2026年現在、ビットコインは17年の時を経て、米国で現物ETFとして認められ、世界的なデジタル資産の1つとして認識されつつあります。

しかしながら、日本ではビットコインの認識はあまり変化しておらず、未だに怪しいものと認識されているような印象があります。実際に、国際的な認識調査(Cornell Bitcoin Club, Block社)において、日本人のビットコインに対する信頼度や見通しは「世界最下位」という結果を示しています。

上記の結果から「日本人はビットコインを信頼していない」と思われがちですが、ビットコインをただ知らないのではないかと私は考えています。

本記事では、国際的な認識調査から日本人のビットコインに対する考えを考察し、日本特有の社会構造や文化的な壁や、日本でビットコインを普及させるための方法論について考えます。

日本におけるビットコイン認識の現状:国際比較データによる分析

国別のビットコインに関する認識調査が二度(Cornell Bitcoin Club, Block社)おこなわれました。

それぞれ異なる調査機関のレポートではありますが、いずれも日本のビットコインに対する認識は最下位に位置しています。

国別ビットコインに対する信頼度(Cornell Bitcoin Club, 2025年9月)

Cornell Bitcoin Clubのレポートでは、25ヶ国中、日本は一番右の最下位に位置します。

さらに、24位のイタリアと比較して大幅に信頼度スコアが低いです。不信の割合は70%以上、信頼する割合は5%を下回っています。

国別ビットコインの見通し(Block社, 2022年)

Block社のレポートにおいても、14ヶ国中で日本は最下位に位置しています。楽観の割合が非常に低く、中立の割合が大きく、悲観の割合は平均的です。

それぞれ2つのレポートで、日本は最下位に位置しながら、さらに他国と大幅な差をつけている印象があります。

とはいえ、日本人の多くはビットコインを強く否定しているのでしょうか。

日本人はビットコインを信頼しないのではなく「知らない」という仮説

日本人はビットコインを否定しているのではなく、単に知らないのではないかと考えられます。

感覚的ではありますが、私は周りの人にビットコインの話をすると「名前は聞いたことがある」「よくわからない、知らない」という反応をよく聞きます。マウントゴックス事件も知られておらず、ネガティブイメージすらもないことが多々ありました。

もちろん、一部熱狂的なビットコイン否定論者はいるものの、熱量を持って否定し続ける方は限定的で、意見を持ってない方が大多数だと思います。

先ほどのデータで、Cornell Bitcoin Clubの調査では「ビットコインを信頼できるか」が指標でした。日本では0〜3の評価が70%を超えていました。「知らないから信頼できない」という考え方は納得できるように思います。私としても、全く知らないものに対して信頼度に5以上を付けることは難しいです。

また、Block社の調査では「ビットコインの見通し」が指標でした。そして日本では中立の割合が49%と最も大きいです。「知らないから中立である」という考え方も納得がいくように思います。もちろん悲観の割合も大きいですが他国と大きな差はないように見えます。(2022年は相場的にも悲観ムードだったと考えられます)

したがって、データの結果からも多くの日本人はビットコインをよく知らない可能性が高いです。

しかし、日本はマウントゴックスの拠点であり、Satoshi Nakamotoも日本人名であり、規制下にある暗号資産取引所も多数あるので、ビットコインとの縁も一部感じられます。

なぜ、ここまで日本人は他国と比較してもビットコインを知らないのでしょうか。

日本人がビットコインを知らない理由3選

woman covering her face with white book

日本人がビットコインを知らない理由はいくつかあると思います。その中で、より重要だと感じるものを3つ解説します。

  1. 安全・安定・安心の日本ではビットコインの必要性を感じない
  2. 知らない対象への恐怖と同調思考
  3. 有識者、メディアの発信が形作る「怪しい」という空気感

理由1:安全・安定・安心の日本ではビットコインの必要性を感じない

日本での生活において、ビットコインの必要性を感じる機会はほぼありません。

ほとんどの日本人は銀行口座を開設できますし、何らか横領等の問題が生じたら厳しい規制によって損失補填されます。日本円は世界的にも信頼されている法定通貨の1つであり、いきなり日本円が使えなくなることも想像しづらいです。

現金はもちろん、クレジットカード、QRコード決済などのデジタル上の決済も充実しています。また、全資産を失ったとしても生活保護というセーフティネットによって生活を継続することができます。

まさに日本は「安全・安定・安心」の国であると言えます。

すでに日本においては金融インフラと規制が整っているので、ビットコインの必要性を感じる機会はありません。そして、安全・安定・安心の国だからこそ、お金について深く考えずとも問題なく生活することができます。

一方で、他国においては日本ほど社会制度が整っていない場合が多く、自身でお金を守ったり、自分で考えて行動しなければ、ホームレスになってしまったり最悪命を失ってしまいます。危機感を持たなくても生活が成り立つのは平和でもありますが、今の平和がいつまでも続く保証はありません。

