Vol.181 現金価値はさらに弱体化〜 FOMC下げは買いですか?(2022年10月31日)
読者の中で、モノポリーというボードゲームで遊んだ経験のある方はいらっしゃいますでしょうか?筆者は(ゲーム内で)あふれかえる現金を手にするとともに、すべてを一瞬でなくす破産経験も数知れず経験してきました。
この小さなボードゲームで起きることこそ、今の世の中の縮図のように思えます。どうしても言いたくなってしまったので、この場をお借りしてシェアさせていただければと思います。
破綻の痛みを救済することからバブルが始まる
モノポリーの目的は、資産を増やすことではありません。他の参加者を破産させることです。そして、銀行は何があっても破綻しません。また参加者同士が合意すれば、どのようなルール変更もOKです。
これだけで今の世の中の縮図に思えてきませんか?
さてゲーム自体は、サイコロを振り停まったマスの土地を買い、相手が自分の土地に停まったら賃料をもらえるというもの。隣り合う土地を買い占めれば、土地に建物を建てられるようになり賃料は一気に上昇します。
このゲーム、当然ながら進行するうち、誰かが破産します。普通はそこで終わりなのですが、参加者の合意をもとに実験をしてみます。
破綻する人が背負った負債をカバーできる金額を、銀行が参加者全員にばらまくようにしたのです。
最初は破産した人がかわいそうだから、救済で、、、とスタートした試みは、時間が進むにつれて全く違う結論へと向かいます。
まず勝っている人は土地を買い占めて建物を何軒か持っています。そんな持てる人たちにも現金は「平等に」降ってきて、即座に建物へと追加投資が回ります。
一回停まって家賃$50ドルだった土地は、追加投資で家賃が$300とかに上昇してますから、救済された人が停まっても、またすぐ破産します。
そこで再度の現金給付。ここまでくれば「ヘリコプターマネー登場!」とか全員で盛り上がって、製造原価0の現金を銀行からわしづかみにしてばらまきます。
だって銀行は破綻しないルールです。現金が足りなくなれば、手近な紙に数字を書けばいくらでも製造できます。徹底して破産者を現金給付で救済するゲームは続きます。
するとあふれる現金で建物がじゃんじゃん建ち、建てる余地がなくなってしまいます。でも現金は余る。そこで参加者同士で談合し建築上限の撤廃というルール変更が始まります。
お金が続く限り、土地に建てられる建物の上限数を撤廃してしまおうという、規制緩和の名の下の談合ですね。
破綻を繰り返している参加者は、もう好きにしてくれとばかり合意します。だって現金はもらえるし、文句を言えるような情勢にはありません。
ゲーム初期設定で家賃上限が$500程度だった物件も、ルール改定で家賃も5倍10倍と高騰。手元に現金があふれていても、そんな化け物みたいな高額物件に停まってしまえば即アウト。そうしてヘリマネが延々と続き、物価の高騰は終わりなき旅にでます。
続けていると参加者がゲームに飽きて、現金給付をやめることを決めます。最後は誰かが高額物件に停まって破産。一撃でゲームセットです。
これと同じことが世の中で起きるとは思いませんが、一つ確かなことがあります。
それは、一度始めてしまった現金の給付(補助金)は、破産者を出すことなく止めることはできないということです。
今の国会で審議されているのは、価格抑制のための補助金ばかり。いかに始めてしまった無制限緩和を止めることが至難なことかを物語っているようですね。
現金価値は情報量に反比例して消失する
さてモノポリーは脇においておいて、本日の日経新聞で興味深い論説を見つけました。
「一物多価」の経済実現へ デジタル金融の実相(成田悠輔・エール大学助教授)
現金がもつ役割の一つは、過去にその人が世の中へ貢献した度数を数値化して内包しているというもの。
たとえば手元の1万円は、過去にだれかに対して1万円分のサービスなりを提供したことの証明情報だという考え方。
ところが、それら証明情報は、いまはお金に頼らずともデジタルデータで代替えできるようにすすんでいる。
必然、現金の(情報を内包するという)価値が減少する。進化の先は、再配分の役割が不要になった国家の役割喪失と、個人の活動履歴と物・サービスが直接交換される経済像。
なにかビットコインに直結しそうな考え方でした。
本日10月31日はビットコインのホワイトペーパーが世に出た日ですね。少し「現金の本質を考える時間に充ててみる」のも悪くはないのかなと思い取り上げてみました。
FOMC下げは買いですか?
