最近コロナウィルスによって多くの人が自宅にいる時間が伸びたことなどにより、VRが流行していることには前にも触れたかと思います。(もしここで触れていなくても、VRが話題に上ることが増えたと感じる人は多いのではないでしょうか。)

ビットコイン周りでも、RecklessVRによる毎週土曜深夜のプチカンファレンスや、先日のビットコイナー反省会放送でもさらっと紹介したプチカンファレンス+ゲーム大会のMintgoxなど、VRを活用したイベントが増えています。

しかし、よく考えれば私達はVR空間においてビットコインをスムーズに使用するためのUIを持ちません。そこで今日はVR空間でのビットコインやライトニングのウォレットがどんな形になるか、妄想してみました。

ICOで2600万ドルを集め、イーサリアム上のNFTを使って有限のVR空間での土地の所有権を表現するDecentralandというプロジェクトはVRの探索にブラウザを使用するのですが、アイテムや土地の取引は別のウィンドウを開いてMetamaskで行うため、VR空間特有のウォレット体験があるわけではない模様です。
VR空間自体はけっこうセカンドライフ的なポテンシャルを感じるのですが…。
VRの制約

VRという媒体には、既存のウォレットを使う上で障害となる様々な制約があります。

VRヘッドセットを装着したままでPCやスマホのウォレットを使うのは難しい
VRの世界を見ているときにPCやスマホのウォレットを操作することはUXとしては最悪です。支払いのためにVRヘッドセットを外すのは一気に没入感が失われる上、コンテンツの流れを止めてしまうので用途の幅を狭めてしまいます。(即時性の高いコンテンツに支払いを組み込めない)
また、VRヘッドセット内の画面をスマホのカメラで写すことは当然できません。ただ、VRヘッドセットにカメラがついている場合が多いので、スマホからウォレット情報をインポートすることはできるでしょう。

画面共有機能があるので、センシティブな情報を表示するのは良くない
ほとんどのヘッドセットにおいて、スマホやテレビ、パソコンに画面を共有して第三者にも楽しんでもらう機能があります。この機能があるため、パスワードやシードフレーズなどを表示するのはなるべく避けたいです。共有をオフにしていたとしても、実はオンになっていたとか、バグがある可能性があり、その際にヘッドセットをしている本人は気づきません。
また、最近流行りの動画配信にも向いていません。

長い文字列の入力には(現時点では)向いていない。(パスワード含む)
コントローラーを使っても、長文の文字列の入力はかなり面倒くさいです。ただこれはウォレットというかVR全体の課題です。(なるべく文字を入力させないコンテンツにすることが大事)
ですので、支払いのたびにパスワードを入力するようなUIは不向きです。

コントローラーvsハンドトラッキング
現在主にこの2種類の操作方法があり、片手に1つずつコントローラーを持つ方式が主流ですが、将来的にはハンドトラッキングという手の形を認識して「触って」操作する方式が主流になる可能性があるのでUIを考え直す必要が出てくるかもしれません。

VRヘッドセットのウォレットのセットアップ

個人的なイメージとしては、ヘッドセットで文字を入力するのはお手軽でもセキュアでもないので、スマホから一度だけウォレットの接続に必要な情報をQRコード経由でヘッドセットに入力する形が一番スムーズかと思います。

LNDHubのような形で、他のノード内にカストディアルなウォレットを持つという形はVRヘッドセット対応のウォレットさえ作ることができれば実現できるでしょう。(LNDHubはBluewalletやLntxbotと同じ仕組みで、LntxbotのウォレットをBluewalletにエクスポートできるのはこの規格に対応しているためです。)

セットアップする方法を思いついたので、次はUIのアイデアをいくつか考えてみました。

UIアイデア① ポップアップで確認画面呼び出し

ゲーム等をしているとき、ライトニング支払いを求められる場面で、自分の手元に支払い確認画面が小さく表示される方式です。ゲームなどのプレイ画面に他のアプリを重ねて表示する方法はあるので、必要に応じてブラウザからウォレットを呼び出すWebLNの要領でライトニングウォレットを呼び出して、「支払いますか?Yes / No」というポップアップを手元・足元・体の横などに表示させるというアイデアです。確認ボタンを押すだけなので(残高不足ならその旨のメッセージを表示する)、コンテンツの流れを妨げずにかなり素早く支払うことができるはずです。
コントローラーのスティックをぐりぐり回すことで送金額を変えるなども比較的わかりやすくてお手軽な数字入力不要のUIとして考えられますね。

これを実現するには、VRヘッドセットに共通して適用できるライトニングウォレット呼び出し規格のようなものがあると便利でしょう。WebLNをそのまま流用できる場合もあるかもしれません。

UIアイデア② VR内で財布のようなものを実装

一番ブッ飛んでいるような、平凡なようなアイデアです。現実世界のUXをVR内で再現します。

ゲーム等を遊んでいるとき、ポケットから財布やスマホを取り出す要領でウォレットを取り出して、他のプレイヤーと金銭のやりとりをします。わざわざ財布を取り出す動作があるのでスピード感はないですが、最も現実世界っぽいのでシミュレーションゲームだったり、VRミートアップ的な場には適しているかもしれません。
財布を見るだけで残高がわかったり、ATMに預けるとゲームに預けられる・出金すると手元に引き出せるなどの仕組みがあると、ウォレットUIとしてもわかりやすくて優れているかもしれません。(旧態依然といえばそこまでですが。)

細かい機能は実装が各ソフトに任されるので、ソフト間で動作が異なったり、そもそも実装が面倒だと流行しにくそうなのが欠点です。そうなるとそもそもゲーム自体に預けて管理させたほうが楽かもしれません。

UIアイデア③ QRコード的な「何か」に接近するとウォレットを開ける

VR内で仮想カメラを使う・使わないに関わらず、「ライトニングが使える」「ビットコインが使える」を意味する記号(例えば稲妻)に近づくと、WebLNの要領でウォレットを呼び出せるようなUIも考えられます。例えば他のプレイヤーの稲妻マークをクリックすると、その人にお金を送れるなど。
これはゲーム相手というよりはプレイヤー同士のP2Pなお金のやりとりに向いているかもしれません。

この場合は、ウォレット自体のUIはどのようなものでもよく(結局は金額さえ表示・変更・送信できれば良い)、WebLNのような比較的軽量な規格になると思うので、実装が②よりは簡単かもしれないです。(依然として細かい実装は各ソフトに委ねられていますが、ライブラリが誕生するでしょう)
②と③の違いは、支払いがあるときにまず財布を取り出すか、支払い相手をクリックするかの違いだと思って下さい。

最後に

即時性が求められる場面、安全性が求められる場面、儀式性が求められる場面など、VR空間内でウォレットを使う様々な場面が考えられます。必要な性質によって最適なウォレットのUIは異なるかもしれません。
いずれにせよ、VRコンテンツ内でも直感的でお手軽に使えるウォレットがあるとVRでできることも飛躍的に広がるでしょう。VRやゲームの開発に関しては門外漢ですが、今回はVRでのウォレットの姿を勝手に妄想しました。

分野経験がないので、残念ながら自分が初のVRウォレット開発者にはなれなさそうですが、近いうちにRecklessVR絡みで何かしら出てくるのではないかと思います。

読者様の中で、こんなのも面白いかもしれないといういい案があればぜひコメントを下さい。