今回は、匿名質問コーナーより頂いた質問へまとめて回答します。他にもいくつか質問をいただいていますが、後日随時回答していきます。

匿名質問コーナーについて

「匿名質問コーナー」開始のお知らせ
「ビットコイン研究所」では、皆様とより深く、よりインタラクティブにコミュニケーションを取るための新たな取り組みとして、「匿名質問コーナー」を開始いたします。このサービスにより、ビットコインや暗号資産に関するあらゆる疑問や提案を気軽に投稿いただけます。 ※税金や節税に関する質問は現在受け付けておりません。税理士の方にお尋ねください。 匿名質問フォームはこちら Form 理解を一層深めるための新たなステップ この新たなサービスは、皆様の理解を一層深めるためのサポートとして、コンテンツやレポートに対する質問や意見、さらには新たなトピックの提案をお待ちしています。基本的な疑問から応用的な質…

いただいた質問を以下の3つのテーマに分け、回答いたします。

  1. ビットコインの上位互換へと代替してしまうリスクについて
ビットコインは年々所有者が増え続けており、価格も長期的には高くなっていますが、今後可能性として、ビットコインが持つ価値が「不用」になったり、「代替する上位互換的なもの」があらわれるリスクには、どのようなものが考えられそうでしょうか?

現時点で、ビットコインの上位互換として代替するものは知られていません。現在イーサリアムやステーブルコインなど様々な暗号資産が発行されていますが、それらにビットコインが消滅する可能性があるほどの優位性はありません。

中央銀行が発行するCBDCが検討されていますが(注:2023年9月時点では、CBDCには多くの課題があり実現にはハードルがあります)、ビットコインが有する分散型金融の性質を持っていません。

したがって、仮にCBDCが技術的に可能となり政府支援などを受けて普及したとしても、ビットコインとの特徴の違いがあるため上位互換として代替するまでには至らないと思われます。未知の貨幣についてはコメントすることはできませんが、ビットコインが上位互換的に代替されるリスクは低いと思われます。

2. ビットコインが誕生した時代的背景について

2010年以降、これだけ浸透するのは、ほぼ誰もが想定していなかったはずですが、例えば1900年代になぜ生まれなかったのでしょうか?何かハードとなるテクノロジーの発明があって、環境が変わったということで、ある程度の流れとして、このタイミングで浸透し始めているのでしょうか?

技術的にはブロックチェーンの基盤としては、暗号技術とP2Pが重要な役割を果たしています。これらは、ブロードバンドの普及やハードの性能向上も背景にして、2000年代の前半ごろに発展・普及した技術です。したがって2000年代以前には同様の技術は難しかったと考えられます。

また、貨幣が台帳データであるという思想が広がったことも重要な要素です。銀行勘定系オンラインシステムの開発から1990年代以降インターネット銀行などの普及に至るまでの間に、貨幣は物理的な実態としての存在ではなく、コンピューターシステム上の数値データとして取り扱われることとなりました。これはブロックチェーンを利用した取引記録管理の考え方に影響していると考えられます。

1990年代にはアジア通貨危機があり、その後21世紀に入ってもリーマンショックが発生するなどがありました。そのため2000年代以降、国際金融や資本主義の問題への関心が世界中で高まっている時期でもありました。

歴史的な視点でみると経済・社会の議論と前述の技術的発展がちょうど重なったように見えることは興味深いです。

3. ビットコインの認識のされ方について

(質問2の続き)その辺りの根拠が明確であれば、もっと信頼感をもって認識されても良いようにも思いますが、現状はまだ「怪しい」という認識のされ方がメジャーな気もします。
また、もし浸透した場合は、認識のされ方が「徐々に」変わるのでしょうか?もしくは何かをきっかけに「一気に」変わるのでしょうか?
(仮想通貨は、例えば、馬車から車への刷新に匹敵すると思いますが、その変化の際には、どうにんしきされていたのか?も気になります。)

日本の場合、明治時代に貴族や富裕層が購入するようになったことがきっかけで自家用車が普及したようです。当時の道は舗装されていなかったため、快適な乗り物とは言えないのかもしれませんが、流行のように広まったようです。

それが徐々に大衆化し、安く購入できるようになったということでしょう。車の利便性というのはわかりやすいものなので、一般大衆にも理解されやすいと考えられます。車の危険性も交通事故など分かりやすいものです。

しかし、金融はインフラ産業であり、規制産業なので、上記の自動車の例のようにビットコインの認識が変わっていくとは思いません。金融システムや貨幣論というのは、一般の人にとってみればなかなか簡単に理解しやすいものというわけではなく、ある一定の水準で専門知識が必要なものです。

ビットコインにも当然良い点、悪い点など様々な特徴があるわけで、絶対に良いとか悪いとか言いきれるものではありません。また、悪い点とされることも未来永劫解決できないというわけではなく、技術のアップデートなどによって解消されるかもしれません。ただし、そのことを理解するためには知識が必要です。ビットコインを購入する人の中には、ビットコインについて個人的に調べたというケースも多いようです。

一方で、知識をつけようとする意欲も少なく、情報の真偽について判断がつきづらい状態にある人も多くいると思います。中には、「新しい技術なのでよくわからない」と様子を見ている人もいると思われます。

この状況下では、たとえ政府や信頼できる有名人がビットコインの良い点だけを広めようとしても、大きな認識の変化までにはならないでしょう。ある程度の時間はかかりますが、知識を有する成熟したユーザーが増えていくことで、ビットコインに対する認識が「徐々に」変化すると思います。