引き続きDefiにどっぷりはまっています。先週の最大の話題といえば、なんといってもYamでしょう。

Defiプロダクトの頂点wとして突如出現して、わずか2日で終了しました。

これに参加してみましたので、記録を書いてみます。最後にYamからみえる裏のからくりなどふくめ、闇の部分の学びを4つ書いてます。

1日目 8月12日

突如、Yamというコインが発表されます。7日間のファーミングにより発行されて、そのコインの価格は1ドルに連動するというようなことがうたわれていました。注目されたのは、その仕組みで、AMPLというコインをすこし改良したものだったのです。AMPLは、FTXに上場するやいなや話題になり、独特のリベースの仕組みや、高いボラティリティから人気のコインとなりました。

これの二番煎じというか、それを極限にまでつきつめてみたといのがYamのしくみです。Yamの獲得方法も、めちゃくちゃ簡単でした。Defi史上でもっとも簡単なインターフェイスといっても過言ではないでしょう。

MKR, LEND, SNX, LINK, COMPなどの代表的なDefi銘柄のコインを、Yamのコントラクトに預けるだけで、Yamが配布されるという仕組みです。

当然ながら、それらのコインは預けただけで、Yamとしてそのあずかったコインをつかってなんの価値も生んでいるわけではありません。預けただけで、Yamがゼロから発行されるわけです。

そして、そのゼロから発行されたコインが、1ドルの価値をもつようになると「宣言」したわけですが、まさに錬金術であることが真になるのでしょうか。Yamには人が殺到しました。始まるやいなや、500億円を超える上記のコインが次々と預けられたのです。

しかし、Yamにはリスクがあります。コードの監査がされていません。悪意有るコードが含まれていたり、バグがあるとも限りません。

つまり、運営者がすべてのコインを抜き去ることも、ハッキングによってコインがすべて失われるという自体も想定されたわけで、

そこにいきなり500億円のコインが雪崩れ込むというのはDefiブームの狂気を象徴しています。

さて、そういうリスクも承知で、私も、このDefi史上頂点の実験に参画すべく資金を用意しました。1BTCです。

わたしはこの1BTCを、まずETHに変えました。そのETHを、uniswapで、wETHに変換します。wETHというのは、Wrapped ETHの略で、ERC20トークン化したETHです。(なんでそんなことをするのかというと、ERC20として共通の仕組みで扱えるようになる)。wETHを、Yamにデポジットします。

デポジットすると、毎ブロックごとにYamが増えていきます。

このとき、イーサリアムのGas代はYam効果で高騰していました。wETHにUniswapで変換するのに$6.5ドル。Yamにデポジットするのに、15.57ドル掛かりました。

2日目 8月12日

Yamはリベースの仕組みにバグがあったと報告します。このバグが修正されないと、一定のファーマーのコインだけが無限増殖?するようなのです。

そこで、このバグを治すために、コントラクトの再デプロイが必要でした。しかし、再デプロイには、Yamホルダーの投票による賛成多数が必要です。つまり、いわゆるガバナンスの仕組みですね。

運営は、投票をよびかけました。

しかし、投票は賛成の閾値にたっすることなく失敗しました。これで、コントラクトは修正が不可能になり、バグは永遠に放置されて、イーサリアム上で残り続けることとなりました。

Yamの熱狂はわずか2日目にして終わったのです。

Yamコインは、Uniswapで取引されており、一時は150ドルを超える価格がついたこともありました。次の日に、Yamの価格がゼロになったのは言うまでもありません。

私は、価格がまだ付いているうちに引き上げました。すべてのwETHとYamを引き出して、YamはUniswapで売れるうちに売りました

。引き出し手数料$32ドル。Gasは高騰したままです。

私のYamはUniswapで9ドルの価格がついていました。そこで売ったのですが、そのときのGas代が18ドルかかりました。差し引き9ドルの損になってしまうのですが、なぜか動揺しており、またYamをどうしても処分したくて、9ドル払ってまで売売ってしまったのです。

