金融・暗号資産などでのスタートアップでは必ず規制の問題があります。今回は企業単位あるいはプロジェクト単位での規制改革を制度的にすすめるための仕組みについて考えます。

全国一律での規制緩和というのは、1980年代後半の中曽根・竹下内閣のあたりから注目されるようになりました。

上の一覧以外にも、タクシーの需給調整基準の緩和、有料職業紹介可能な職業の緩和 などがありました。

21世紀に入っても様々な規制緩和は行われてきました。現在の技術革新のスピードは当時よりも早くなっており、それらに法規制が追いついていかないということがあります。そのような時に、日本が大陸法を採用しているということが関係するといわれています。

英米の法体系は日本の法体系とちがうということはよく言われています。英米法と大陸法の違いについて比較するということは法学者などが行っているのですが、筆者は専門家ではありませんので深くは考察しません。ただ、これらの違いが企業のイノベーションに対して影響を与えているといわれています。

自民党の平将明議員によれば、英米法では「まずやってみる。問題があれば事後司法判断になる」ということだそうです。日本やドイツなど大陸法の国では規制のために試行錯誤できる余地がなくなってしまうということです。

法律で規制がない下で自由にやってみようということ、このようなことが可能かどうかは重要です。日本では法律が未整備の場合に自由な活動を行うことが難しいといわれます。

Winny事件では、P2P型ファイル共有ソフトと、既存の著作権法との関係が問われました。しかし、2004年に開発・配布者の金子氏が逮捕され、2011年に最高裁で無罪が確定しました。最高裁ではWinny自体は中立で使用者が違法に使うかどうかを決めていると考えたということです。一方、5人の裁判官うち1名が、違法行為の幇助にあたるとして反対意見を述べていました。Winny事件は映画化され公開予定です。元2ch管理人のひろゆき氏はコメントを寄せています。  

日本ではなぜ画期的なITサービスが出てこないのか?という質問の答えは、Winny事件、Coinhive事件と、技術を理解しない警察によって開発者が逮捕される事件が続いているのも原因の一つです。Coinhive事件が最高裁で無罪になったのは2022年です。金子さんが裁判のストレスを抱えていないで長生きしていたら、面白いものを色々作っていたんだろうなぁ、、と思います。仮想通貨で使われている技術は、Winnyで使われた技術の発展したものだったりします。映画を見た人が『若い技術者が委縮しない社会をつくるべきだ』と思ってもらえたらいいなぁ、、、と。

また、ある業界において、外からやってきた新規企業がいきなり参入してくる、ということも厳しい反発をされる場合があります。仮に合法であったとしても、新参者に厳しい閉鎖性がある業界もあります。

2000年代にはライブドアのCEOだった当時30代の堀江貴文氏は、ニッポン放送の経営権をめぐりフジテレビと敵対しました。また、近鉄バファローズの買収においても、既存球団オーナーからの反発によって、買収失敗に終わりました。

既存法との関係が分かりにくい新しい技術や、新規参入・ライセンス規制というのはいつの時代も問題となっていました。それ以外にも、行政にとって規制緩和を進めてよいものかどうかという判断をする際に、必要なデータが不足するということがあります。大陸法を採用していることは規制緩和に必要な実証ができないということが起こり得るということです。また、データが無いので立法できないという行政側にも問題が生じているといわれます。

これらの解決のためのアイデアの一つが「規制のサンドボックス制度」というものです。サンドボックス制度は各国導入されています。  

2016 英国  オーストラリア  シンガポール、  2018 日本、  2019 韓国

英国がサンドボックス制度の発祥です。実は英米法を採用していても、金融やエネルギ―、医療などの分野では、大陸法国家と同様な法規制があります。したがって、問題意識はこれらの業界では、英米法国家でも大陸法国家でも共通です。  

諸外国では、とりわけ金融分野の規制に関するサンドボックス制度を重視しています。それに対して、日本は比較的幅広く技術全般に適応しようとしているようです。    

内閣フォームにて応募申請し、認定されると実証が行われます。例えば、電動キックボードの行動走行に関する実証では、道路交通法の規制が関わります。はじめは大学構内などから実証走行を始めます。警視庁は、「特例電動キックボード」というものを定め、小型特殊自動車として認めるような特例措置を定めました(2021年4月)。5つの事業者と実施地域を東京23区内などに限定します。   その実証を行いつつ最終的には法改正を行います。ヘルメット努力目標であり、免許がいらなくなるようになります(2023年7月に道路交通法改正の予定)。

次回は、これらの問題点について考察します。そして、外国との比較、特にシンガポールの制度と比較します。