さて、最近は頭がコロナウイルスのことで一杯ですね。自分に直接的に影響を及ぼすこともありますが(移動や仕事のスケジュールなど)、今まで中国やアジアの一部で騒がれていたコロナウイルスのリスクがヨーロッパやアメリカにも急速にパニックとして広がっています。ビットコインや仮想通貨、ブロックチェーン業界でも最近はこの話題ですっかり持ちきりということで、コロナウイルスの仮想通貨業界や市場全体へのファンダメンタルズ的な要因についてわかっていることや仮説、アップデートを共有します。

仮想通貨インフルエンサーのいう事を鵜呑みにしない

ビットコインや仮想通貨界隈でもコロナウイルスに関して積極的に考察、発信している人たちもいます。ただし、当然ですがビットコインの話はともかく、それらの人たちが疫学の専門化や知見を持っているわけでもなく、ビットコインに関しての知識はすごいとしても、素人の自分から見てもちょっとトンデモなことを言っている人も海外などでも少なくない印象です。

なのでコロナウイルスの件がどのように解決されていくか、どのように対処すべきか、などは自分も含めあまり参考にしすぎない方がいい気がします。

一方、コロナウイルスがビットコインやクリプトやブロックチェーン市場全体に界隈にどんな影響を与えうるか、という点で参考になりそうな意見をいくつか紹介します。

今回の危機はリーマンとは文脈が違う

まず「コロナショック」と言えるような株式相場の急激な下落がここ数日起きていますが、これはリーマンショックのような流動性の枯渇や金融市場の崩壊とは性質が違うものですよくビットコインはリーマンショックのような「金融危機や過剰な信用創造の失敗へのアンチテーゼ」とか言われることもあり、金融危機やそれによる法定通貨の価値の棄損などは(本当かどうかはさておき)ビットコインには追い風、と考えられることが多いです。ただし、今回はそもそもの実経済の機能のシャットダウンによる経済的ダメージ、なので、ビットコインの主題にはマッチせず、株式やビットコインなど含め全体的にネガティブに作用しているようです。
なお、ここら辺の話は仮想通貨の税務サービスなどを提供するCryptactの斉藤さんなどが記事で解説してくれているのでお勧めです。

今後くる(?)コロナ不況とリーマンショックの違い|Saito Gaku|note
今後くる可能性のあるコロナ不況とリーマンショックは全く違うタイプの不況です。一般的にはその違いが分かりにくいので、説明したいと思います。 景気というのは、①生産性と②レバレッジ(信用/借入)の増減で決まります。つまり不況になるとは、生産性の低下や低成長とレバレッジの減退を意味します。 中長期では生産性の要素が大きくなる一方、信用創造の高度に発達した国では、短期的には(場合によっては中長期でも)レバレッジの減退による影響が圧倒的に大きいです。 今回のコロナ騒動、珍しく①が全てです。厳密には生産性が徐々に低下してきたのではなく、そもそもわざと停止させたことで生じています。 生産性の

とはいえ、経済のシャットダウンや自粛行動が続くとそれがいつ金融危機を誘発するかわからない、という見方も当然あり、予断を許さない状況ではありますね。

中央銀行のコロナウイルスへの反応と、ビットコインの楽観的なナラティブ

同時にビットコインのファンダメンタルズのナラティブに追い風とみなせる要因もあります。

コロナウイルスの経済への影響に対応する形で、中央銀行による金利の引き下げや追加の金融緩和(日銀のETF買い増し計画)などが議論されています。これは短期的に経済を支える為、未来にダメージを分散させる目的で仕方ない気もしますが、このような中央銀行による恣意的な市場介入や追加緩和などは、法定通貨の放漫な発行へのアンチテーゼとしてのビットコインにとってはプラス要因と捉えられます。

