サッカーとNFTについて(2)NFTモーメント
前回(【2022/07/27】)に引き続き、サッカーにおけるNFTの利用について調べ、その考察をしていこうと思います。
サッカーの重要な場面をNFTとして発行し、それを購入できるようなサービスとして、DAZN momentsやRakuten NFT players anthemがあります。本コラムでは、それらをまとめてNFTモーメントと呼ぶことにいたします。これらのサイトでNFTモーメントを自腹で購入し、今後どのような可能性があるかについてサポーターの視点で考察します。(一応お断りしておきますが、別に利害関係があるわけではありません。楽天は神戸のスポンサー、DAZN moments と提携しているMixiはFC東京のスポンサーで、筆者は浦和サポーターです。)

<映像選択に介入が必要>
どんなスポーツでも名場面・珍場面というものはあると思います。サポーターの感覚では、タイトルがかかっている重要な試合や、残留が決まる試合など思い出に残る場面は多く生まれるものです。それらは人間の感覚的なもので、どの場面の価値が高いかというのを定量化するのは難しいですが、うまく選択できれば価値が高くなるかもしれません。
NFTモーメントでは、発行者(DAZNや楽天の担当者)が選手や注目シーンを選択・抽出しているようです。現在発行されているNFTをながめると、なぜその選手を選んだのか、そのシーンなのかという所に関しては、サポーター視点からは??と思うこともあります。どのようにしても選択には賛否両論が生じると思います。
さて楽天players anthemですが、「浦和の22番を受け継いだ柴戸の一撃、CKから豪快ヘッド」というタイトルのNFTモーメントがあります。
https://nft.rakuten.co.jp/moments/JL_1649414543_44c7bcf46/
サムネイルが得点した柴戸選手ではなく、別の選手(3番の伊藤敦樹選手)という変なことになっています。得点時に伊藤選手もゴール前にいたので、現場の中継スタッフが勘違いしてしまい、ゴール後に伊藤選手が映ってしまいました。それは浦和のサポーターならすぐわかるのですが、その中継映像のままNFTとサムネイルが(自動?)作成されたようです。(今後直るかもしれませんが)間違いでしょうね。
記事https://japan.cnet.com/article/35187884/ によれば、楽天サッカーNFT担当者のコメントがありました。
映像はいじらないで生のものがほしい、魚は生の刺身で食べたいんだ、という考えかもしれません。なので、NFTとして提供するときにはわれわれの方で映像をこねくり回すことは避けた方がいいと考え、第1弾では本当に生のままのシーンを切り取った映像を販売させていただきました。
とあります。確かにそういう考えも成立すると思いますので、それは構わないと思います。ただ今回は単純な中継ミスだと思われるので、ハプニング的な面白さも無さそうですし、サムネイルは修正した方がよかったかもしれません。とはいえ、筆者はこのNFTを購入しました。(DAZN moments で買いました)。穴のない50円玉のように面白い価値が生まれるかもしれません。
<発行数と取引数、金額データの公開>
NFTには発行概要について別表にまとめました。発行数が少ない方が希少であるという考えもありますが、実際はどうなっているのでしょうか。楽天NFTでは個人間マーケットプレイスでの購入履歴が公開されています。上述の柴戸選手のNFTモーメントについて、購入履歴データ(8/16 19時)を詳しく見てみました。
NFTは300個発行されたとあります。しかし、シリアルナンバーを調べてみると結構抜け番があります。実際に購入されたのは300のうち162個です。抜け番のNFTがどうなるのかはわかりませんでした。
さらに「選択して購入する」より情報を調べると、162個のNFTのうち、57個が出品中です。最高金額は5,000,000円で、シリアル番号1と226番です。シリアル番号にも価値があるかもしれませんのでチェックすると、柴戸選手の番号である22番のNFTが2,222,222円で出品されていました。これは意味があるような気がしますが、あとの価格は全くランダムのように感じます。全体の出品価格は、最頻値2,000円をピークに分布しています。もともと3個のNFTを1パックとして4,950円で販売していたので、単純に割り算すると、1,650円です。
このNFTモーメントは、過去に11件が売買成立しています。ちなみに、筆者もシリアル番号151番を7/21に420円で購入しました(購入者reds_Tという名前です)。これまでに売買成立した11件の平均金額は960円です。
以上をまとめると、出品者は1,650円のNFTを2,000円で売ろうとしているが、実際のマーケット価格は960円だったということになります。これらの金額が柴戸選手の人気とは関係していないように思いますし、ちょっとわかりにくいですね。どのように解釈すればよいかが分かれば、面白さも出てくるかもしれません。サポーター目線では何が価格決定に寄与しているのかがピンときませんでした。DAZNでは、もう少しNFTを利用したコンテンツを準備しているとのことです。それによって明らかにされるかもしれません。
<著作権・SNSでの利用>
モーメントといいますが、実際には映像作品として提供されています。NFTモーメントの映像は、この公式映像をもとに編集されたものです。法律的には、NFTを購入しても映像の著作権は得られません。Jリーグの試合映像の著作権は、日本プロサッカーリーグ(通称Jリーグ)が保有しています。「プロパティ利用規定」にある「映像使用における禁止事項」よれば、ある選手のゴールシーンの映像を加工しSNSで公開することはできないということになります。NFTモーメントを購入してもその点は変わりませんが、今後どうにかならないでしょうか。
一方で、スタジアムで個人撮影した写真・動画についてですが、以前は、SNSでの公開は禁止されていました。しかし、現在は動画投稿が新規の来場者を増やすことにつながるとして、規制が緩和され、投稿者本人が撮影したものであれば投稿してもOKとなりました。ただし動画には例外があり、「試合中の選手・ピッチ上を撮影した物」や「場内大型映像装置で移されたハイライト映像」は投稿できません。
この緩和で、最近は試合観戦のvlogのような動画がSNSに投稿されており、かなり面白い映像が公式以外にも多くあります。しかし、これらをNFT化したという話は聞いたことがありません。中には相手チームに対する誹謗中傷、個人攻撃などにも使われるので、全部が価値あるものというわけでありませんが、一部には優れた作品があります。これらの資源を活用できれば面白いと思います。
次の記事
読者になる
一緒に新しい世界を探求していきましょう。
ディスカッション