【質問回答】ライトニングの否定的な意見についてどう思いますか?
今回は、匿名質問コーナーより頂いた質問へまとめて回答します。他にもいくつか質問をいただいていますが、後日随時回答していきます。
匿名質問コーナーについて
質問
John Carvalhoのツイートに関しての質問です。
https://x.com/BitcoinErrorLog/status/1724786515740672058?s=20
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Spam is spam no matter how much you want Lightning to be the next web (it isn't).
Lightning for chat = dumb
Lightning for ads = easy to stop, eventually too expensive anyway
Lightning for routing other assets than Bitcoin = unsustainable
Lightning for complex multipath routing = academic obsession no one actually needs
Lightning for auth/anti-spam = dumb
Lightning routing for passive income = a lie
Lightning is cool, but only if your goal is high-frequency transacting and instant (probable) settlement. Everything else is an idiot test.
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昨今様々なチャレンジが行われているLightning Networkのユースケースについて否定的な意見ですが、この意見の背景には、使用例におけるルーティングノードやチャネルマネジメントのインセンティブが不足、釣り合わないという考えがあるのでしょうか。
そのような前提の場合、楽観的な意見かもしれませんが、不採算な少額低頻度送金もボランティア的なノード運用者が一定多数いることでカバーされるのでは(それは運用不可も高くないのでは)と個人的には思っております。昨今ネットワークのクローズ化も現れてきていますが…
ご見解賜れますと幸いです。
回答
まずこの発言はこちらのJohnさん個人の一意見なので、当然別に必ずしも正しいと考える必要はないです。しかもこの人は割となんでも否定的な意見を持つことが多い人で自分個人としても同意しない発言をすることも多いですし、普通に間違っていることも少なからずあるという認識です。とはいえ、彼のチームはライトニングネットワーク上で最大級のBitfinexのノードの運用などをしていることもあり、ルーティングなどに関してもかなり詳しいですし、他の人たちが持っていない経験や知見を持っているのも間違いではないでしょう。その前提で彼のこの意見についてもう少し細かくコメントしてみると。
Spam is spam no matter how much you want Lightning to be the next web (it isn't).
ライトニング自体が次世代のWebになる、という考えは自分もそこまでLNが万能なプロトコルだと思わないので、これは基本的には同意。実際にはLNとNostr,もしくは今は存在していない新しいプロトコルなどが組み合わさって行くことで、いわゆる分散Webが実現していくと認識しています。
Lightning for chat = dumb
これはそこまで強い意見はないですが、LNノードをそのままチャットなどの機能拡張に使うアイディアはありましたが、アイディアは面白いですが多分こういうのはNostrなどのチャットにより適したプロトコルにLNを組み合わせる形になっていくと思うので、基本同意。
Lightning for ads = easy to stop, eventually too expensive anyway
これは最近話題になったSatogramsなどの多数のLightning Addressへ一斉に宣伝を送信するスキームについて言っていると思うのですが、その点では確かにあまり持続的ではないことに個人的にも同意。ただし、ライトニングと広告の組み合わせ方はSatogramのようなやり方以外にもいくらでも考えられるので、仮にLNと広告という組み合わせのユースケース自体を否定しているとしたら、自分はそれには同意しません。
Lightning for routing other assets than Bitcoin = unsustainable
これはTaproot AssetsやRGBなどで例えばステーブルコインを発行することについてでしょうね。このモデルが果たして本当にUnsustainableなのか自分も個人的にまだ将来的にどのような運用体制やTopologyになるか想像つかない部分もあるので明確な回答は出来ません。ただ、仮に彼の意見が「論理的には」正しかったとしてもそれと実際にLN上でアセットが発行され、持続的に運用されることは現実的にはありえる話なので今の時点で完全に否定しているのは間違っているというよりは、早計だとは思います。
Lightning for complex multipath routing = academic obsession no one actually needs
これは正直あまり細かく理解していないので自分も意見はないです。ただし、確かに複数Hopや複数Pathを使ったルーティングはかなり複雑になる傾向があり、アプリケーション設計などの視点からいうともう少しシンプルにまずは0ホップから設計したらいいのに、と思う時は自分も個人的にあります。
Lightning for auth/anti-spam = dumb
これも広告と一緒でやり方次第なので必ずしも同意しません。
Lightning routing for passive income = a lie
何もやらなくても受動的にルーティングでお金が手に入るように…というのは確かに今の時点でも難しいですし、そうなれば理想ですが将来的にも無理だろうという部分は同意です。マイニングみたいに次第に専業化、一部のプレイヤーが強くなる世界は避けられないかなと思います、残念ですが。
Lightning is cool, but only if your goal is high-frequency transacting and instant (probable) settlement. Everything else is an idiot test.
ライトニングは基本的にビットコインの高頻度、少額、即時決済をするプロトコルである、という点に関しては同意ですが、ただそれ以外の応用を試してその限界をプッシュすること自体には価値があると自分は考えているので、「それ以外をやろうとするのは馬鹿だ」という意見については全く同意しません。
というわけでそれぞれについてコメントしてみました。
最後に質問に一部直接回答しますと、
「楽観的な意見かもしれませんが、不採算な少額低頻度送金もボランティア的なノード運用者が一定多数いることでカバーされるのでは(それは運用不可も高くないのでは)と個人的には思っております。」
これについては自分もそう思いますし、採算を無視してルーティングをボランティア的に続ける人たちは将来的にも存在しますし、そういう人たちがいることで残っていくユースケースもあるとは思います。ビットコインやライトニングノードの運用はその他のオンチェーン負荷の高いノードと比べて比較的コストが高くないのも重要な側面でしょう。ただ長期で考えるとやはり経済インセンティブが不足している、もしくはうまく揃っていないユースケースはなんだかんだ長続きしない可能性が高いのと、そういう善意の心で動いているものは「ライトニングの主要なユースケース」にはなり得ない、というよりはそういう期待をすべきではない、ということだと思います。そこに関しては自分もJohnさんに同意です。
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