中東情勢が緊迫する一方のいま、進撃の巨人がアニメ最終回を迎えました。最後のエピローグ動画はもちろん突き刺さるのですが、今だからでしょうか、「あの壁」がガザ地区を囲む包囲防壁に重なって見えて仕方ありませんでした。

安易な発言が許されるトピックではありませんが、日本に生きる一人の者として申し上げたいのは、多少窮屈でも安全で清潔なこの国で、頭が良く優しい人々に囲まれて生まれ育ったことが、どれほど幸運だったかということです。

ところで先週は、“アルゼンチンから始まるビットコイン国家”の記事をお送りしたばかりですが、本日のNewsWeek日本版でもビットコイン推しのミレイ下院議員に関しての記事が出ていました。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/11/post-102982.php

アルゼンチンの大統領決選投票(2023年11月19日)では、高インフレの責任者であるマッサ経済相が首位にたっていること、ビットコイン推しの極右ミレイ氏は8月予備選の終盤に「ペソの価値はクソ以下」と発言し、フランシスコ教皇が警告したことで支持率を落としたこと。有権者はマッサ氏という「既知の悪者」を選んだものの、決選投票は依然流動的であることなど書かれています。

 また見た景色かという感じですが、通貨の発行権を握った為政者は、その権利に手をつけずにいられないものです。腹が減ったときに目の前にカロリーガン積みの肉醤油丼とか出されたら、体に悪いことなど100も承知で食べずにはいられなくなるものです。

以下は日本の事例です。

歴史をふりかえると、いつも良貨は悪貨に駆逐され、通貨の価値が下がり、物の値段が上がり、それらのしわ寄せは金貨と縁がない市井の人々にふりかかります。

アルゼンチンの次期大統領がどうなるかはわかりません。ですが高インフレ率を誇る国はアルゼンチンだけではありません。トルコ・スリランカ・イラン・ベネズエラなどはインフレ率が50%を越えています。

いずれ、ビットコイン推しの候補が代表として選ばれる国も出てくることになるでしょう。一度始まった変化は止まりませんね。

 

有効総数が減るビットコイン

さてビットコインはマイニング活動により、一定数のコインが新規に市場へ供給をされます。2023年11月6日現在は、およそ10分間に6.25BTCが新規に市場へと流れ込んでいます。ざっくり数字だけ確認しておきましょう。

○ これまで採掘されたBTCの合計              19,534,262.5

○ 発行済みビットコインの割合                    93.020%

○ 1 日あたりの新しいビットコイン               900 BTC

○ 1年間あたり                                           328,500 BTC

https://buybitcoinworldwide.com/how-many-bitcoins-are-there/

2023年現在、年間で33万ほど採掘されるビットコインは、採掘を生業とする会社や個人によって市場で売却されます。そして電気代や採掘機の減価償却費に充てられるため、一方的な売り圧力になるわけですね。

では発行総数に対して、どの程度のインパクトがあるかというと、ざっくり以下のようになります。

328,500BTC(年間の採掘数)÷19,534,262(発行済み総コイン)=1.68%

毎年、1.68%は価値が薄まる通貨だということですね。

ところが、ビットコインには永久消失されたコインがあります。

たとえばプライベートキーを記録していたハードディスクを捨ててしまったり、有人から受け取ったコインの保存先が分からなくなったり、保有者が死亡して誰もアクセス出来なくなったりするのです。

要するに、何らかの理由でビットコインの供給量が永久に減少することは意外と頻繁に起きており、無くした人には申し訳ないですが、価格にはプラスの影響があるとされています。

これが中央集権なコインであれば、発行元に紛失の申請を行い、コインのIDが確認できれば紛失分を無効化し、新規のコインを発行して救出も可能です。

ですがビットコインだと、無くしたコインは誰も永久にアクセス出来ないのです。

ではビットコインの総数に対して、どの程度が永久喪失されているかですね。諸説ありますが、おおむね発行総数の15%~25%にあたるという主張が多いです。

There Will Never Be More Than 14 Million Bitcoins (14 Million を越えるビットコインは存在しない)

上は2020年にCANE ISLAND社が公表したレポートへのリンクです。以下ポイントだけ列挙しておきます。

○ ビットコインの失われる割合は毎年4%程度と推定される

流通可能なビットコインの最大発行数は1400万で、2020年4月にこの上限に達した

○ 2020年の半減期以降は、失われるビットコインの量が新たに採掘される量を上回る

 以下グラフの灰色線はビットコインがこれまで採掘された総数。青色の線は、永久喪失されたコインを除いた有効コイン数です。見事に減少していますね。

なお、2023年11月6日現在、CryptoQuant社が集計している現物取引所の預かりビットコイン総数は、736,000 BTCとなっています。

https://cryptoquant.com/asset/btc/chart/exchange-flows/exchange-reserve

考えたところで仕方ないのですが、仮に発行されている米ドルが取引所のビットコインを全部買いに来たらどうなるでしょう?あり得ない話ですが、一応数字だけ見ておきましょう。

○ 米ドル発行総数(M2):              20,705,100 Million USD

○ 供給可能ビットコイン数:          0.736 Million BTC

1BTCあたり:                           $28,131,929

USDJPY150円で換算したら、42億円でした。

増刷が歴史的な必然である法定通貨と事実上のバーンが進むビットコイン、価値が積まれるのは、どちらなのでしょう?

今週はこの辺で。引き続き、ハッピー・ビットコイン!

ココスタ

佐々木徹