状態だということがわかります。SBTCのようなものが、下手をすると橋の1階部分に組み込まれているのですが、何重にも橋がかかっているので、一番上のひとにはなにも見えません。SBTCのペグがいつ外れるのかは、だれもわからないし、だれも理解してないのです。
これはリーマンショックの時と一緒です。リーマン・ショックのときはトリプルAの格付けがされたCDO(債務担保証券)の中身が、ゴミのようなサブプライムローンに化粧したものでしたが、だれもそれに気づきませんでした。Defiにおいても、自分があつかっているDefiの中身がどうなっているのかを理解しているひとは殆どおらず、大量の資金が目先のカネを目当てに流れ込んできています。(大石)

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