こんにちは。日本は3連休に台風横断となりました。明日20日の午前0時には福井方面に到達するとのこと。読者のみなさまも、くれぐれも足元にお気をつけくださいませ。

それにしても週明けのビットコインは19,000ドル、イーサリアムは1,300ドルを割り込む体たらく。下がる動きも見慣れてきた今日このごろではありますが、はやく元気を取り戻してもらいたいものですね。

さて見た目の値動きとは裏腹に、ビットコインと米ドルに変化の兆候が現れています。こちらで少しシェアをさせてください。

米ドルに現れている変化

さて今の市場は米ドル一強。それもそのはず米国はインフレ抑制に向けて金利上昇を急ピッチで進めています。9月13日発表の消費者物価指数(CPI)公表後は、9月FOMCで1%利上げの折り込みが3割を超えていました。

世界最強の基軸通貨である米ドルが金利を上げるとなれば、資金もダイソンの掃除機で吸い込まれるように戻ってきても、仕方なしですね。

そんな米ドル一強相場が続いていますが、どうも市場は変化の兆しを折り込み始めているようです。

筆者がそれを(微妙に)感じ始めているのは、ユーロ相場です。

ご存知のとおり米ドルは世界で一番巨大な市場であり、その巨大な資金を仮に退避させる必要がある場合、市場に残された選択肢は、さほど多くありません。

米ドルをゴールドに逃がそうにも市場規模が小さすぎて足りない。米国債を買おうにもドルだから意味がない。

残るのは、規模と流動性からしてユーロしか無いんですよね。あとは市場の規模は小さいけれど、安全資産であるスイスフランか日本円か。

つまり米ドルのヘッジ需要が存在するという意味で、ユーロは(投機上等の英ポンドとは異なり)少し特殊な役割を持った通貨だとも言えます。

ところがウクライナ戦争が起きてから天然ガスのバルブをロシアに握られている欧州は、製造コストも跳ね上がり今年6月に貿易収支も赤字へと転落。

ECBは9月に場当たり的な0.75%の利上げをしていますが、だからといって米ドルをユーロに変える理由もありません。

そんななか、先週は9月14日にウクライナがロシアの領土を、8,000平米キロにわたり奪還の報道が流れました。

たとえばアルジャジーラは以下の報道をしています。

https://www.aljazeera.com/news/2022/9/13/ukraines-counteroffensive-explained-in-maps

9月14日に報道されたウクライナ領土奪還の地図(アルジャジーラ)

さて市場は、ウクライナの領土奪還をどのように受け取ったのでしょう?ディティールへ進む前に、日程だけ確認をしておきます。

9月13日:米CPIで米利上げ懸念再燃

9月14日:ウクライナ領土奪還報道

9月15日:米小売が予想を上回り上昇

ここでCME先物市場の出来高が跳ねた(9月で最大だった)日時を主要なアセットごとに見ていきます。

9月13日の出来高が最大だった市場

  • SP500株価指数先物
  • 英ポンド
  • FF30日金利先物
  • ユーロダラー金利先物
  • NZドル

9月14日の出来高が最大だった市場

  • ユーロ(通貨先物)
  • スイスフラン
  • 豪ドル

どちらかといえば13日は「投機型」。14日は「米ドルの逃避先となる通貨」に分類できそうな取引対象となっています。

※ ビットコインは9月9日、明後日の方向を向いています

週末には、バイデン大統領が「プーチンよ、領土を奪還されたからと言って核兵器使うなよ」と言っています。

https://www.cnn.co.jp/usa/35193446.html

さて先週の寄稿記事では、クレディ・スイスのゾルタン氏コメントを意訳して紹介しました。

その一部を再掲してみます。

ウクライナ戦争の終結が近づくことで、①ロシアの核兵器使用懸念 ②米ドルの長期的な弱体化 いずれかが市場に織り込まれた可能性もあります。

ただ戦争や天変地異で買われるゴールドは売られっぱなしですから、どちらかといえば消去法で「②米ドルの長期的な弱体化」を市場は見ていると考えて、よいのかもしれません。

また9月13日CPI発表後に〆られた建玉明細でも、ユーロを取引するレバレッジファンドのトレーダー比率がマイナス圏からプラス圏へとシフト。

「売り専用機ユーロ」に現れている変化は、どちらかといえば米ドルそのものの変化を表しているようにも感じます。

相場巧者はビットコインを過去最大規模で買い戻し

さてユーロという少し特殊な通貨を通して、市場が米ドルの長期的な弱体化に打診ロングを入れている様子が確認できました。

では肝心のビットコインは、どこで道草を食っているのでしょうか?ちょっとCME先物の建玉明細を呼び出してみましょう。

今回の建玉明細は9月13日が締め日。ビットコインはCPIが発表された直後から下げ、22,500ドル → 20,000ドルへの下落となった日です。

相場巧者のアセマネは400枚を超える買い戻し。

強気?いや、単に19,000割れで売りを積んだ参加者が、CPI前の22,500ドルまでの上昇ラリーで買い戻しを迫られた結果でしょう。

それでも9月13日と同規模の買い戻しが2週連続で発生するようなことがあるなら、そのときは「強気」と明言されるかもしれません。

一方、マージイベントも盛況だったETHは、小幅な買い戻しで終わっています。

今回の建玉明細はマージ前のスナップショットです。マージ終了後にどうなったか、次回の建玉で確認したいところですね。

なお、Vol. 172で言及した米ドルの流動性。

こちらは「FRBの資産圧縮、9月から2倍速に」のヘッドラインにも負けず、9月入りしてから一定レベルを維持したまま踏みとどまっています。

6月と7月のFOMCでは、会議終了の翌日以降から5日程度はナスダック指数も上昇相場となりました。

9月FOMCは20-21日での開催です。どのような結果になるかはわかりませんが、まずは22日以降の動きに注目というところではないでしょうか?

ビットコインには底力を見せてもらいたいところですね。

まとめ

今回は米ドル一強に現れ始めたかもしれない、小さな変化の兆しについて掘り下げてみました。

過去に起きたキプロスショック(2013年)は、法定通貨の引き出し制限や預金課税などから逃れようとする資金が、ビットコインへと殺到したことが原因でした。

ロシアが核兵器のボタンを押してしまうのか(頼むから止めてほしい)、それとも中国が台湾へ侵攻し世界から半導体を取り上げてしまうのか。

何が起こるかわかりませんが、ユーロを始めとする他国通貨が地政学に反応しているのを見ると、市場は米ドルへの「変化」を肌で感じ取っているのかもしれません。

米ドルへの変化はビットコインへの変化。つねに変化にはオープンでいたいですね。

今週は以上です。引き続き、ハッピー・ビットコイン!

ココスタ

佐々木徹