ベトナムのビットコインイベントで議論したこと
今日は1年ぶりくらいにEOSの最新の動向についての振り返り、考察するコラムを書こうと思っていました。が、調べ始めると想定以上に最近EOSの周りでゴダゴダ、ガバナンスや投票、セキュリティに関連して重大な問題が噴出していることがわかりました。 また、このケースはEOSだけではなく、Cosmosやその他のDPoS、PoS系のコインにも今後示唆が色々あると思うので、投票率やコイン保有の偏りなども含めて複数コインで少し深く掘って後日少し長めの研究レポートにすることにします。
というわけで今日のコラムは先日ベトナムのホーチミンシティのイベントに参加した時の発表内容や議論の小話などを一部フランクに紹介して代わりにします。
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今回自分が参加したのはビットコインサイゴンというベトナムのビットコインミートアップグループの5周年イベントです。イベント自体は30~35人くらいの小規模なものでしたが、自分含めて登壇者は中国、香港、タイ、オーストラリア、韓国など他の国で2012~14年くらいからコミュニティ活動をしていた人たちが中心で数百人規模のイベントよりむしろ全然身がありました…。
また、参加者にもGoogleの開発者でマイクハーンやLitecoinのチャーリー・リーと同じくらいのタイミングからGoogle社内でビットコインのプロジェクトを推進してた人がベトナムにたまたま遊びに来ていたらしく、ふらっと会に参加していたり何か異様に濃い、不思議なイベントでした。
以下はその中でいくつか出た話、議論です。なお、このイベントに参加している人は自分も含めかなりビットコインに寄っている人たちですので、個人的には論理的にも心情的にも同意の部分が多いですが、ある程度バイアスを差し引いて考えた方が良いかもしれません。
- エンタープライズブロックチェーンは無意味
さて、さっそく物議を醸す内容かもしれないですが、ビットコイン開発者や関係者は一様にエンタープライズブロックチェーンは否定することが多いです。
理由は人それぞれ違ったりしますが、エンタープライズブロックチェーンとかコンソーシアムチェーンの前提として、コンソーシアム内のプレイヤー間の協力や信頼が必要になります。
ここの協調や信頼を経済的インセンティブの追及で極小化したのがビットコインを始めとしたパブリックチェーンの意義で、プライベートやコンソーシアムはこの前提を置く限りそこに新規性や効率性はないし、もしコンソーシアムメンバーが信頼出来るならそもそもブロックチェーン以外の別の技術を使った方が同じ目標を効率よく達成できる、という話です。まあよく言われることですね。
少し面白いのは、こういう話をGoogleなどの企業の中で働いていた開発者も言っていたり、Google含めて企業はこの点をどうしても飲み込めない/理解出来ない、というような話をしていました。個人的にもコンソーシアム系チェーンには懐疑的な部分が多いですが、パブリックチェーンとの接続性やチェーン間の互換性が進化していけば、もしかしたら何かしら将来的に意味はあるかも(けどどうなんでしょう)くらいで見ています。 - Proof of Stakeは機能しない
さて、そしてさらに真っ向からPoSを否定していく感じで続いていきます笑
Proof of Stakeが機能しない、もしくは集権化していく、Proof of Workと結局似たような結果にしか至らない、という主張をする人は少なからずいます。Adam Backが今年4月にCointelegraph JapanのインタビューでPoSの問題についてコメントしていますが、要は「Proof of Stakeでも結局リワードを得る為に異なる組み合わせを試しまくるインセンティブがあり、結局PoWと同じような計算やWorkが必要になる」という指摘などです。
また、EOSのDPoSの今のところの失敗のケースを見ても、PoSコイン全般に当てはまりえる課題があると感じているので、EOSのレポートの時に事例からもう少し考えてみます。
