界隈で知名度の高い簡易取引所サービスであるShapeShiftがDAO化して、ユーザーに広くトークンを配る、という発表が注目を集めています。自分もこの動きは興味深い点があると思っている一方、違和感や、懐疑的に思っているところも多いので、自分の印象、考えられる裏のアジェンダ、今後のトレンドなどについてポッドキャストの方で色々話しました。

https://stand.fm/episodes/60f29b0f50854f000694923d

以下にテキストでも要点を書いておきます。

  • 暗号通貨同士の取引サービスを提供するShapeShiftが法人格を段階的に解消して、DAO(自立分散組織)化することを発表
  • ShapeShiftの過去のユーザーやその他のDeFiユーザーなどにトークンを広く配布し、同時にFounderや初期の株式への投資家などのトークン保有の比率を減らすことで、株式会社ではなく分散化された組織として再スタート、挑戦していくことに
  • Foxトークンはいわゆるガバナンストークンとして、ShapeShiftのサービスの方向性に投票できるだけでなく、Yieldfarmingにも使えることから、DAO化発表後にFox価格も高騰。市場は概ね好意的に捉えている様子。
  • 一定以上のユーザーベースがあり、サービスとしての実績もある法人が、DAO化するという試みの流れは新しく、ShapeShiftがその先駆けとして新しいトレンドに挑戦するという点では興味深い
  • 一方、そもそもFounderや初期の投資家が自分たちの取り分を減らしてまでDAO化に踏み切るというのは、普通に考えると違和感も残る。単純にDAOに未来を見ているというよりも、何か彼らなりの都合もあると考える方が自然だと自分は思った
  • 考えられる仮説として、ShapeShift自体Uniswapやその他のDeFi系プロジェクトの台頭や、AML規制の強化とKYCの厳格化などの影響もあり、会社としての将来性も見えなくなってきていた。その中で上場などとは別の形で何かしらExitしたかったから、その方法論として「DAO宣言」をしたと考えれば色々辻褄は合うと思う。
  • DAO化宣言してトークンを一部配って、市場が盛り上がって価格が高い状態でFounderや初期のVCや従業員などはトークンを売り抜けることが出来れば、比較的都合よく、低リスクで彼らのポジションをExit出来ることになる
  • 同じような状況やモチベーションを持つ企業は他にも多数あるので、法人の精算とDAO化というトレンドは今後続くのではないかと思う。以前先行きのない企業がICOをして事実上Exitをする、というような現象と近い(それよりさらに責任の所在を有耶無耶にしようとしている)

  • 結局DAO化というのは機能するか、で言うと、これは中長期では上手くいかないと思う。プロダクト改善や経営というのが、有象無象のトークン保有者の投票で上手くいくとは思えないし、KYCなどのコンプラ対応、サービスのホスティング、カスタマーサポートなど含めると、そもそも同様のサービスは管理者不在で真に分散化された形で成立させることは不可能だと自分は思う
  • また、企業から給料をもらっていた従業員も直接給料も出ないことになるわけだし、インセンティブ構造的にも仮にトークン投票だけで全て済ませようと考えているとしたらありえないと思うし、ShapeShiftの経営陣もこの辺を理解していないはずはない
  • まだ詳細が出てきていない部分もあるので、本当にDAOとして機能させる為に何か本気で色んな対策や提案を考えているのかもしれないし、実験という点では面白い現象も一部見れるかもしれない。ただし、真の意味で分散化して高いクオリティのサービスを提供できるとは思わないし、Founderや投資家の裏のアジェンダというのも理解しといが方がいいだろう。