Trezor suite
Trezorのユーザーにはすでにアナウンスが来ていると思いますが、先週に、Trezor Suiteの正式版がローンチしました。
これはウォレットインターフェイスの大幅なバージョンアップです。
こまかい改良点はいくつかあるのですが、ユーザーにとって大事な点を3点あげておきます。
i) Native Segwitアドレスが標準になった。
bc1から始まる、いわゆるNative Segwitアドレスがサポートされ、標準となりました。
すでに多くの取引所がNative Segwitでの入出金をサポートしています。
Native Segwitのアドレスを利用する場合、手数料がかなり安くなります。
特に安くなるのは、複数のコインを一つにまとめて送るような送金です。
従来の送金では、たとえば3個のコインを1つにまとめて送ると、乱暴にいって3回分(3倍)の手数料になってしまっていましたが、Native Segwitの場合はほぼ1回分の手数料程度でほとんど増えません。
これは入力の電子署名のデータがSegwitによってカウントされなくなるためです。
Native Segwitは導入から3年がたちましたが、いよいよTrezorのサポートにより、デファクト化がすすみそうです。
ii) シャミアの秘密分散法
シャミアの秘密分散法による秘密鍵の保管が可能になっています。
これは、シードフレーズのいわゆる24単語をそのまま保管するのではなく、いくつかの断片に分けて保管できる手法です。
分割数は任意にえらべ、たとえば 2 of 3 であれば、3つに分割したうえで、そのうち2つの情報が揃えばシードフレーズが再現できるというものです。
いわゆるマルチシグに近いようなセキュリティを享受することができます。
それぞれのシードの断片も英単語の羅列になりますので、管理は容易だとおもいます。
一つのシードだけを保管するのは怖い。かといってマルチシグは難しいというひとのために、中間的なソリューションとして優れた方法だとおもいます。
この機能が、Trezor Suiteをセットアップするときに利用することができます。
(なお、Trezor-Tモデルのみ対応)
マルチシグと違う点をあげておきます。
マルチシグは、コインの送金時点で複数の鍵が必要なのにたいして、シャミアの秘密分散法はシードフレーズ(つまりすべての元になるマスター秘密鍵)を複数に分割します。
複数に分割したシードは、必要なかずだけ集めて、マスターシードの形に復元してあげなくてはいけません。完全に復元せずに送金することはできません。
そして、復元された秘密鍵ものは、トレザーの中にデータとして存在することになります。もしそのトレザーが盗まれた場合、そのトレザー1つ単体だけで、送金が可能になってしまいます。ここがマルチシグとの違いです。
つまり、シャミアの秘密分散法では、シードフレーズを完全にオフラインの文字として保管しておき、トレザーのハードウェア内からは情報を消去してしまう分には、冗長性を確保できますが、トレザー内に秘密鍵をよみこませたままだと、そこが単一障害点になるということです。
ですので、頻繁に送金する用途には不向きで、数年単位で動かさないような超HODLのための方法だといえます。
シードの復元はTrezor Suiteからできますが、作業はめんどくさいので、副効果としてHODL力が上がるかもしれません。
iii) Torのサポート
Torが標準でサポートされます。これをONにしておくことで、トランザクションのプライバシーがかなり保てるようになるとおもいます。
もちろんウェブのウォレットインターフェイスをつかっていると、どうやってもトレザー社のウェブサーバーに接続するわけで、あれなんですが、Trezor Suiteにはデスクトップアプリ版もあります。
アプリ版を使うことで、Trezor社に接続することなく、Tor経由でやり取りができますので、プライバシーが大幅に向上するとおもいます。
Trezorをつかっていてプライバシーに不安をもつひとは、ぜひアプリ版をダウンロードして使ってみてください。
それにしても、このあたりの進化は地味ながら着々と進んでいて、ほんとうに便利になりました。よい時代になったものです。
(大石)
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