Vol.296 トランプ政権開始でビットコインは不穏な空気?(2025年2月3日)
こんにちは。今回はメンバーの方からのご質問にお答えしたいと思います。
ご質問:
個人的にはトランプ大統領による仮想通貨戦略がビットコインに対して不穏な雰囲気を醸し出していますが、どのように捉えておりますでしょうか?
この感覚、すごくわかります。それでは、少し振り返りながら考えてみましょう。
市場が期待していたこととのギャップ
トランプ大統領が就任する前、多くの人々は「国家ビットコイン準備金(Strategic Bitcoin Reserve)」の構想や規制緩和による資金流入を期待していました。
しかし、実際には「$TRUMP」ミームコインの発行や、それらの多くを家族や関係者が保有しているという行動が目立ちました。
また、1月23日の大統領令で「暗号資産準備金」の創設を検討する作業部会が設立されましたが、この準備金にはビットコイン以外の暗号資産も含まれる可能性が指摘されています。
さらに、「米国発トークン優先」という思惑が先行し、XRP(リップル)やソラナ(SOL)が候補として注目される中で投機的な値動きが発生しました。
結果として、市場は次のような失望感を抱いたと言えるでしょう:
「トランプさんって、結局自分の金儲けにしか興味ないやん。まあ暗号通貨への敵対よりはマシやけど」
失望というよりもガス抜き
さてここからは筆者の捉え方を書いていってみたいと思います。個人的な主観も入りますので、その点は割り引いて読んでいただければと思います。
今回のトランプ大統領当選前後で、ビットコイン価格に強く影響を与えた日付が2つ挙げられます。
以下、チャート内に記してみました。

① 2024年11月15日
米国大統領選挙結果が確定した日。この日以降、先物市場の取組高(Open Interest, OI)が急増し、市場全体が活気づきました。
② 2024年12月18日
トランプ次期大統領が「国家ビットコイン準備金」の設立を検討していると報じられた日。
この報道に加え、FRBによる政策金利引き下げも相まって、ビットコイン価格は過去最高値108,000ドル超に達しました。
その後も、この価格をビットコインは超えられていません。
この推移と現状のビットコイン動向からは、いま市場で起きているのが「失望」というよりも「ガス抜き」と捉えた方が現実的かもしれないということです。
ここからは先物市場のデータも見ながら確認していきましょう。
今のビットコイン市場は失速気味
一見すると堅調に見えるビットコイン市場ですが、内部データを見ると異なる側面もあります。特に注目すべきは先物市場の取組高(OI)の推移です。
取組高とは、まだ決済されていない先物契約の総数を指し、市場への資金流入や関心度を示す重要な指標です。
以下のチャートは、2024年9月以降のCMEにおけるBTC先物の取組高の推移をオレンジ色で、BTC価格を青色でグラフ化したものです。

- 直近では、取組高が2024年11月15日や12月18日の水準を下回っています。
- これは、市場が①から②までの期間で最大風速で盛り上がり、その後は余波を消化している「ガス抜き期間」に入った可能性を示唆します。
このような状況下では、「トランプ大統領がビットコインに対してネガティブ」というよりも、「市場が詰め込みすぎた過剰な期待を調整している段階」と捉える方が適切かもしれません。
ただ北米のETF残高の推移を見る限り、ビットコインへの長期資金流入は、まったく衰えていません。
つまり市場参加者の見方としては、「今は高まりすぎた期待を冷やす調整期間であり、だからと言って持っていないコインを借りてきて空売りする状況ではない」という認識が共有されているようです。
あくまで一つの見解でしかありませんが、参考になりましたら幸いです。
まとめ:市場心理と実態のバランスを見極める時期
今回の分析を通じて見えてきたポイントは、以下の3つに集約されそうです。
第一に、トランプ大統領就任前後のビットコイン市場では、過度な期待が織り込まれた可能性が高いということです。これは市場が理想的なシナリオを先取りしすぎた結果かもしれません。
第二に、現在の市場は「失望」というよりも「ガス抜き」の局面にあるということです。先物市場の取組高(OI)が低下している一方で、北米ETFへの資金流入は継続しています。これは、短期的な投機筋が手仕舞う一方で、長期投資家の信念は揺るがないことを示唆しています。
第三に、トランプ大統領の政策に対する市場の評価は、当初の期待ほど楽観的でもなく、懸念されるほど悲観的でもないという、より現実的な水準に落ち着きつつあるということです。
過度な期待や懸念に振り回されることなく、ビットコインの本質的な価値と市場動向を冷静に見極めていくことが重要なのは、今までもこれからも変わりなさそうですね。
引き続き、ハッピー・ビットコイン!
ココスタ
佐々木徹
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