すっかり年の暮れですが、みなさんの2020年はどのような一年だったでしょうか。私はなんとなく記憶がぼんやりしてしまっていますが、多くの人にとって環境が変化するなど目まぐるしい一年だったかと思います。自分はこのコラムを執筆する上でビットコインや仮想通貨に関連するトレンドや新しい話題に触れてきた中で、「未来はこんな形になるんじゃないか?」という10年後とか20年後の将来像のようなものが出来てきました。この未来像を完結にまとめると、LSATに関する記事で触れたMacaroonオフチェーンでアセットを発行するRGBプロトコル、そして暗号学的認証といったテーマを組み合わせたものです。

LSATと認証の未来

ブロックチェーン×認証は多くの人が思い描いている未来で、そのような用途を念頭に開発されているブロックチェーンが多数あります。これらは必ずしもオープンブロックチェーンではないですし、オープンであったとしても実際に個人や中小企業がノードを運用することが現実的とも限りません。ブロックチェーンかどうかは重要ではなく、単純に実装に使う技術の問題と言えるでしょう。私の考えに影響を与えたLSATとは、ライトニング払いでMacaroonトークンを受け取り、それを使ってウェブサイトなどのコンテンツにアクセスするコンセプトです。Maracoonには支払いの証明としてインボイスのプリイメージが含まれており、購入した内容によって閲覧できるコンテンツをサイト側で管理することなどができます。Macaroonの特徴として、権限移譲という優れた機能があります。これは、他社など他からのMacaroonの取得を利用条件に含むことができるというもので、例えば動画配信サイトにて特定の動画を見る際に「18歳以上だと認証してきてね」ということで、役所など18歳以上が確認できる何らかのサービスのMacaroonをもらってきて合わせて提示することでコンテンツが見られる、という機能を実現するものです。

この例だと成人向けコンテンツを見るのに役所に問い合わせるというディストピアですが、「誰が、何のために」が役所自体にはわからないやり方でできれば問題にはならないでしょう。

これは純粋に暗号学的に行うことができ、複雑なブロックチェーンも必要なく、技術的にも存在はするので実装も比較的しやすいのではないでしょうか。問題は、Macaroonが現時点ではほぼ使われておらず、ネットワーク効果がないので、導入に時間がかかるだろうということです。


しかしながら、eKYCとまではいかなくても複数アカウントは防ぎたいという程度の手軽な認証手段がない今、役所などが提供することができれば比較的速やかに広まるかもしれません。(役所だと実現に10年はかかりますし、安全に運用できるかはまた別問題ですが、大手銀行などでも可です)また、基本的なアカウントの認証(アカウントの所有権)は今後はLNURL-authのような純粋な暗号認証プロトコルで行い、アカウントに個人情報が紐づくことはなくなるでしょう。メールアドレスも必要ないような場合はこれで十分ですし、そもそもメールが個人レベルで使われ続けるかもわかりません。

LNURL-authもおさらいすると、アプリやアカウントごとに新たな鍵を生成して、その鍵を使って公開鍵認証でログインできる、一部のライトニングウォレットが対応している機能です。
RGBを用いた中央集権型アセットの発行

また、中途半端な非中央集権性を持つアセットより、(STOやカストディ型ステーブルコインなど)ガッツリ中央集権的なアセットのほうが速く世の中に浸透するだろうと感じていますが、RGBはこのようなアセットには特に向いている、ビットコインのレイヤー2・レイヤー3でのトークン発行プロトコルです。競合としてイーサリアムやその他トークン発行機能のあるブロックチェーン全般が挙げられますし、RGBが全てのユースケースにおいて必ずしも優位性があるとは限らないのですが、「ブロックチェーンが必要ない」(発行者と所有している当事者のみが自身でデータを保管する)ことの強みが活きてくるのではないかと思っています。

ブロックチェーン(レイヤー1)を使わない強みとは、ブロックチェーンへの攻撃ベクトルを考えなくて良いことや、そのブロックチェーン自体のノード運営者が自らに全く無関係なデータの保管や検証にリソースを割かなくて良いこと、およびトークンの発行者や保有者がそのチェーンのリスク(攻撃や衰退など)に晒されたり対価としてのコストを払わなくて良いことです。

これは特にプライベートチェーンなどとも競争しながら発展していく分野でしょうし、そちらのほうが圧倒的に先を行っていることも否めません。ただ将来性を考えると本当はパブリックチェーンの上位レイヤーでやるべきかなと感じます。そのほうが世界中で共通のものが使え、スケールや互換性、チェーンの衰退や進化などに対応しやすいので。

キーワードは「ポストブロックチェーン」

上で言ったことを勝手に命名してまとめると、期待したい未来は「ポストブロックチェーン」なんじゃないかなと思います。現在解決したい問題に杓子定規のようにブロックチェーンを当てはめようとしていますが、実際に解決するのに必要な要素はそのごく一部で、むしろブロックチェーンを利用する弊害というものが数年利用していると現れてくるはずです。そうなると、今の「ブロックチェーン業界」も「ポストブロックチェーン」と言い出すんじゃないでしょうか。

ちょうど企業の研究開発予算が溜まってきた頃に…

ただ、実際問題として、イーサリアム上のトークン発行やブロックチェーン上のDefiなどが「儲かる」という理由で開発者が殺到し、ビットコインやライトニング、LNやRGBなどは難しいのにお金にならないという理由で敬遠されるため、ブロックチェーンエンジニアが生産され続け、ポストブロックチェーンに至るには時間がかかるんだろうなという悲観もあります。笑Macaroonに関しても、Google社内で使われているらしいのとLndが利用しているくらいで、他に利用例がほとんどない段階なので、果たしてこの状態からムーブメントになることができるのかは疑問です。(懸念するくらいならサービス作れですね、はい。。。)

まとめ

・2020年に自分が描くようになった未来は「ポストブロックチェーン」
・認証や、認証の組み合わせにMacaroonを使えばブロックチェーンは不要
・中央集権的なアセットにもブロックチェーンは不要、むしろ不向き
・レイヤー2以上の上位レイヤーの将来性は大きい
・楽して儲かるインセンティブがないので定着に時間がかかりそう