インフラ投資法案の可決
米国のインフラ投資法案が日本時間11日早朝に、賛成69、反対30の賛成多数で可決されました。
この法案は、仮想通貨事業者に影響が大きいということで、にわかに話題になっていました。
おさらいすると、バイデン政権の目玉政策として、米国のインフラに1兆ドルの支出をするというものです。要するに公共事業です。
財源の一部として、いままで税金の補足が上手く言ってない業界から、もっと税金を取ろうということになりました。
そこで出てきたのが仮想通貨業界です。
「お前ら脱税が多いんじゃないか?取引履歴を全部政府に提出することを義務付けするぞ」
というわけです。いままでコインベースなどの取引所は、取引高の多い人や、政府からお尋ねがあった人にかんしては情報を提供していましたが、この法案では、
もれなく全ユーザーの取引履歴が政府に共有されるという強烈なものとなっています。
さて、そこまでなら米国市民以外は関係ないわけですが、問題は、その履歴を提出する義務を追う対象が取引所以外も含まれていることです。
その定義が「他人に代わってデジタル資産の移転を行うサービスを定期的に提供する責任を(対価として)負う者。」
というもので、これにはいわゆるPoWのマイナーやPOSのバリデータ、Defiプラットフォームや、ウォレット、ソフトウェア開発者など広範囲の人が含まれると解釈できます。
すったもんだあったわけですが、結局、この原文は修正できないまま上院を通過しました。
このままだと、マイナーも、デジタル資産の移転を行う者として、移転したひとの情報を取得し、政府に報告する義務がでてきてしまいます。
ブロックに含めた取引の主を特定し、そのひとの本人確認をして、それを政府に提供する。
そんなことできるわけがありません。
今後の流れですが、この法案は、このまま下院に送られます。下院で可決された場合は、大統領の署名をもって成立します。
当然下院でも修正の議論が行われると思いますが、修正に失敗した場合そのまま成立する可能性が高いです。
個人的にはそのまま成立するのではないかと読んでいます。
というのも、3つの理由があります
1.仮想通貨の業界はそれほど大きくなく、議員もあまり気にしない。
2.そのそも議員のほとんどが、法案の意味することをわかっていない。
3.米国の(とくに法人)投資家のほとんどがカストディを利用しており、影響がすくない。
ということです。
議員の無理解はどこの国でも仕方ないことです。管理主体に依頼すれば情報は得られるという前提しか彼らの世界には存在しないからです。つまり、彼らの中には、管理主体があるものしか元々念頭にないということでもあります。
私の読みですが、結局は、求められても出せないものは出せないという結論に落ち着くとおもいます。
義務はあっても、出せないんだから仕方ない。
なんらかの裁判になるとおもいますが、仕組み上、出せないのだから、出せませんという判例になり、法案としては骨抜きというか、管理主体がいるものだけが義務を追えばよいということになるのではないでしょうか。もしくは、ブロックチェーンをスキャンした情報を提出すればいいということで終わるかもしれません。
結局のところは、Fiatと仮想通貨の交換のところでしか補足できないという当たり前の結論になるわけです。
アメリカは法律が多少めちゃくちゃでも裁判所の判例によって上書きというか、運用がきまるという性質があるために、結局は常識的なところに落ち着くのではないでしょうか。
そして何よりビットコインの検閲に対する強さというのが証明される事例になるかも知れません。
結局むしろ焦っているのは、実質的に管理者がいるのに「非中央集権」だと言っているようなサービスを運用しているところかもしれません。Defiや、Defi風の野良取引所です。
戦々恐々としているのはそれらの取引所かもしれません。
(大石)
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