Vol.282 3兆円の真実:ETFデータが示す2024年のハードマネー革命(2024年10月22日)
「仮想通貨やコモディティはキケン」、ビットコインとゴールドが強気な上昇を続けるのを見ながらも、そんな懐疑派の意見も毎日のように目にします。ビットコインETFには3兆円を超える資金が流入しているにもかかわらずです。
次に懐疑的な意見を見たら「もうええでしょう!」と言いたくなるひとも、出てくるかもしれないですね。
さて当記事では、ビットコインとゴールドのETFを通じて見える"ハードマネー革命"の到来について、データを交えながら考えていきたいと思います。
インフレに強い通貨:金とビットコインETFへの資金流入は怒涛の勢いが止まらない
皆さんは気づいていますか? 毎日のようにゴールド価格が最高値を更新し、ビットコインETFへの資金流入が止まらない状況を。
下のチャートは、米国のゴールドとビットコインETFの主要銘柄への資金流入額を累計したものとなります。
ビットコインとゴールドETFへの資金流入合計は、毎日のように過去最高を更新し続けている状況にあります。

起点は米証券取引委員会(SEC)が11本のビットコイン現物ETF本を承認した2024年1月10日です。流入し続けていますね。
なお、これらETFへの流入総額は、最新2024年10月18日時点の円換算で以下のとおりです。
- ゴールドETF(SPDR GLD):約3,334億円(2,222.45 百万ドル)
- ビットコインETF(11社合計):約3兆1,264億円(20,842.78 百万ドル)
- 合計:約3兆4,598億円(23,065.23 百万ドル)
さ、さんちょうえん??
日本国内の指数ETFでも、ランキング10位だと純資産で2兆円を切ってきます。(2024年9月末時点)。
2024年の10ヶ月間だけで、約3.5兆円が流入しているの、ちょっとすごくないですか?仮に今のペースで資金流入が続けば、10年間で30兆円を超えることになります。
それだけ、今の市場は「ハード通貨」を買わざるを得ない状況になってきているということですね。
ビットコイン現物ETFが持ち込んだ最大のベネフィットは情報の精度
さてこのビットコイン現物ETF、当初の筆者は思いっきり間違いを犯していました。
このETFは、ビットコイン市場に悪影響しかないと考えていたんですね。
なぜなら、ETFには運用コストが毎年発生します。それらの費用は、買い溜められたビットコインの一部を売却することで賄われることになります。
つまりETFの残高が積まれれば積まれるほど、毎年の運営コストというビットコインの定期的な売り圧力が大きくなり、値上がりを抑える材料になると考えていました。
これは別にいまでも間違っていないかもしれません。ですがそれよりも、米国の信頼されている投資銀行が、ETFの資産残高を毎日公表することのプラス効果のほうが、遥かに大きかったですね。
だって、それまでの暗号通貨市場は、信頼度からは正反対の世界でした。
一部の取引所は出来高を水増しするわ、SECのツイッターアカウントを乗っ取って「ETF認可!」とかツイートする輩がいたりとか(捕まっていましたね)。。。
どれだけビットコインのブロックチェーンが改ざん不可能でも、周辺事実を改ざんして自らの利益につなげるバッドアクターもいるのです。
ところが、ここに米国でも信頼度がトップの投資銀行が入ってきたわけです。

ブラックロックやフィデリティなどの一流投資銀行が公開するETFの資産残高であれば、さすがに既存の市場プレイヤーも信用します。
というか、そんな大御所にとっては、改ざんがバレて失う資金・信用の期待値のほうが、どう考えても改ざんで得られる小銭よりも遥かに大きいわけです。やるわけがありません。
上記で述べた3兆円を超える流入資金は、信頼された機関が公表することで、初めて世界に対してインパクトをもたらすことができたといえるでしょう。
でも信じない人はどんなデータも信じない
ただ、ここまで明らかな資金の流入データがあっても、ビットコインやゴールドを信じない人は信じようとしません。別にそれは個人の自由で良いのですが、気になるのは、これが人間の認知方法によるクセである可能性が高いということなんですね。
2023年に亡くなられた認知科学社の鈴木宏昭氏は、「一つの事件を100回聞くのと、同種の異なる事件を100個聞くことの区別が人間はそもそもできないのではないか」との言葉を残されたとか。
(日経新聞、ソーシャルメディアの光と影⑤・東京経済大学教授 佐々木裕一氏 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD044JE0U4A900C2000000/)
今のSNSは、自分が聞きたい言説だけを延々と見せ続けて、広告収入が最大化されるアルゴリズムになっています。だから「ビットコイン最悪」と信じている人は、その根拠たる情報ばかりを周りに置くことになります。
結果、一つの言説を繰り返し100回聞いたとしても、その本人の脳には、ことなる100個の根拠として認識されてしまいます。
ここで大切なのは、筆者も含め、これは誰でも陥ってしまう認知のクセだということです。
建設的な意見であれば、自分と立場が逆の人の言説も聞き入れ、一次情報を仕入れたうえで判断したいものですね。
すこし話がそれてしまいました。
次の章では、なぜいまハード通貨がこれほど怒涛の勢いで買われているのかを、米国の選挙データから探って行きたいと思います。
2024年の米選挙で注目されるキーワードは「インフレーション」
あらためて、なぜいまゴールドとビットコインに資金が集まっているのでしょう?ヒントの一つは、やはりインフレーションへの心配が強くなってきていることでしょう。
以下はGoogleが公開したデータで、トピックごとに検索インタレストが2020年から2024年の選挙戦にかけてどのように変化したかを示す割合です。