実際、株式や原油市場の急激な下落に対して、ビットコインは今回むしろかなり踏ん張っていたりして(それでも2週間で17.5%減ではありますが…)、安全資産とみなされるゴールドの価格が上がっていることなどからも、経済活動停止の全体的なマイナス要因と、法定通貨の価値棄損や中央銀行の失策へのヘッジとしてのポジティブ要因、が若干相殺し合っている状態と言えるかもしれません。

半減期相場の停滞の懸念

半減期直前の相場としては、コロナウイルスの影響を受け、想定していたより全く奮わない状況です。これは個人としても若干想定外ですし、正直懸念もあります。

過去の半減期では半減期前に急速にコイン価格が上昇し、半減期後もマイナーの収益性も保たれ、ハッシュレートも踏みとどまっていたのですが、今のところビットコインの価格は軟調で今回はそのパターンが崩れる現実的な可能性が出てきました。

一方、今のところハッシュレートはまだ比較的堅調に伸びており、これは中国のマイナー勢にまだ底力が残っていること、一時期コロナウイルスのマイニング産業への影響などの懸念などもありましたが特に問題はなかったことが伺えます。※添付画像①

また、中国はコロナウイルスの封じ込めでか都市の丸ごと閉鎖などかなりの力技を使いましたが、少しづつ経済活動が通常運転に戻りつつあるように見えます。ビットコインの相場もマイニングもまだなんだかんだ中国の動向に影響を及ぼされる部分も多く、中国が復活してくれればビットコインや仮想通貨全般もまた勢いが戻ってきてくれる可能性はあります。これは悪くない要因ですね。

一方、BCHとBSVは半減期到達まであと一か月を切りましたが、想定より直前の価格上昇なども見られずハッシュレートも下がり始めており、すでに力なく価格下落を始めてします。以前考察したコラム通りに行けば半減期到達後はハッシュレートがBTCに奪われ、さらに厳しい状態になりそうです。

アルトコインの低迷

ビットコインに関しては一応「法定通貨インフレに対するヘッジ」もしくは「デジタルゴールド」という一つのポジティブ材料、シナリオが存在しますが、それ以外のほとんどのアルトコインにはそういうものは存在しない大部分ただの投機ゲームです。景気の後退による支出や投資行動の減退が起きると、ビットコイン以上にアルトコイン全般にとってはまたしばらく厳しい下降局面が続く可能性はあると思います(同時にもし仮にコロナの状況が想定より早く好転したらV字回復、という展開もありえますが)

資金調達の難易度が上がる

アメリカの著名VC、セコイアキャピタルがコロナウイルスは2020年のブラックスワンだ、と投資家や起業家に警鐘を鳴らしていまたが、クリプト業界に関わらずですが、企業にとって当面資金調達などは非常に難易度が上がりそうですし、ブロックチェーン業界内でも潰れてしまう会社も複数ここ半年くらい出てきそうです。

Coronavirus: The Black Swan of 2020
Here is a note that we sent to Sequoia founders and CEOs today to provide guidance on how to ensure the health of their business while…
一般投資家の仮想通貨取引は盛り上がる?

一方、今のところ仮想通貨の現物取引高はボラティリティの増加に対してむしろ上昇しており、市場の混乱と共に取引活動自体はむしろ盛り上がっていく可能性はありそうです。取引所にとってはむしろプラス要因ですね。(まあさらに本格的な不況が来ると、これすらも縮小していく可能性はあるのでまだ分からない部分も多いですが)※添付画像②


というわけで現状はクリプト市場限定の問題ではなく、もっと大きな経済の停滞やそれによるさらに大きな混乱が起きる危険性があります。正直クリプト市場だけ見ててももはやどうしようもない、マクロ市場の動きによってはブロックチェーン企業の活動や開発の方向性すら変わってくるので、最近は少し大きめの視点をとるようにしています。

ちなみに、昨日ロンドンとパリでEthereumのイベントに参加していた人がコロナウイルスに感染していた、という報告もありました。コロナウイルスは誰にでもかかってしまうリスクはありますが、いよいよクリプト業界の中でカンファレンスなどを経由で感染が広がる可能性もあるので、皆さんも色々お気をつください。