Vol.324:イーサのBTC半減期上昇パターンが崩れた2025年とその背景(2025年8月18日)
はじめに
「まさか、イーサリアムがこんなに急上昇するなんて...」
2025年5月以降のイーサリアムの急激な価格上昇を見て、多くの投資家がこんな風に感じているのではないでしょうか。正直なところ、市場の大半はイーサリアムがビットコインをこれほど大幅にアウトパフォームするとは予想していませんでした。
むしろ、今回の上昇に完全に乗り遅れてしまい、「次回こそは...」と悔しい思いをしている人の方が多いはずです。
では、次回以降もイーサリアムの急上昇を捉えるには、一体どうしたら良いのでしょうか。今回は、ビットコインとイーサリアムの価格比率「ETHBTC」の過去データを詳しく分析することで、この答えを探ってみたいと思います。
ETHBTCとは何か?基本から理解する
まず最初に、ETHBTCについて説明しておきましょう。これをシンプルに言い換えると、「1イーサリアムを手に入れるために、どれだけのビットコインを手放す必要があるか」という比率です。
例えば、現在のETHBTCが0.038だとします。これが表しているのは、1ETHを手に入れるのに0.038ビットコインが必要になるということです。普段の買い物で言えば、「リンゴ1個を買うのにミカン何個分が必要か」という感覚に似ています。
この数値が上昇するということは、単純にイーサリアムの方がビットコインに対してアウトパフォームしていることを表します。つまり、イーサリアムがより強い値動きを見せているということです。
図1:ETHBTC 2025年チャート

半減期後の「お決まりのパターン」は本当にあるのか?
実は、今回のETHBTCの上昇に関しては、過去にも似たような動きを繰り返していたという事実があります。これは多くの投資家が経験則として語ってきたことでもあります。
図2:過去2回のビットコイン半減期とETHBTCの推移比較

過去2回のビットコイン半減期後のETHBTCのレート上昇には、以下のパターンが観測されています:
- 半減期から約半年程度で、ETHBTCはボトムをつける
- 上昇を開始したETHBTCは、およそ半減期から1年後程度まで上昇を続ける
このようなパターンが起きてきたことには、一定の市場心理が働いているものと考えられます。
まず半減期へと突入することで、市場はビットコインへと資金を集中させる動きが半年程度続きます。これは、半減期というビッグイベントに向けて「本命」に賭けたくなる投資家心理の現れかもしれません。
しかしながら、その後ビットコインへの資金流入が一段落すると、頭打ちの傾向が高くなります。別の通貨へ資金を回し利回りを得ようとする心理が働き始めるのです。
そういった資金がビットコインからETHへと流れ出ることで、ETHBTCの上昇は加速し、半減期から1年後をめどに上昇のピークを迎えるというのが、これまで2回のパターンでした。
今回は何が違ったのか?予想を裏切る365日後の逆転劇
では、今回の半減期ではどのようなことが起こったのでしょうか。
2024年4月に迎えたビットコインの半減期の後、半年後(つまり180日後)のETHBTCのレートは確かに底値っぽい位置にいました。しかし、そこで下落は止まることなく、ズルズルとさらに下がり続けることとなったのです。
図3:2024年ビットコイン半減期後のETHBTC詳細推移

そして興味深いことに、過去2回の半減期ではETHBTCが最高値をつける傾向のあった365日後に、今度はボトムをつけ、そこから上昇へと転じる動きとなりました。
過去2回のパターンとは少し違った動きではありますが、今まで天井をつけていたタイミングが、そこでひっくり返ったという点は、なかなか興味深いところではないでしょうか。
まるで市場が「みんなが期待している時期には、あえて逆をやってやろう」と言っているかのようです。
隠れた主役:ソラナの台頭が変えた勢力図
では、なぜ今回に限って、ETHBTCは180日後の過去2回反転上昇した起点から上昇することができなかったのでしょうか?
これに関しては、過去を振り返っての説明ですので、確実なことは言えません。今後同じことが起こるかどうかの保証もありません。
しかしながら、起きたことを冷静に分析し、そのエッセンスを抜き出して、自分の中でいつでも取り出せるようにしておくことは、今後の将来の役に立つ可能性もあるかもしれません。
私が考える今回起きたことを単純に一言で表すなら、「暗号通貨内での序列の変化」に収束するのではないでしょうか。
暗号通貨の市場は、基本的にビットコインか、それ以外という構成となっています。そして、イーサリアムに関しては、ビットコイン以外のアルトコインの中でトップ通貨という位置づけになります。
しかしながら、時としてイーサリアムは、他のアルトコインの勢いや価格上昇にそのシェアを奪われることがあります。例えば、その代表格がソラナという考えもあるかもしれません。
図4:SOL/ETH比率のビットコイン半減期後の推移

試しに、先ほど確認したETHBTCのビットコイン半減期後のチャートに、SOL/ETHのチャートを重ねてみました。
このレートは、アルトコインであるソラナとイーサリアムのレートを比較したものです。
上のチャートを見る限り、ビットコインの半減期が終わって60日後にソラナ/イーサリアムの比率はボトムをつけています。そしてビットコイン半減期からジャスト365日後にソラナ/イーサリアムのレートは最高値をつけていることが分かります。
これを見て、私が感じるのは、アルトコインはなかなか長期保有するのには、市場を上回るスマートさを保有者が持ち続ける必要があるということです。
ビットコイン保有の「退屈な正解」
ビットコインであれば、それを保有しておけば法定通貨の方が価値を失ってくれるので、レートは切り上がっていくことになります。これは、まるで黙っていても価値が上がる不動産のようなものかもしれません。
しかしながら、アルトコインをより上手にビットコインをアウトパフォームするために保有しようとすれば、その時期ごとにより有利と市場が考える通貨にタイミングよく乗り換え、タイミングよく売却を続ける必要があります。
これは、この比率の動きからも見て取ることができます。
今回は過去を振り返っただけですので、365日目の偶然を確認することができ、なんとなく法則が生きていたような観測をすることができています。
しかし、さすがにポジションを保有したままであれば、このような観測が出てきたとしても、市場に対して「なんでやねん」とツッコミを入れたくなってしまうのが本音ではないでしょうか。
改めて、ビットコインを買って保有し、放置しておくのが、結局はベストのソリューションなのだと私は感じました。
まとめ
今回の分析を通じて見えてきたのは、暗号通貨市場の複雑さと、同時にシンプルな解決策の有効性でした。
1. 長期的な視点でビットコイン中心のポートフォリオを検討する
データが示すように、アルトコインの相対的な強さは時期によって大きく変動します。一方、ビットコインは法定通貨に対して長期的に価値を保持・向上させる傾向があります。
2. アルトコイン投資には明確な出口戦略を持つ
もしアルトコインに投資する場合は、「売却し終わってなんぼ」であり、目の前のPLは単なる数字でしかないと理解しておくことも必要ですね。
3. 市場のパターンを参考にしつつも、過度に依存しない
今回見たように、過去のパターンが必ずしも将来も続くとは限りません。経験則的には「2.5回目でドテン(市場はひっくり返しにくる)」と考えておくほうが怪我は少ないように感じます。
最終的に、「退屈だけど確実」な選択肢が、結果的に最も賢明な判断になることが多いのかもしれません。皆さんはどのように感じられましたでしょうか?
ハッピー・ビットコイン! 🚀
ココスタ 佐々木徹
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