ビットコイナーが注目するNostr:その魅力や仕組み、課題について
こちらの記事は、下記の動画を元に書き起こした内容になっています。
Nostrの仕組み:リレーとクライアントが作る、新たなコミュニケーション空間
東:次は、Nostrについてですね。日本でも、そして世界的にも使っている人が結構いて、市場としても大きいですよね。
特徴としては、ビットコインユーザーが使っているというよりは、分散アイデンティティや分散ソーシャルメディアに興味がある人が活発に使っている、という点が挙げられますね。
Nostrについて、ざっくりと教えていただけますか?
加藤:Nostrは基本的に、クライアントとリレーという二つの役割を担う参加者がいます。リレーは単純なサーバーで、同じリレーに接続しているクライアント同士は、互いにメッセージを投げ合うことができます。つまり、リレーと接続しているクライアント同士でチャットルームのような状態になるわけです。
そして、Nostrでは、誰でもリレーを建てることができます。たくさんのリレーがあり、好きなだけの数のリレーに接続することができます。したがって、一つのリレーがダウンしてしまっても、他のリレーを通じて今まで通り使用を続けられるという、頑丈なアーキテクチャになっています。
東:なるほど。
加藤:例えば、他のプラットフォームであるMastodonと比べると、Nostrは非常にシンプルな設計になっています。Mastodonでは、サーバー間の連携やP2P通信など、複雑なプロトコルが必要ですが、Nostrではクライアントが好きなだけの数のリレーにメッセージを投げ、他の人のメッセージを受け取るという、シンプルなプロトコルを使用します。開発者が参加しやすく、人気が高まっているのもそのためだと思います。
ビットコイナーが好むのはなぜ?Nostrの検閲耐性について
東:Mastodonの場合、一つのサーバーに登録し、そのサーバーの管理者によってbanされると、自分がそのサーバー上で投稿していた内容が全て消える、という話を聞いたことがあります。それに対して、Nostrはどうなのでしょうか?
加藤:Nostrの場合、クライアントが情報を保持しているか、または複数のリレーに情報が分散されているため、後から自分で復元できます。つまり、一つのサーバーへの依存度が低いという特性があります。
東:そうなんですね。大体、TwitterやFacebookで問題が起こると、みんながMastodonに移るという動きが見られますよね。
加藤:そうですね。ビットコインユーザーも何度かMastodonに移ったりしています。ただ、ビットコインユーザーはbanされやすい傾向にありますね。そこで皮肉なことに、TwitterよりもMastodonの方が検閲が厳しくなってしまうことがあります。
東:それならば、Nostrの方が検閲は困難になるということですね?
加藤:はい、そうですね。
東:そこが結構今ウケている要因の1つなのかもしれないですね。Mastodonは、一時期、界隈でも盛り上がりましたけど、もうほとんど誰も使ってないんじゃないですかね。
加藤:Nostrは今、色々な実験も含めて使っていますが、なんとなく、Nostrの方が自由というか、定着しそうな感じはしますね。
東:はい。Twitter創業者のジャックが、Nostrがとても好きで推してますよね。
Nostrを盛り上げている要因であるZapの仕組みとは?
東:他にNostrに関して知っておくべきことは何でしょう。ライトニングとの関係性は?
加藤:メッセージに対してZap(投げ銭)するみたいなのがNostrのリレー越しに発生しています。例えば、投稿に「いいね」するんじゃなくて、ライトニング支払いでお金を投げるとか、好きなクリエイターにお金を投げることが盛んに行われてます。
東:Zapの仕組みを、あんまり細かく理解してなくて、あれってどういう感じなんですか?
加藤:(通常のライトニングの場合)インボイスを作って、他の人がQRコードをスキャンして支払う、で、受け取りましたって感じになるんですけど、Nostr上のZapの場合は、Nostrのツイートみたいな形にインボイスを発行し、それを他の人が読み込んで、支払いをするみたいな感じです。
加藤:受け取る側がlnurlサーバーを運営してて、それにZapしたいんだけどっていうリクエストを送ると、実際に支払いが完了した時に、Zapされましたっていうのが、リレーに流れるっていう仕組みなんですよね。
加藤:ただ、偽装もできちゃう可能性があるんですよね。受け取ってないけど、受け取りましたって。lnurlサーバー側から言われたら、それを流すだけなので。
東:それ、誰かが試したら面白いですね。こういう課題もあるよねっていうのが、明確になるんで。
Zapが、Nostrが盛り上がっている理由の1つであり、その勢いを維持している原因ですね。「いいね」としてSatsを他の人に投げることができる体験は面白いと思っています。
分散型SNS以外のNostrのユースケースはあるのか?