最近、ようやくインフレが問題視されてきましたが、貨幣価値の低下よりも物価の上昇に焦点が当たっています。投資するとしても、物価上昇に追随するという考えから商品・サービスを提供する株式のインデックス投資が一般的になりつつあります。日本円という貨幣自体に対する疑問は大きくなく、米ドルと比較した変動にしか注目されていないように感じます。

したがって、日本ではビットコインの必要性を感じる機会が少ないです。

理由2:知らない対象への恐怖と同調思考

人間には正体のわからないものに対し、まずは疑うことによって身を守る生存本能があります。

ビットコインは「管理者なし」「物理的に触れられない」など、前例がなく常識から逸脱した存在であると言えます。従来の枠組みでは理解することが難しいため、「危ないもの」「詐欺のようなもの」と脳が自動的に分類してしまっている可能性があります。

さらに、日本では比較的子供の頃から集団行動や連帯責任のような形で、集団的な同調思考が鍛えられます。個人として集団から逸脱してしまうと、いじめや村八分といった犠牲者になってしまうリスクがあります。

そのため、他の人が「ビットコインは怪しい」と言うと、知らない対象への恐怖と同調思考の両面からビットコインをさらに遠ざけてしまいます。怪しいもの、危ないものは近寄らないことが適切です。

それでもなおビットコインを調べることは非常に根気のいる行動です。批判的にビットコインを調べて、何がリスクで何がリスクでないのかを自分なりに線引きできるとベストですが、白黒思考のような形で調査自体を切り捨ててしまっているのが実情です。

理由3:有識者、メディアの発信が形作る「怪しい」という空気感

知らない対象への恐怖と同調思考に打ち勝って、ようやくビットコインを調べたとしても適切なビットコインの情報に辿り着きづらいのが実態としてあるかと思います。

日本では「有識者」「インフルエンサー」とされる方の中で、ビットコインにポジティブな方は非常に少ないという認識を持っています。むしろ、ビットコインにネガティブな方が多い印象です。

2026年2月に節約・資産運用の情報発信をされている倹者の流儀さんとコラボで、ビットコイン研究所でお馴染みの加藤規新氏とビットコインに関する解説動画を投稿いただきました。

倹者の流儀さんのようにご自身でビットコインを調べられた上で、前向きな発信をされている方は非常に稀です。

「有識者」とされる方々は特定の分野に詳しいだけであり、ビットコインに詳しいとは限りません。そして、現行制度の中で成功を収めた人物が多く、ビットコインのような既存の枠組みに当てはまらないものに対して「いかがわしいもの」という負のバイアスを持ってしまいがちです。

さらに、「有識者」とされる方々は自分で調べる能力が高いので、ビットコインが失敗する理由や、ネガティブな情報を見つけ出すことができます。中立的な考えを持って評価すれば良いのですが、成功者であるほど自分が正しいというバイアスが強く働き、都合の良い論理構築が成されてしまいます。

頭が良いがゆえにビットコインが失敗する理由を見つけてしまう、という状況は日本に限らず世界的にも散見されます。以下の記事を見ると、賢い人だからこそビットコインが遠ざかってしまうことを確認できます。

参考記事:最強エリート集団がビットコインを無視し続ける理由

また、有識者やメディアが発信する際、ビットコインにネガティブな内容が視聴者ニーズに合っているのも理由として考えられます。

ビットコインが世界的なデジタル資産として認められつつあるような内容よりも、ビットコインを否定する、「怪しい」という印象付けをする方が視聴者の興味を引くことができます。

2026年1月にNHKで放送された「消えた470億円 ビットコイン巨額窃盗事件」はビットコインに対して怪しい印象を強化する一つの例かと思います。多くの視聴者が見たい情報を提供し、視聴者は見たい世界を見ているような状況です。

結果として、多くの日本人が信じるビットコイン像(怪しい存在)に合致した情報が溢れてしまいます。そして、同調思考により視聴者だけではなく発信者同士においても、ビットコインはとにかく怪しく危険なものであるという認識が増長してしまいます。

日本でビットコインを普及させるための方法3選

empty road surrounded by trees during daytime

日本でビットコインが正しく知られづらい理由について説明しました。

このまま日本でビットコインが正しく認識されないままでいいのか、という問いに対して私はよくないと考えています。

というのも、様々な法定通貨が価値毀損していく中で、ビットコインはグローバルにおいて価値保存、使用が可能な貨幣です。長期的には多くの日本人や日本という国自体を助けるような存在であると私は考えています。

必ずしもビットコインに対してポジティブである必要はなく、まずは中立的にビットコインのことを知っていただき、いざという時にネガティブな論調に惑わされずにビットコインを受け入れられるような環境を作ることが重要です。