https://jp.cointelegraph.com/news/the-farther-of-proof-of-work-adam-back-claims-proof-of-stake-is-not-working-and-even-if-it-works-it-is-not-desirable?fbclid=IwAR1SH_3NwJn2FC5zvl7wlBAUidwh8xghrRUMPywGMWIv8PmMYmvmR836KX0
3.オンチェーンガバナンスは不必要な複雑化で、結局ビットコインのガバナンスの改善になっていない
今回のイベントの発表でDecredの人がオンチェーンガバナンスの基本みたいな話をしていたのですが、ビットコイナー勢にボロクソに突っ込まれていました、若干不憫です笑
ここら辺も結局問題の本質はエンタープライズチェーンやPoSの課題の部分に通じる部分があります。
今回の議論で問題になっていた論点は、オンチェーンで決まったことをオフチェーンで開発者やユーザーに強制するメカニズムはないし、もし仮に意見が真っ二つに分かれた場合、例えば49%側が51%側に従順に従う必要性はなく、ハードフォークして51%側のコインをブラックリストしてしまえばいいかもしれないですし、オンチェーン投票の決定をネットワーク全体に強制させることは出来ない。結局はそれならProof of WorkとノードによるValidationの仕組みでもし意見の相違などがあれば最悪分岐して出て行ける、ビットコインの仕組みと何ら変わらないのではないか、単純に投票などの仕組みで状況を複雑化しているだけではないのか、という指摘などが出ていました。自分も概ね同意です。(Decredはこの問題に対して真摯に取り組んでいる印象なので、むしろ嫌いではないのですが)
4.ベトナムはウェブアクセスは多くポテンシャルはあるが、市場として未成熟
一応ベトナムの仮想通貨市場についても少し調査しました。Dataliteの調査によればベトナムは取引所へのウェブアクセス数では8位と結構健闘しています。ちなみに日本はアメリカに次ぐ2位です(ただし中国を入れたら実際3位でしょう)(添付画像参照)
日本のように街の中に広告などはないですが、インターネット上の口コミなどで認知はかなりあるようです。なので、保有人口はそこそこあるので、もしかしたら市場参入やビジネス機会あるのでは?と少し期待していたのですが、どうやら数は多いですが、大部分の人はシンプルに投機で儲けられればなんでもいいので、特定のコインやウォレット、プロジェクトへのこだわりもないですし、スキャムとかそういう概念はほぼなく、ビットコインでもワンコインでもとりあえず儲かればいいプロジェクト、損したらスキャム、とかそういう感じのようです苦笑
まあベトナムぽいと言えばベトナムぽいですが、色々話を総合していても中々こういう環境で健全なユーザーコミュニティを作ったりブランドを築くのは結構しんどそうだと思いました。(ちなみに今回のイベントも現地のベトナムの人はほとんど来てませんでした)
ちなみにコミュニケーションチャネルはFacebookとTelegramが多いらしいです。
5.Liquid(Quonine)はベトナムで100人規模でスタッフがいるらしい
同時にベトナムには若い開発者が大量にいて、クリプト関係の開発などもベトナムを拠点にしているプロジェクトも実はあります。個人レベルで見ると特にクリプトにそこまでパッションや関心はない人がほとんどのようですが、普通に日銭を稼ぐ仕事としてICOプロジェクトの開発などもベトナムに結構流れている、という話は前から聞いたことがあります。日本のLiquid(旧Quoine)取引所でもホーチミンシティーに大きなオフィスがあるようで、開発者、デザイナー、サポートなどで100人規模が働いているそうです。全然知らなかったです。
というわけでビットコイン関連のイベントに出ると一般的なブロックチェーン界隈の方向性やトレンドとは真っ向で反対のことが議論されていたりしますね。ポジトークだ、みたいな見方も出来るかもしれないですが、2012~2013年以前からビットコインの開発などに携わっている人たちはやはり技術的理解や先見の明がある人も多く、参考になる部分も大いにあると思います。というか自分は全体的にほぼ同意なんですよね…。
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