東:Nostrは分散型のTwitterの代用というイメージが強いと思いますが、必ずしもTwitterの代替品とは限らないと思っています。もしかしたら、他の応用ユースケースがあるかもしれません。
具体的にどのようなユースケースがあると思いますか?または、加藤さんの視点から面白そうなユースケースは何ですか?
加藤:Nostrは、日本でも注目されているものの、まだユーザー数はそれほど多くないと思います。しかし、この技術は応用可能性が広く、私たちが今想像していない新しい面白いユースケースも出てくるのではないかと期待しています。
東:具体的にどんなユースケースが考えられますか?
加藤:例えば、NostrはTwitterのようにツイートする機能を持っていますが、これを他のプロトコルと組み合わせることも考えられます。具体的には、ミキシングと呼ばれる技術や、ペイジョインという支払い手と受け取り手のコインを混ぜてプライバシーを改善しようというようなものです。このようなプライバシー関連の技術を2人以上のユーザーが連携して利用するユースケースなどがあります。
東:それは汎用的な利用が可能なんですね。既存のウォレットなどに導入しやすそうです。
加藤:その通りです。複数のリレーを通じて分散化されたオーダーブックを生成することも可能です。このようなユースケースが応用されていることも確かにありました。Civkitというシステムですね。
東:そうですね。実際、リセントラライズドコマースに関心を持つ人が多いですし、さまざまなユースケースが提案されています。しかし、完全にプロダクトマーケットフィットしているユースケースはまだ少ないですね。
一方で、分散型SNSの勢いは維持されていますし、これからも続くでしょう。それとは別に、新しいユースケースがフィットするものが出てくると非常に面白いですね。それが実現すれば、Nostrもプロトコルとして生き残っていけると思います。
Nostrはスケールに難がある?Web5との親和性について
東:最後に、Nostrに関しては結構面白いと思いますし、ユースケースの話もしましたけど、課題や懸念すべき事項は何かありますかね。
加藤:1番の課題というのは、Nostrが分散性を獲得する方法ですね。Nostrは通信を大量にするというアプローチをしていて、通信経路が1個立たれても、他の経路があるから大丈夫という考え方のプロトコルです。
つまり、大量の通信が行われます。例えば、1000万人が接続するリレーを想像したら、1000万人分の発言が1000万人に転送されるという、非常に凄まじい状態になります。そのためにリソースが大量に必要となり、スケーリングするときに垂直スケーリングが難しいという課題があります。
Nostrのリレーは多くは無料で提供されていますが、有料化するところも出てきています。有料化した方がサービスの質を高めつつ、スパムを排除することもできます。
ただ、全員が同じリレーに集まり、他のリレーにお金を払うのはもったいないとなれば、Nostrである必要が減ってきます。大量のユーザーにどう適用していくかという部分も難しく、またtwitterのような広告ベースのモデルは使えません。
東:広告ベースのモデルが使えないというのは、ユーザー情報との関係からでしょうか。
加藤:そうです。ユーザー情報が結びつかないため、twitterでさえ広告でうまく行っていないのに、Nostrが広告でうまくいくのは厳しいと思います。だから、お金をどう捻出するかという問題があります。しかし、ジャック氏の「Web5」というものが出てきています。
東:Web5とは何ですか。
加藤:Web5はまだあまり出てこないプロダクトですが、極端な話をすれば、1人1リレー持つNostrのようなものです。例えば、私があなたをフォローしたかったら、あなたのリレーに接続する。あなたが私をフォローしたかったら、私のリレーに接続するという感じです。
読み込みオンリーのリレーですので、あなたが100万人のフォロワーを持っていても、あなたの発言だけが転送されます。その100万人の発言は転送されません。
東:なるほど。それは1ユーザー1ノードみたいな世界ですね。
加藤:そうです。これが実現できれば、Nostrもスケーリング可能で、かなり分散化されたSNSプラットフォームになる可能性があります。端末の性能もどんどん上がっているので、理論上は可能と思います。特にスマホはほとんど24時間オンラインですからね。
東:将来的には全然現実的ということですね。ありがとうございます。
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