これをみると、インフレーションの伸び率が115%でダントツですね。これに続いて年金(+81%)やエネルギー(+37%)と続きます。
逆に2020年と比較してインタレストが大きく下落したものは、以下のとおり;
- 学生ローン(-90%)
- 失業率(-88%)
- 人種差別(-50%)
- 国家債務(-49%)
こうしてみると、経済が順調に回復したことで、より万人にとって身近な問題である物価上昇(実態は通貨価値の下落)のインフレーションがトップに躍り出たと考えることもできそうです。
人類の歴史を振り返ってみると、平和の期間が長引くと貧富の差が大きくなるんですよね。これを4年間という短期間で再生したようにも見えるランキングでした。
このインフレーションに対して、もっとも有効とされるのがハード通貨の保有です。
ハード通貨とは、政府や中央銀行の意思で簡単に増やせない、価値の安定した通貨や資産のことです。代表例は金(ゴールド)で、最近ではビットコインもこれに含まれると考える市場参加者も増えてきました。
インフレや経済危機に強いため、資産保護の手段として注目されています。簡単に増刷できる紙幣(フィアットマネー)とは対照的な存在として認識されています。
このインフレーションも、投票権を持つ一人ひとりが国の財政データを見て、どのような施策が必要なのかを考えるなら、一定の歯止めはかかると思うんですよね。
ところが、今は地球上でSNSのユーザが39億人を超える状況です。ほぼ全員がエコーチェンバー※ の中にいるなら、インフレを抑えるブレーキも無いと考えておいたほうが現実的なのでしょうか。
今のハード通貨に流れ込む怒涛の資金量を見ていると、市場が「そのように」考えているように見えて仕方ありません。
ビットコイン、まさに乱世の英雄ですね。頑張ってもらいましょう!
ハッピー・ビットコイン!
佐々木徹
※ エコーチェンバーとは、同じ意見や考えを持つ人々が互いの信念を強化し合い、異なる見方を排除してしまう状況を指します。特にソーシャルメディアやオンラインコミュニティで顕著に見られ、多様な意見に触れる機会が減り、偏った世界観が形成されやすくなります。これは、情報の偏りや社会の分断を引き起こす可能性がある現象です。
AI まとめ:ハードマネー革命の到来と市場の変化
本記事では、ビットコインとゴールドETFへの急激な資金流入を通じて、「ハードマネー革命」の到来を考察しました。主要なポイントは以下の通りです:
資金流入の加速:
ビットコインとゴールドETFへの2024年合計資金流入額は、10月18日時点で約3.5兆円に達しており、従来ETF市場の流入速度を大きく上回っています。
情報の信頼性向上:
米国の大手投資銀行によるETF運営により、暗号通貨市場の信頼性と透明性が大幅に向上しました。
これにより、機関投資家を含む幅広い投資家層の参入が促進されています。
インフレーションへの懸念:
Google検索データによると、2024年の米国選挙において、インフレーションへの関心が115%増加しています。
この懸念が、ハードマネーとしてのビットコインとゴールドへの需要を高めています。
エコーチェンバー効果:
SNSの普及により、個人の意見や信念が強化され、多様な見方を受け入れにくくなっている可能性があります。
これが経済政策やインフレーションに対する見方にも影響を与えている可能性があります。
今後の展望:
ハードマネーへの需要は、インフレーションへの懸念が続く限り、さらに拡大する可能性があります。
ただし、市場参加者は多様な意見に耳を傾け、一次情報を基に判断することが重要ですね。
次の記事
読者になる
一緒に新しい世界を探求していきましょう。
ディスカッション