令和4年度(2022年)から、新しい高等学校学習指導要領に基づき、全ての高等学校生徒に対して「情報 I 」という科目が必修となりました。この科目ではプログラミングやネットワーク、データベースの基礎などについて学習します。また、「情報Ⅱ」という選択科目では、プログラミング等についてさらに発展的に学習することとなります​​。

とりあえず公開されている都立新宿高校のカリキュラムを見てみると、1年次の年間指導計画のなかに情報 I のシラバスがあります。どうやら、1年生に通年授業として実施されているようです。文系理系などの進路に関係なく必修というところがポイントです。

実教出版社の高校教科書「情報 I Python版」

今回は、情報 I の教科書を入手してみて、読んでみようという事です。いくつかの出版社から出版されているのですが、今回は実教出版社の「高校情報 I  Python」です。こちらの出版社は、Python版とJavaScript版の二種類が出されていますが、Pythonを入手しました。

その中で、次の2点について調べます。

  • 暗号資産についてどのように書かれているか。
  • ブロックチェーン技術についてどのように書かれているか。

まず、そもそも情報という科目自体知らない方が多いと思います。筆者も当然受けたことがないので、よく知りません。そこで、暗号資産やブロックチェーンについてそもそも書かれているのか、という疑問を持たれる方もいると思います。実は、この情報 I の教科書は、かなり様々な内容が盛り込まれているということで、少し前に話題になったものです。

情報 I の内容は次の4つの大項目に分かれています。

  1. 情報社会の問題解決:例)著作権侵害、個人情報の漏洩、ソーシャルメディアの利用
  2. コミュニケーションと情報デザイン:例)情報の符号化、データの構造、インターフェース
  3. コンピュータとプログラミング:プログラミングの学習(主にPython)、
  4. 情報通信ネットワークとデータの活用:ネットワーク技術(暗号技術や認証など)と、データの活用方法(データベースの利用、機械学習やデータ分析など)

以上の4点についてを、1年間で学ぶことになります。授業時間に比べ、非常に広範囲であることがわかります。その分、個別の内容は薄くなるのかと思いますが、最新の内容がどこまで含まれているのかを調べます。

チェックする項目について

次の内容を項目別に調べてみました。筆者の独断で判断し、次の7項目について記述があるかどうかをまとめました。

  1. ビットコインとは何か:中央銀行や政府の管理を必要としないということ
  2. ブロックチェーンとの関係:ビットコインのトランザクションはブロックチェーン上に記録され、その取引履歴は全ての参加者に公開されるということ。
  3. マイニングとは何か:新しいブロックをブロックチェーンに追加し、その報酬としてビットコインを受け取ること。
  4. 公開鍵暗号との関係:ユーザーは公開鍵(ビットコインアドレス)と秘密鍵(ビットコインの送金に使用)のペアを持つということ。
  5. BCは分散型ネットワーク:情報が複数のコンピューター(ノード)に分散して保存され、一つの中央の権威が存在しないということ。
  6. ブロックとハッシュ:各ブロックは前のブロックのハッシュを含むことで、チェーンのように繋がっていること。
  7. 合意形成アルゴリズム(コンセンサスアルゴリズム):「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work)」についての説明があるか。

以上の項目1から7はいずれも基本的な事柄だと思います。これらが教科書に書かれているかどうかを調べ、表にまとめました。

教科書に記述があるかどうか:〇は有り、×は無し、△は「かろうじて触れられているが十分ではない」

これらの内容について記述があるものについては、第4章ネットワーク の第24節にある「安全のための情報技術」というところに記述がありました。暗号技術との関連でここに書かれているようです。

暗号資産という言葉はでてきていますが、ビットコインという言葉はでてきていません。暗号資産のところに注釈がついていて、「以前は仮想通貨とよばれていた」とありました。しかし、それ以上の解説は何もありません。あくまでなにかが取引されているというような雰囲気の記述でした。そのようなぼかされ方なので、当然、中央銀行や政府の管理が要らないといった記述はありませんでした。またマイニングについても記述はありませんでした。

一方、基本的なブロックチェーンについては、関連知識をさらっと記述しているようです。内容の薄さは他の章と同じくらいなので、そこまで変わったところではないのかなと思います。ブロックチェーンについては、「ゲームやデジタルコンテンツなど幅広い分野への応用が期待されている」とかいてありましたので、NFTなどを意識しているのかと感じました。

ビットコインについての記述がほぼ無いということになってしまいましたが、もう少し何とかならないかなと思いました。実は「FinTech」という言葉は教科書内で説明されていますし、キャッシュレス決済(電子マネー、QRコード)の記述もあります。教科書検定は令和3年3月10日となっていますので、今後改定があればもう少し充実するかもしれません。

今回は実教出版だけしか見ませんでしたが、ほかの出版社もかなり特色を出していようです。色々比較できれば面白いかもしれません。