【Q&A回答】ビットコインとスマートコントラクト系チェーンの設計違いとそのメリット、デメリット
先日、質問回答フォームで頂いた質問に、ビットコイン研究所の専門家が回答しました。
今回は下記のような質問を頂きました。
・ビットコインとスマートコントラクト系チェーンの設計違いとそのメリット、デメリット
・ビットコインの半減期に関連し、マイニング報酬減少の問題とマイナーへの手数料報酬増加について
・ビットコイン関連の事業展開を行う場合の適したサービスやアドバイスについて
質問がある方は気軽に投稿してください。
Q. ビットコインはUTXO型、イーサリアムを始めとするスマートコントラクト系のチェーンはアカウント型を採用しているものが多いですが、なぜこのような設計の違いがあるのでしょうか?ビットコインをアカウント型にするメリットやデメリット、逆にスマートコントラクトをUTXO型で実行するメリット、デメリットがあれば参考に教えてほしいです。
A. UTXO型のシステムはアドレスの再利用を回避しやすいという設計上の特性があり、プライバシー保護や匿名性に優れているとされます。一方、アカウント型(例えばイーサリアム)では、アドレス再利用を防ぐために新しいアドレスへ自分の資産を移転すると手数料がかかってしまいます。
もしイーサリアムがUTXO型のシステムを採用していたら、送金時に生成されるおつりを新しいアドレスで受け取ることができ、アドレスの再利用を回避できるようになっていたかもしれません。
アカウント型のシステムは実装が単純で、開発が容易というメリットがあります。残高情報はブロックチェーン上に直接記録されており、送金を行う際も残高から送金額と手数料を引くだけで良いため、単純な操作で実装が可能です。
一方、UTXO型の場合、残高を確認するためにはUTXOの合計を算出する作業が必要で、送金作業はさらに複雑です。この複雑さは、イーサリアムを始めとするスマートコントラクト系のチェーンがアカウント型を採用している一因であると思われます。もしビットコインがアカウント型のシステムを採用していたら、上記のような複雑さは解消され、スマートコントラクトが実装されていたかもしれません。 (田中 芳治)
Q. 来年ビットコインの半減期がありマイニング報酬が更に減っていきますが、ビットコインはこのままだとマイニングによるインセンティブ設計が破綻してしまうという批判を聞きます。今後ブロック報酬以外のビットコイン送金手数料部分が大きくなっていく必要があると認識していますが、今後本当にマイナーの手数料報酬が上がっていくと考えられるのでしょうか?具体的なシナリオなどで想定できるものはありますか?
A. まずマイニングによるインセンティブ設計についてのご質問にお答えします。マイナーの利益はマイニング報酬(ブロック報酬と送金手数料)から電力コストなどの各種コストを引いたものになります。利益が長期的に十分にプラスにならなければマイニングへの参加者は減ります。
しかし、マイニングへの参加者が少なくなるとマイニングの難易度が低く設定されるため、変動費の大半を占める電力コストが抑えらるといったネガティブフィードバックがかかります。すると、マイニングへの参加者の減少はどこかで止まるはずですので、ビットコインのシステムの破綻は簡単には起きないと考えられます。
次に送金手数料についてですが、基本的にはマイナーは送金手数料が大きいものからブロックに取り込みますので、ビットコインの取引の競争率で上下します。2022〜2023年比較的落ち着いており、マイナーが得る報酬のうち、送金手数料が占める割合は1〜2%の間を推移していますが、2017〜2018年には30%程度になった時期もあります。
将来的なシナリオとしては、高額な決済や資金移動の手段としてビットコインを使う人が増えると、送金手数料が上昇すると考えられます。移動するビットコインが高額であるほど、早く確実な送金が必要です、送金手数料が高額でも気にならなくなります。トランザクションが増えすぎないようにライトニングのような仕組みや、トランザクションそのものの圧縮する技術の重要性が高まるはずです。(AndGoハードウェア担当)
Q. 日本の企業がビットコイン関連で事業展開を検討するとしたらどのようなサービスが適していると考えていますか?何か事例やアドバイスがあればお願いします。
A. まずは海外で先行しているビットコイン関連の主な具体的な事例としては、インフレや銀行倒産などのリスクヘッジとして余剰資金の一部をビットコインで保有/投資する戦略、ライトニングを活用した国際送金のコストとスピードの改善、マイルなどのかわりにビットコインをキャッシュバックとして配布することでユーザーエンゲージメントを改善、などがあります。
それぞれのユースケースや事例は自分は日本でも需要があるものが多いと思うのですが、制度的な問題で日本ではまだ上手く発展していない物が多いです。例えば、企業によるビットコインの現物保有は期末課税の問題で日本では非常にやりづらく、監査の関係などでそもそもビットコインを保有したがらない企業が多いです。
他にも国際送金やキャッシュバックスキームも、海外ではカストディアル型のサービスが現状主流で、カストディ規制の厳しい日本では特に中小規模の企業が気軽にこのようなサービスを開発、提供することが難しいこともライトニングなどのユースケースが出てくることを妨げている部分があります。
ただそれぞれ他国と比べると少しハードルが上がるだけで不可能ではないので、日本でビットコイン関連の事業展開を検討するなら、海外の事例を研究する、日本の制度とそれらのすり合わせが出来ないかの検討、海外で先行する事業者との協業を検討する、などをコツコツやるしかないかな、と思います。
日本に関して他に特筆することがあるとすれば、国内の取引高や保有者数、認知はなんだかんだビットコインがまだ圧倒的にNo.1で、制度的な部分と折り合いをつけつつ海外の先行事例を上手くローカライズ出来たら、それだけで競争があまり激しくないブルーオーシャン市場を開拓できる可能性があることだと思います。(東)
Q. シンガポールなど仮想通貨の税金がかからない場所に法人を設立してその法人で海外の仮想通貨取引所に口座を開設、日本にいる状態でその海外口座へ個人のハードウォレットからBTCやETHを送付して海外で取引、そこで出た利益を、海外の会社から日本にある個人の銀行口座へ給与という形で振り込みをする事で節税出来るのではないかと考えています。 この際、海外の会社に仮想通貨を移動した時点で利益確定と見なされて課税されるのでしょうか?
A. 申し訳ありませんが、我々はビットコインの専門家であり、節税に関する回答・アドバイスすることはできません。税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
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