コールド保管しているビットコインに保険をかける方法
ビットコインをコールドウォレットで保管すればサイバー攻撃からは強固に守ることができます。しかし、災害や強盗などから守るにはそれでは足りず、ビットコイナーの中にはマルチシグの活用や保管場所の分散などによって対処しているケースが少なくありません。ビットコインはいつの間にか価値が増加してきたため、今以上に貴重になっても守り抜ける保管方法が必要になります。
一部のカストディアンには保険が付属します。例えば最近リテール向けのカストディ事業を始めたBitGoは、保管している資金について2.5億ドル相当までが保険の対象となっています。(BitGoの規模からすると小さい金額ではありますが。)日本の取引所もホットウォレットの内容について規制によって弁済可能な形で自己勘定で保有することを義務化されており、保険のような何かとみなすこともできるでしょう。(こちらも資金の大半があるコールドウォレットの中身は対象外ですが。)
様々なリスクがあるビットコインの保管に保険を簡単に提供してくれる会社はありません。自分で保有するビットコインに保険をかけようと思ったらどのようにしたら良いのでしょうか?今日はいくつかのアイデアを共有します。
・保険付きのカストディアンの利用
・共同カストディ型のプロダクトの利用
・他の保険商品の応用
保険付きのカストディアンの利用
取引所はカストディを専業としておらず、顧客資産の保管に対して料金を取っているケースは皆無かと思われます。
実際は顧客が保管リスクを取引所に一方的に押し付けているわけで、本来はその分の保管料を取ったり、万が一の際の弁済に預金口座でいうペイオフのような上限額を設けるべきだとは思いますが、なかなかそうはなっていません。
しかし、専業のカストディアンは保管料・出金手数料などがビジネスモデルとなっているため、使う業者によって異なりますが少し調べれば具体的な数字が出てきます。
例えば冒頭で紹介したBitGoの個人向けカストディ商品は保管料は10万ドルまで無料で、それ以上の金額に対して月間0.05%(年率0.6%)となっています。出金手数料はなさそうですが、他社だとあるところが多いです。(管理手数料の1~3ヶ月分相当が相場感)
ただし、保険という目的でいえば、やはり冒頭で述べた通り保険対象の金額が実際の保管金額と比べて非常に小さいので、大規模な盗難が発生した場合は目減りして返ってくる可能性があります。(逆に言えば2.5億ドル以内の盗難あるいは鍵紛失であれば全額返ってくるので、このあたりBitGoのセキュリティ対策をどれくらい信用するか次第です)
共同カストディ型のプロダクトの利用
最近リリースされたAnchorWatchという、共同カストディ型の保険つきコールドウォレットがあります。Tridentと呼ばれるこのウォレットの使用を条件に、保管しているビットコインに対して保険をかけることができます。
Trident利用時の送金にはユーザー側の2-of-3マルチシグによる署名に加え、別途AnchorWatchによる署名が必要です。このときに1~2営業日ほどかけて確認をしてから署名するため、顧客の意思と反するトランザクションが発せられるリスクが軽減されます。また、顧客が鍵を2つ失ってしまっても、時間経過とともにAnchorWatchと協力して、あるいはAnchorWatchがパートナー企業と協力して送金できるようになるため、セルフGOXのリスクも軽減されます。仮にAnchorWatchが突然消滅しても、ユーザーはRecovery Scriptと呼ばれる情報と保有する署名機でTridentから出金することができます。
このように保管時の様々なリスクを軽減することによりAnchorWatchはロイズ・オブ・ロンドン(世界的な保険市場)にて保険を調達することができるようになったそうです。しかも、いわゆる5ドルレンチ攻撃による恐喝(強盗)も補償対象となっているそうです。
I fought SO HARD to include wrench attack coverage to our insurance policies.
— BeccaAmilee (@BeccaAmilee) January 23, 2025
We were successful - we convinced Lloyd's of London that to fully protect bitcoin owners, we needed to cover losses due to violent theft.
Multi-month process to add this coverage. Extra actuarial…
なお、AnchorWatch以外のプラットフォームを使って保管しているビットコインについて保険をかけたいという相談にも応じてくれるそうで、その場合は最低2500万ドルの補償上限を設定する必要があるそうです。
他の保険商品の応用
必ずしもビットコインに保険をかけるという発想で探す必要はなく、心配している事象に対して保険をかけるのも効果的かもしれません。ただし、ビットコインが補償の対象になるかだけは必ず確認する必要があります。
例えば5ドルレンチ攻撃が心配な場合は盗難補償付きの保険などが選択肢に上がります。ただし、簡単に見つかる範囲では限度額が小さいものしかなかったため、保険会社に相談したり富裕層向けの商品を提供してもらう必要があるかもしれません。国内のものだとビットコインには対応していない可能性が高いですが、海外のものだと請求が難しいかもしれないので、先述のAnchorWatchが日本に対応していればベストなのですが。
誘拐が不安なら、誘拐保険・身代金保険というものが存在します。主に企業が従業員をハイリスクな国に送り込む際にかけるもので、日本には残念ながら個人向けにこの種の商品を提供している保険会社はありませんが、海外の保険会社のものに入ることもできます。例えばAIGのCrisisSolutionという保険商品が該当します。
繰り返しますが、どの保険についてもビットコインが対象か確認する必要があります。盗難を偽装できてしまうリスクが小さくないため、保険会社としては扱いが難しいものなのでしょう。ここで紹介した商品について対応を確認したわけではありません。(ただし、身代金保険については身代金がビットコインで請求されるケースもあろうかと思うので比較的問題が少ないのではないかと想像します。)
まとめ
・カストディ会社の保険は全額盗難・全額紛失に対しては圧倒的に足りないが、上限額以内であればお手軽で有効
・AnchorWatchのようにビットコイナー向けのセルフカストディ型保険商品が登場しており、これから選択肢に上がるようになってくる
・身代金保険のような商品も、特定のリスクへの対策としては有効な場合がある(対象外でないことは要確認)
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