日本でビットコインを普及させるための考え方と、できることについて3つ程検討しました。

①日本の文化に合わせた普及

日本でビットコインが正しく知られないのは、日本特有の文化や社会構造が根本原因としてあるかと思います。一方、他国では自己主権性に重きを置く考えや、自分で考えて行動しなければ危険な状況に陥ってしまうような危機感があり、日本よりもビットコインを理解しやすい環境があります。

しかし「他国では文化的に合うが、日本では文化的に無理だ」と諦めてしまうのは早計かと思います。

陸が続かない島国であり、法整備、環境、文化等が他国と異なります。そのため、ビットコイン普及のための他国の正攻法は通じないものと考えられます。

まずは、他国でのやり方が通じないという認識をし、日本の文化に合わせた普及活動をしていくことが重要です。具体的な方法論については模索段階ですが、下記に示す方法や、地道な活動の継続が必要になってくると考えられます。

②有識者への理解度を高める

上記で挙げた倹者の流儀さんのように、ご自身でビットコインの重要性に気付ける方は非常に稀です。

最初からビットコインに負のバイアスを持っている有識者の方が多いので、まずは中立的にビットコインという存在を知ってもらうことが重要だと考えています。

もし、有識者やインフルエンサーの方でビットコインについて知りたい、懸念や不安を解消したいという方がいれば、ビットコイン研究所のお問い合わせフォームまたはXからご連絡いただければと思います。ご紹介いただく形でも問題ございません。

ビットコインを保有するか否かではなく、まずはビットコインが何かを知っていただくことは今後の日本においても重要な小さな一歩であると考えています。

③まずは無料で持ってもらう、使ってもらう

ビットコインは物理的に触れられないため、理解に苦しむ可能性があります。ビットコインを実際に受け取ったり、実際に送金してみるという体験を通じて、ようやくビットコインへの理解が進むと考えています。

たとえば、日本ビットコイン産業株式会社のサービスで「ヤップアイランド」「UseBitcoin」があります。

ヤップアイランドはビットコインを学べるポイ活アプリであり、広告収益を還元する形でビットコインを無料でもらえます。ポイ活との違いは、もらえるものがポイントかビットコインかという点のみです。

これまでビットコインを触るには、まずは取引所の口座開設をしてビットコインを購入する必要がありました。怪しいと感じるものを購入するのは抵抗が大きいので、無料でビットコインを手に入れられるアプリは普及のための第一歩であると考えています。

そして、UseBitcoinはビットコインでギフトカード(Vプリカギフト、Kyashギフト等)を購入できるサービスです。ビットコイン決済ができるサービスは多数ありますが、UseBitcoinは少額でビットコイン決済を試すことができ、獲得したギフトカードは日常生活で利用いただけます。

UseBitcoin以外にもビットコインを使えるところは複数あります。以下の記事をご覧ください。

【初心者向け】ビットコインの使い道まとめ|satsで今すぐできる体験9選
ビットコイン(sats)の使い道を紹介。ライトニングネットワーク対応の決済サービスやギフトカード購入など、ウォレットに眠ったままのsatsを活用する具体的な方法を解説します。

また、私個人としてもビットコインについて話して興味を持ってもらったらビットコインを渡すようにしています。正直、話を聞くだけではイメージが付かないので、触れるという体験によってビットコインへの印象が変わると考えています。

同調思考でビットコインは怪しい、触れてはいけないものという認識が広まっています。逆に言うと、周囲の一人でもいいので中立的な認識に変えられれば、中立的な考え方が広まる可能性があります。

まとめ:日本の文化を受け入れ、それでもなお普及活動を続ける

国際的なビットコインの認識調査において、日本は2つとも最下位に位置しています。日本人はビットコインを強く否定しているというよりは、ビットコインを知らない人が多いという仮説を立てました。

そして社会構造や文化としても、日本がビットコインと縁遠い関係にあると考えられます。

そんな中でも、日本でビットコインを知ってもらう方法は地道ではありますがいくつかあると考えられます。日本の文化に合わせた上で、まずは負のバイアスを取っ払い、知らないものから知ってるものへ、触れないものから触れるものへと認識を変えていくことが重要です。

人間の認識が変わるには、時間がかかり大変です。しかしながら、このまま放置しておくとビットコインはよくわからないもの、怪しいものとして日本のみ時代が止まってしまい、ビットコインという貨幣を見逃しかねません。

ビットコインという経済的なバックアップ体制がすでに存在していることを認識いただくことで、法定通貨の崩壊、預金封鎖、有事などのいざという時に、多くの方が危機的な過渡期を免れられるのではないかと考えています。

日本でのビットコインの認識が遅れているという前提を踏まえた上で、ビットコインに対する普及活動を継続する意義があると私は考えます。