さて、この記事を書いている間も現在進行形でまた一段と株式市場が下落を始めていますね。若干慣れてきたしまった感じもありますが、コロナウイルスの経済への影響はむしろこれからさらにもう一段階深くなりそうです。

すでにご存知の通り今回ふたをあけてみればビットコインも完全に株式と連動した動きを見せています。有事の時はやはりキャッシュ最強、ということが改めて証明され、ビットコインはこういう時に安心して買えるアセットというステータスにはまだ達してないんだなー、というのが改めて明確になりました。

さて、その理由の一つとして、ビットコインを使って支払いができる店舗やウェブサイトなどの場がまだまだ限られている、という指摘があります。

自分はこの指摘は一理あると思います。もし例えばコンビニとか日常的な場面でビットコインを使える場所が津々浦々にあったとしたら、今回のような株式市場の下落に対しても今ほどは影響を受けることはなかったのではないでしょうか。ではなぜ10年経った今も中々ビットコインのペイメントは浸透してないのでしょうか?

日本でもコインチェックとかは昔頑張ってたんですが、数年前に比べてむしろビットコインペイメントへの関心はさらに下がってきています。ビットコインと比べて手数料の安さなどを売りに店舗決済こそ重要、というスタンスのBCHコミュニティみたいなのもありますが、Tx数など量的に見ても、店舗に利用実態などを聞いても結局ほとんど使われてないのは変わりません。

なので、これは努力の問題とかではなく、もっと構造的な問題です。現状だとユーザーも店舗もビットコイン、仮想通貨決済全般を利用するモチベーションが欠けています。

ユーザーが使わない理由

  1. 投資目的での購入、もしくは価格がもっと将来上がると考えていれば売る意味がない
  2. 送金手数料が高く、しかもそれをユーザーが負担必要
  3. 税金などの制度が不明確、考えるのが面倒

店舗が使わない理由

  1. ビットコインや仮想通貨の保有者がまだ多くなく、仮想通貨支払いを採用してもそもそも利用者希望者がほとんどいないので、採用するメリットがあまりない。
  2. 税金などの制度が不明確。不必要なオーバーヘッドコストの増加。
  3. (まだ仮想通貨の社会的イメージも必ずしも悪くないので、店舗のイメージへの不安など)

特に日本人が日本で決済手段としてビットコインを利用すると想定すると、Paypayではなくてわざわざビットコインで支払う理由は本当にあまりないです。色んな国に行ってビットコインで支払えるお店ある?という質問をすることもありますが、世界的に見ても店舗のペイメントとしてはほとんど普及していません。

ビットコイン/仮想通貨が使われている場所はあるか?

では仮想通貨は店舗や対面決済として全く使い道がないかと言うと、すでに確実に需要があり使われている領域は実はいくつかあります。

  1. 風俗、アダルト産業
  2. 大麻産業
  3. ダークマーケット(Silkroad)

などです。共通点としては、(合法かどうかに関わらず)銀行からサービスを拒絶されたり、他にデジタルペイメントの手段が利用できない、もしくは匿名性が重要な場合です。なんだやっぱこういういかがわしいのばかりか、と思われるかもしれないですが、現状はこういう感じです。(インターネットがアダルト動画で普及、進化していったのにちょっと近いと思いますが)

ビットコインが店舗決済で広く使われる日は来るか?

現状は実需がある領域はいわゆるニッチないかがわしい領域に大分限られていますが、より「クリーン」な領域で広く使われるには最低でも以下のような条件が必要です。

  1. 税金などの制度の整理(少額の決済は非課税など)
  2. ビットコイン価格が「ある程度以上」上がりきること

    これはいくらがそのラインかは人によっても違うとは思いますが、最低でも200万円のATHを更新したりでもしない限り、含み益での支払いなどは起きないでしょう
  3. Lightning Networkの実用化

    より安く早い送金を可能にする技術として、LNの成熟は必須

上記の条件が揃うとしてもあと2~3年以上先の話です。

しかも上記が整っても、日本のようなFintechや金融インフラがすでに整っている環境では広く店舗決済の手段としてビットコインが使われることは永遠にない可能性が高いです。こういうユースは中央銀行コインやLibraのようなものが持っていくと思います。

なので、個人的にはそういう路線より「ちょっといかがわしい」領域でやれることや実需が少しづつ増えていくシナリオを期待するのが妥当だと思います。

例えば、一つ具体的に考えている例として、銀行や取引所などのインフラが整っていない国(東南アジアやアフリカなど)のインバウンド産業が、先進国のビットコイン保有者向けの決済受け入れを始める、というシナリオですね。

そういう国では多分しばらくビットコインはグレーなものでアクセスも制限されますが、国民や現地ビジネスが勝手にコンプラや税金の話など無視で外国人向けにビットコインを受け入れる、という方が日本などの国で日常支払いとして使われるよりよっぽど理屈が通っていると感じます。そこには大きなビジネスチャンスも眠っていそうです。

まとめると、ビットコインは店舗決済として使えないから無意味、などという批判に耐えつつ、Fiat通貨のヘッジオプション、差し押さえが出来ない資産、国境を簡単に越えられる、これらの特性を兼ね備えた「デジタルゴールド」としての方向性で当面は頑張るしかなさそうです。今のコロナウイルスショックの相場で試されているのはこのコンセプトであって、残念ですが決済手段としての普及は比較的ニッチな領域が中心な話で、あと数年は待つ必要があるでしょう。