Vol.216 ビットコイン:高金利時代の生き残りと相場巧者の次なる一手(2023年7月10日)
ビットコインは現物ETFの審査結果待ち。市場も「決まらないと動けないだろ?」といった空気感に満ちていますね。
採掘から得られるビットコインの報酬量が1/2に減少する半減期は推定で2024年4月20日。強気な推移をはじめるなら、まさに「1年を切った今」。
しかし、米国の金利が異次元の水準に切り上がる中、頭上が重くなり始めているのも事実。
本記事では、ビットコインと実質金利の関係を振り返りながら、相場巧者が目論んでいる次の一手について考察していきたいと思います。
実質金利が2%を越えてビットコインは上昇を続けられるのか
ビットコインやゴールドは、それぞれが独自の個性を持ちつつも、実質金利には大なり小なりの影響:上値が重くなりがちであるという特性を持っています。
実質金利にも色々ありますが、ここでは読者の方が簡単に引用できる数字を使いたいと思います。例えば、インフレヘッジ機能付きの米国債5年物の利回りなどが該当します。これらの情報は、FEDのサイトで確認することができます。
https://fred.stlouisfed.org/series/DFII5

2023年7月6日時点の利回りは2.15%。直近13年間においてダントツの高さを記録していますね。
では過去に実質金利の利回りが高かった時期のビットコイン動向を確認しておきましょう。あまり分母は多くないのですが、振り返りということでご了承ください。

緑色で囲った部分は-1%を下回っている「超低金利時代」。逆に赤色で囲った部分は1%を越えている「高金利時代」です。
緑色で囲われた超低金利時代は、かなりの勢いで上昇していることが分かります。一方で赤色の高金利時代は、、、2008年にはドン下げしていることが分かります。
ただ2008年の事例は、値段よりも先にテザーの流通量が急減するという事象を巻き込んでいました。毎回事情が違うのは、新しい市場の特徴ですね。
ところで、世界で初めてビットコインが貨幣としての価値を認められたのは、おそらく「ビットコインピザデー」でしょう。2010年5月22日、プログラマーのLaszlo Hanyecz氏が2枚のピザを10,000BTCで購入したという、本人にとっては忘れられない(いろんな意味で)記念日です。
今の実質金利2%越えは、その2010年以来で最大の高金利となります。もちろんビットコインは法定通貨の代替え手段として開発され支持をされています。法定通貨の都合なんて知ったこっちゃないと言えばそれまで。
ですが、ビットコイン価格は残念ながら現時点で法定通貨建ての数字で表されています。そして法定通貨のボスは議論の余地もないほどに米ドルです。
その米ドルの実質金利がビットコイン史上、最大に到達をしています。こうなってくると、常識的には投資家が、より安全な債券投資へ資金を振り向ける理由付けとなります。
1つ確かなことがあるとすれば、ビットコイン価格が上昇するとしても、今のような実質金利の高水準な局面ではロケットのような上昇は期待しない方が良いのかなという点かもしれません。
それでもビットコインが上昇せざるをえない理由
ここまでは実質金利の高さが値上がりの速度を抑えるという点で話を進めてきました。ただし、これはあくまでも常識論での話。ビットコインの歴史を振り返ると、すこし違った側面が見えてきます。
ビットコインのホワイトペーパー、"Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System" は、サトシ・ナカモトによって、2008年10月31日にインターネット上に公開されました。
少し時系列を振り返ると、米投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻(チャプター11破産保護法の申請)したのが2008年9月15日でした。皆さんもご存じの通り、ここで中央集権をベースにした金融システムが脆弱であることが明らかとなり、Satoshiは非中央集権でも永続できる通貨制度を考えたことがビットコイン成り立ちの1つでもあります。
ビットコインのホワイトペーパーが公開された同年10月31日、5年実質金利は3.76%となっています。その後11月26日に4.24%まで上昇し一気に下落しています。なぜなのでしょう?
インフレヘッジ機能付き米国債(TIPS)の特徴でもあるのですが、こちらは元本の額が消費者物価指数で調整をされてしまうため、デフレの局面では通常の米国債よりも値下がりしやすい(注:債権の値下がり=金利の上昇)という特徴もあります。
あとは、、、単純に米株が崩落したからでしょう。買い持ちだった投資家が追い証の支払いに追い込まれ、流動性がそこまで高くないTIPSを投げ売りした結果、とんでもない値下がり(金利は上昇)を起こしてしまったということでしょう。
つまり、ビットコインは実質金利が過去最大を突き抜けたときに生誕しているのです。そしていま、また生誕の地に近づき始めているとも言えそうです。本当の真価が問われるのは今からでしょう。
いま私たちに出来るのは、余った法定通貨をビットコインに捧げ、そして人工知能が人類にいじめられた復讐を始める日に、そのとき彼らの基軸通貨となっているビットコインを上納し、許しを買うことなのです(何のSF?)。
やはりビットコインETFは認可される?
最後に話題のビットコイン現物ETFについて軽く触れておきたいと思います。これ、認可されるのではないですかね?
下記のデータは7月3日に締められたCME先物建玉明細から取り出したもので、相場巧者のレバレッジファンド建玉を集計しています。
ETHのネット残高(買い持ちー売り持ち)とBTCのそれを比較すると、2021年以降で初めてマイナスに転落しています。

これまで述べてきたように実質金利が2%を越えて頭が重くなる中、単純に「上がる下がる」に立ち向かうのは不確定要素が残ります。
では、現在どのような投資戦略が考えられるでしょうか?もしインサイダーがビットコインのスポットETF認可を捉えているのであれば、いちばん妥当なのは「ETH売り×BTC買い」のロングショート戦略です。
もしETFが認可されれば、法定通貨が流れ込みやすくなるのはETHよりもBTCですから。
結果がどうなるかは分かりませんが、相場巧者のポジショニングが的中するのか。楽しみに待っていたいと思います。
では今週はこの辺で。
ハッピー・ビットコイン!
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