基本的なトレード戦略の基本の基本を紹介するシリーズです。今回は現物と先物のアービトラージ(裁定取引)の略で、通称、「現先」と呼ばれるものです。現先は、(ほぼ)ノーリスクで確実に収益が得られるため、プロのトレーダーなども取り入れている方法です。方法は簡単です。たとえばビットコインでやる場合。ビットコインの現物を購入します。たとえば1BTC購入します。と同時に、ビットコインの先物をショート(売り)します。このとき、同数の1BTCを売るようにしてください。すると、どうなるでしょうか。

買いと売りを同時にしているので、理論上は損益が相殺されます。ビットコインが上った場合は、現物で含み益がでますが、先物で含み損がでて、相殺されます。ビットコインが下がった場合は、現物で含み損になりますが、先物の売りで含み益がでて、相殺されます。つまり、相場が何方にうごいてもトントンの状態になります。どうやってもとんとんなのですから、これでは利益になりません。しかし、あることに注目します。先物価格です。ビットコインの場合は先物の価格が現物より高いという状態になっていることがほとんどです。(これを専門用語でコンタンゴとよびます)。

先物の価格は、先物の期日がおとずれるとかならず現物価格と一致して精算がおきます。これをつかって、現物より高い先物を売り、同時に現物を持っておけば、先物の期日がおとずれたときに、先物価格と現物価格の差がそのまま利益になります。また期日まで持ち越さなくても、その間に先物と現物の価格が縮まるタイミングがあれば、適時決済して利食いしてOKです。例を使って解説します。執筆時点でのFTXの情報をチェックします。

1.ビットコイン先物(9月24日) 61534ドル

2.ビットコイン現物 57260ドル

3.現物と先物の差額(1-2) 4274ドル

このとき、1BTCの現物を買って、1BTCの9/24先物を売ります。9/24までこれを持ち越した場合、ビットコイン価格がどのように動いても、4274ドルの利益がでます。(ポジションを立てた瞬間に利益額が確定します)4274ドルは、7.4%です。5ヶ月間で7.4%の利益がえられるのですから、年利に直すと、17.9%です。年利17.9%の運用が、ノーリスクで出来るというわけです。

とんでもなく美味しい状況ですね。現先取引は、為替や株や商品などでも頻繁におこなわれていますが、ビットコインほど価格解離があるわけもなく、また常に先物が高いというわけでもないので、こんなに利益がでる戦略ではありません。しかしビットコインの場合は、ちょっとお得すぎますね。さて、現先を行う場合の注意点です。

1.証拠金管理 ノーリスクといっても、先物の含み損でロスカットがおきてしまってはいけません。十分な証拠金を積む必要場あります。

2.取引所のリスク 当然取引所がおかしなことになればリスクになります。FTXなどの大手を使っておくことに越したことはありません。

3.収益はドル建て  FTXを使う場合は収益はドル建てになります。円での収益を固定したい場合は別途為替のヘッジも必要です。注意点はこのくらいですので、簡単な取引の部類にはいります。現先は、大きなお金をもっていて、保守的に運用したい人や、とくに仮想通貨にこだわりなどはなくて、資産運用の一部として固めに運用したい場合には最適かとおもいます。やったことのない人は、試しにトライしてみれば、原理含めてわかるとおもいます。

(補足)期日がある先物のかわりに、無期限先物を売るということもできます。その場合は、日々貰えるファンディングレートが収益となります。これをとくに「デルタニュートラル戦略」といって、ツイッターなどで、「デルニュー」の呼び方で、なにやら大ブームになっていますね。なお、ファンディングレートは日々変動するため、期日先物を売った時のように、ポジションをとった瞬間に利益額が確定するわけではありません。ファンディングレートをチェックする必要は有ります。