シュノア署名+TAPROOTのマージ
さて、先週のことですが、長い間開発が続けられてきたシュノア署名+TAPROOTが、Bitcoincoreのソースコードにマージされました。マージといいうのはテストやチェックをへて、正式にソフトウェアとして取り入れられたことを意味します。あしかけ2年以上に渡る長い開発でしたが、ついに完成を見ました。感慨深いです。
ビットコインの開発方針は、時間を掛けて、安全重視、議論を経てということで、拙速に機能をとりいれたりはしません。
今回のシュノア署名とTAPROOTも、もともとはMASTという案から始まり、Grafrootなどいろんな案がでて、長らく議論の末にこの形に落ち着きました。
さて、シュノア署名と、TAPROOTですが、機能のアップデートとしては、非常に大きく、Segwit以来の3年ぶりの大型機能といえます。ビットコインの柔軟性、拡張性を向上させる基盤になると考えられています。ユーザーとしては、いますぐこれで何か使えるアプリやウォレットがあるわけではなく、本当に将来にわたっての話ということになるのですが、ビットコインとしては、目先のなにかより、堅牢な基盤を整えていくという開発方針ですので、今後の応用を待ちましょう。
さて、この機能、いつから使えるかということですが、ソフトウェアに取り込まれたといっても、まだマイナーによってアクティベートはされていません。マイナーのほとんどがこの機能をアクセプトして初めて使えるようになります。いわゆるソフトフォークですね。いつどのような形でソフトフォークがおこなわれるかの議論はまだされておらず、とりあえずソフトとして完成をしたという段階です。いきなりメインネットで運用するのではなく、機能がONになったテストネットでのテストが暫くおこなわれるでしょう。
Bitcoin Coreはほぼ半年に1回メジャーリリースがされています。前回の0.20.0のリリース、6月です。2ヶ月後の8月に、0.20.1がリリースされています。新機能のソフトフォークは、マイナーバージョンで行うというのが慣例ですので、最速となると、0.20.1に含まれることになるかとおもいます。すると、時期としては来年の2月というのが最速のスケジュールでしょう。ソフトフォークの方法ですが、前回のSegwitのときは、マイナーの強い反対が起こり、結果としてBitcoin Cashが誕生するに至ったという歴史があります。マイナーのハッシュパワーがいわゆる賛否のための投票という意味合いをもつようになってしまったため、何方の陣営につくかということで割れてしまったわけです。(現在もBicoin Cashのコミュニティはこの方法を踏襲してハッシュパワー競争をしており、11月にもまた分裂しそうです)
本来、ソフトフォークは、マイナーの準備が出来てない状態で機能がONになると危険なため、マイナーの95%が準備OKとなる時期を測るものでした。それが賛成票、反対票という投票や政治につかわれてしまったのです。とはいえ、今回のシュノア署名+TAPROOTに関しては特段に反対する理由も陣営もなく、スムーズなアップデートが行われると予想しています。マイナーの95%、または1年後の期限のどちからという形で区切るような方法が取られるのではないかと思われます。
技術的な話をすると、シュノア署名は+TAPROOTは、Segwitの新しいバージョンとして実装されます。
scriptPubKey : 1 <taproot scrypt hash>
という形になります。Segwitを導入したおかげで、新しい署名やトランザクションの形式を、ソフトフォークで追加出来るようになりました。ハードフォークせずに、Segwitの新バージョンのトランザクションを追加することができます。
将来、たとえば、量子コンピューターによる解読がおこなわれたり、ハッシュ関数に脆弱性がみつかっても、新しいトランザクションや署名を、Segwitの新バージョンとして追加することができます。
これによって、ビットコインは、将来にわたっても、ソフトフォークのみで、拡張性を確保できるようになったわけです。Segwitというのは、単なる手数料の節約の話ではなく、こういう根本的なこともでもあったわけですね。ともあれ、この話しが市場にあたえる影響はあまりないでしょう。ビットコインの開発は円熟を迎えており、よくも悪くも開発の方針が価格に大きな影響をもたらすことがもうなくなってきたと言えます。これは資産として、非常に大事なことでしょう。安心して開発を見守れるというのは本当に大事なことです
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