POSチェーンでもハードフォークの仕様をめぐって、コイン保有者に選択肢を迫るという話しがでてきました。

NEMとSymbolというコインが、財団保有のコインの所在をめぐってハードフォークをおこない、ユーザーに信を問うようなかたちになっています。

ビットコインでは、過去にはBTCとBCHの分裂、その後はBCHとBSVの分裂、さらにBCHと、BCH-CATの分裂など、開発者内部の軋轢からコインが分裂する自体が何回もおきています。

NEMの場合、POSといってもPOWを基本とするPOSで、イーサリアム2.0などが採用している現代的なPOSとは違います(その後コンセンサスアルゴリズムに変更がなければいまでもその仕様のはず)。

そのため、意見が割れた場合、フォークがおこり、コインが2つに分裂して収拾するでしょう。

ですので、とくに珍しいことにはならないのですが、今後おこるかもしれないのは、イーサリアム2.0系の、新型のPOSチェーンの騒動です。

Avalanchや、Solana、ATOM、Polygonほか、最近でてきたPOS系のプラットフォームはすべて、BFTベースのPOSというアルゴリズムを使っています。

フォークは起こらないが、チェーンが止まる

このBFT-POSの特徴を一言で言うと「フォークが起こらない」ということです。これらのチェーンでは、コンセンサスが2つに分岐するということはありません。 

起こりえるのは、

i. コンセンサスが取れず(失敗し)チェーンが停止するか、

ii. 正しくコンセンサスがとれてブロックが承認され、その瞬間ファイナリティが得られる

のどちらかです。iiの場合、チェーンはファイナリティがあるので、POWのビットコインのように、あとから巻き戻しがおきたり、覆ったりすることは有りません。コンセンサスがとれたら、そこで確定です。ここはPOWののチェーンとまったく違う点です。

さて、このようなBFT-POSのチェーンで、ガバナンス騒動がおきたらどうなるでしょうか。

ビットコインのハッシュウォーに対して、ガバナンス・ウォーとでも表現しましょうか。

ユーザー(コイン保有者)は、自分が支持したいチェーンの仕様のノードを走らせます。このノードはお互いに互換性がありません。

ガバナンス・ウォーの第3の結果

このようなガバナンス・ウォーの結果は、次のとおりになります。

i. コイン保有の66%以上が新ソフトウェアを支持する

⇒そのソフトウェアによるチェーンが更新されて、旧チェーンは捨てられて無くなります。フォークはしません。2つに別れず、旧チェーンは死にます。

ii. コイン保有者の66%が旧ソフトウェアを支持する

⇒この場合は、何もおこらず、旧チェーンがそのまま続きます。

さて問題は3番めのケースです

iii. 新ソフトも、旧ソフトも66%の支持をえられず、例えば50%,50%などに割れた場合。

⇒ この場合恐ろしいことがおきます。なんとチェーンが止まります。止まったまま永遠に動きません。どちらかが66%に達するまで、チェーンは停止したままです。

POSチェーンへの攻撃耐性の証明はこれから

おそらく3番めのケースが起こり得ることはいまだ誰も想定していないのではないでしょうか?

多くのBFT-POSチェーンでは、ガバナンス投票の仕組みが有り、それで議論するから、敵対的なフォークといった攻撃はないはずだとたかをくくっていたとおもいます。

ですが、NEMの動きをみていると、POS系のチェーンにたいするハードフォーク提案というのは、現実に起こりえる可能性があると思います。

そのとき、BFT-POS系のチェーンの欠陥点がかなり明らかになるでしょう。それを乗り越えられるかが、POSのほうが環境に良く、未来の技術だと主張するひとの試金石になるとおもいます。

(大石)