ここ数ヶ月、主にアメリカでビットコインETF実現への期待が高まっています。ビットコインETFを巡るこれまでの経緯を振り返り、今後の流れを予想してみましょう。

2017/18年:ETF申請ブーム

自分が知る限り最初に実現が期待されたビットコインETFはウィンクルボス兄弟が申請したもので、2017年3月に却下されたときにビットコイン価格は1300ドルから900ドルへと急落しました。

この話題は自分が初めてビットコインを買った時期と重なるので、非常に懐かしいです。ここから2019年まで続く、長いETF申請ブームが始まったと見ることができます。そこにはVanEckなどの大手の投資管理会社もチャレンジしましたが、結局どれも実現することはありませんでした。しかし、その過程でビットコインの先物がCBOEとCMEに上場したことや、2019年からヨーロッパでビットコインの上場商品が相次ぎ上場するなど、金融業界との融和は着実に進歩してきました。

ETF申請の過程でBitwiseのSECに対する説明資料が公開されたことも話題になりました。一番の懸念点である「価格操作」に対してBitwiseが出来高偽造の検出方法を編み出し、その疑いの強い取引所を排除した価格インデックスを作成するなど、ここで業界の出来高偽造問題に焦点が当たりました。

それから出来高の偽造がなくなったわけでは決してありませんが…
2020年:ビットコインが金融業界で人気に

2020年にはコロナショックの後、「債権王」ガンドラック氏やドラッケンミュラー氏など金融業界の重鎮が初夏に相次いでビットコインのポジションを持ったことを披露しました。

また、MicroStrategy社を筆頭に企業が準備金の一部をビットコインにする流れが発生しています。また、2020年後半になってもGBTCのプレミアムが40%に達するタイミングがあり、現物との差額を狙うキャリートレードが流行ったことで大量の資金がGBTCに流入し、ビットコイン価格の上昇につながりました。

コロナショック時の大量精算問題に端を発するBitMEXの衰退もあり、出来高の大部分が規制下の取引所に移るという業界のクリーン化が進んだことや、GBTCのプレミアムによって多くの投資家が高値掴みさせられていることへの懸念も相まって、ETF実現への期待が高まり始めたのも2020年後半でした。

MicroStrategyのマイケルセイラー氏もインタビューで指摘していましたが、単純にコロナ後の世界がどんどん「普通ではなくなっている」ということも重要な役割を果たしていそうです。かつてない金融緩和が行われたり、金融市場がロビンフッダーに荒らされるなど、相対的にビットコインがまともなものとして認識されるようになってきているのではないでしょうか。
2021年:ETF申請レース再び?

そのようにアメリカでのETF実現への期待が高まる中、2月下旬にはカナダでPurpose Bitcoin ETF (BTCC)なるものがトロント証券取引所に上場しました。金融市場の規模は桁が違いますが、やはりアメリカ人にとってカナダは身近な場所であり、これが更にビットコインETFへの期待につながっています。

3月1日にはついにCBOEがVenEckのビットコインETFを申請したという、懐かしみを感じるニュースがありました。CBOEは実はビットコイン先物から撤退してしまったのですが、引き続き関心は持っている模様です。

現在はGBTCのマイナスプレミアム問題がビットコインETFを求める声に拍車をかけています。上述したプレミアムの鞘取りのトレードがあまりに大量に行われたためか、市場初めてプレミアムがマイナス(原資産に対してディスカウント)になってしまっており、これもまた投資家の利益を損なっていると捉えることができます。

実際にGrayscaleもGBTCのETFへの改組を企んでいる模様が、ETFの運営に対応する人材の求人情報などから見て取れます。実際に、各国で新たなビットコインファンドやETFが上場していてもGBTCのシェアは圧倒的なままで、特に圧倒的な流動性には価値があるため、早い段階でGBTCをETFに改組して業界リーダーの地位を守ろうとするのではないでしょうか。

アメリカでビットコインETFは今年実現する?

まず、ビットコインETFに対する需要がとても大きいことは明確です。これから金融資産としてマスに受け入れられていく段階にあるため、手数料が安く原資産の価格とほぼ同じで推移するビットコインETFには大きな市場があるでしょう。既にGBTCだけでも4兆円に迫る預かり資産を誇っています。

また、需要がある一方でETFなどの金融商品が存在しないことによってMicroStrategyの株が擬似的なビットコインETFのように扱われたり、ビットコインを買うための金利0%の転換社債に応募が殺到したり、GBTCのプレミアムが大きくぶれるなど理想的とは言い難い市場環境につながっています。

ビットコインへの投資に広く関心が集まっている今、「ビットコインETFがないほうが投資家保護になっていない」という点が今回こそビットコインETFが実現しそうな理由として最大のものだと感じています。では、年内に承認される可能性はどれくらいなのでしょうか?

ETFの承認(または拒否)には提出から最短で45日間、最大で240日間かかります。過去のビットコインETF申請の際には240日間いっぱい審査を続ける例が多かったように感じますが、まだ前例がないのでやはり最初のものが承認されるまでは長期間検討されるという見方ができます。(逆にカナダの当局が承認したので、それを前例として比較的短期間で承認される可能性があると見ているアナリストもいます。)

もし240日間かかるとしたら、年内の承認を目指すには4月末までに申請が提出される必要があります。現在提出されているのはVenEckによるCBOEへの上場申請(3/1)と、Valkyrie Bitcoin FundのNYSEへの上場申請(審査開始の申請は未提出)です。もし他にも4月末までに有力なものが審査開始できれば年内実現の可能性は高いと考えています。

カナダのビットコインETFも出来高がかなりついているなど、ビットコインETFを組成したくなる条件が揃っているので、少なくとも年内には他にもいくつか出てくるでしょう。総合的に見て、私は6割くらいの確率で今年こそはついに実現するんじゃないかな、と思います。来年は3割。そして、1つでも実現した後にGrayscaleも申請をして素早くETFへの切り替えを目指すと思います。
まとめ

・ビットコインETF実現の機運が盛り上がっている

・需要、市場環境ともに2018年と比べて遥かに改善している

・現在審査が開始しているのは現時点で1つしかない・年内の実現にも期待できそう

・SECが慎重派なら来年上半期かも

・ビットコインのステークホルダーが偏るため手放しで喜べない側面も