さてビットコインは2万ドルを回復し、少しだけやる気を取り戻し始めたようにも見えます。
前回の記事 「Vol.180 ビットコインは急騰間近か〜 空売りペーパーマネーの容量限界値が近い」 では市場心理に少し焦点をあててみました。
結果的に値上がりはしたものの、現時点では売り手が驚いて手じまいした「買い戻し」の域を出ていません。
11月FOMCを見てから方針を決めようという動きも散見されます。少しだけ今のビットコイン動向を振り返っておきましょう。
下のグラフは、ビットコインCME先物の2022年10月25日〆建玉明細からです。
とその前に。10月25日にはイエレン氏が米国債の買戻について言及をしていました。このあたりから市場の空気は変わってきた感もあります。
ローソク足はビットコイン先物。オレンジ線は、イエレン氏が買い戻しを示唆した米国20年債の価格です。
イエレン氏、完全に流れを変えてくれましたね。10月の最重要人物ではないでしょうか?
いずれにしても、英国初の債権ショックが米国にも流れ弾として飛んできて、結果的にステルス緩和へと米国が舵を切る可能性を市場が感じたのでしょう。
イエレン氏の発言を境として、債権(オレンジ色20年債)もビットコイン(ローソク足)も、一気に買われることとなりました。
10月25日〆の建玉明細は、このイエレン効果が織り込まれている点に留意しておきたいところです。
前置きが長くなりましたが、以下はビットコイン先物のアセットマネジャー・売り玉保有残高の推移です。
久々に来ましたね。売り玉の300枚回収が2週連続となっています。
価格レベルとしては2万ドルということで、19,500で売った玉を2万ドルで買い戻した姿が見て取れます。
イエレン氏で状況が変わったのであればリセット。素晴らしい判断ではないでしょうか。
ただ買い戻しは買い戻しでしかありません。
「新規資金が流れ込んで来ず、踏み上げで終わって、また元の木阿弥」とは、ずいぶんと見慣れた風景です。
下のチャートは、マイクロビットコイン先物に参加しているトレーダー数の推移です。
10月25日〆で過去最低の人数(84)に並んでいます。いまのところ市場はイエレン氏投入で変化を嗅ぎ取り「売りは撤収」したが、それで終わり。
25日以降も建玉は減る一方ですから、このままだとFOMCで出尽くしから19,500までの逆戻りを想定する参加者が増えてきそうな状況です。
もし動きのヒントがあるとすれば、いまはユーロドルかもしれないですね。
ちょうど、今はユーロ・ドルの交換比率がパリティとよばれる1.0を行ったり来たりしています。
別に1.0には何の意味もないのですが、多くの人が気にするレベルは何らかの反応を起こすこともあります。
仮にFOMC前にパリティ1.0を超えユーロ・ドルが上昇しているようならば、FOMCからの出尽くし売りも、1.0で支えられるかもしれません。
レバレッジファンドのトレーダー比率は、9月中旬からユーロ買いで推移しています。気高きビットコインを寄り合い所帯の通貨と比較するのも気が引けますが、いまはまだドルの行方が市場を左右しています。
気長にビットコインの独歩市場復活を待つというのも、一興ですね。
巻末のチャートは、ユーロ・ドルとビットコインとを上下に並べたものです。
今週は以上です。
引き続き、ハッピー・ビットコイン!
ココスタ
佐々木徹
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