結局Yamを掘る実験は、成果ゼロでおわりました。

掛かったイーサリアムのガス代は、もろもろ入れて、83ドル程度。これにYamの売却9ドルがあるので、74ドルのマイナスです。

馬鹿ですねw

マイナーに74ドル献上して私の「芋掘り」遠足は終わりました。ただ、これは、こういう結果も想定して、人柱としてやってみたので、悪くはありません(こうしてレポートのネタになってますから)

教訓(Defiブームの闇)

この話からなんの教訓が得られるのかということですが、ハッキリ行ってあんまり教訓らしいものはありません。

単に行動としては馬鹿でしたというのでしかないのですが、いくつかの「学び」があったのも事実です

その1 Defi投機に対する需要が強く、まだ満たされるには程遠いこと

Yamが提供しているものは「投機」でしかありません。しかしそこに500億のカネがむらがっています。投機コインマネーは行き場所をさがしていますが、その場所はまだまだ提供がたりないのです。

ICOの時は無数といもいわれるICOが登場し何千億円ものカネがそこにながれました。無数のICOで投機需要に答えたのですが、DefiにかんしていえばICOほどプロジェクトは立ち上がっておらず、需要を満たすだけのプロダクトがないのです。だから、Yamのようなものですら、カネがあつまってくる。つまり、Yamが投機マネーのリトマス試験紙だとすると、マネーはまだまだ余っているとかんがえるしかありません。

YamがDefiブームの頂点で、コレで終わったと評価するひともいますが、私の視点はちがいます。Yamがでてくるほど、まだまだDefi需要は強く、満たされていない。というのが結論です。

その2 ガス代とICOブームとの違い

Yamにコインをあずけて引きだすだけで、74ドルのGasがかかりました。つまり資金が100ドルでDefiを行うと、ガスにほぼすべてが消えてしまい、元手はのこらないということになります。

数十ドル単位のトランザクションをポンポン承認できないと、Defiはつづけられません。完全に大口むけのゲームです。

ちょっと数万円でためしてみよう、ということが出来ないのです。

一方で、まとまった資金、数百万から数千万を投入するとなると、かなり研究して知識がないと怖くて突っ込めません。ということで、資金と知識の両方があるひとだけが大胆に振る舞える構図になっており、ICOブームのときとここが決定的に違うところです。

先の「需要」とつながりますが、極普通の数万円から取引しているプレイヤーがDefiにアクセスできるようになったときが、おそらくブームのピークです。取引所が擬似的にファーミングを代行したり、もしくは取引所のウォレットでこうした報酬がえられるようになってくるような仕組みが提供されると、おそらくそこがピークになるのではないかと考えています。

その3 Yam運営者は何をかんがえているのか?

Yamの運営者はかなりの人たちとおもいます。流行りの仕組みをすべて取り入れたプロジェクトを即時リリースするところとか、盛り上げ方もうまいです。

また、バグですが、これは意図的に挿入していて、わざと、盛り上がりを演出した可能性すらあります。

そして、Yamですが、Yamバージョン2.0として、次のプロジェクトも開発しているようです。そして、yamコインが、2.0のコインにそのままコンバートできる?ようなのです。

すべて筋書き通りなら、バグを仕込み、価値をゼロにして、その間に投げ売りのYamをあつめ、価値がゼロになったあともファーミングをつづけます。他の人は掘らないので、ごく少数のひとたちだけが、コインを独占して掘り続けることになります。そして、大口によってYamが分配されたあと、しれっとv2.0をたちあげて、そのコインに変換するということです。

私は運営者の巧妙なトークからして、こうした筋書きを最初から考えていた可能性もあると考えています。

ただしyam2.0に値段がつくかは疑問です。すでに、コントラクトをフォークしてバグを修正した、Hamやら、petetoやら、似たようなものが続々登場しており、それらすべてが価値があるようには到底思えません。

その4 ExitとしてのUniswapプール

Yamは7日間のあいだは、各種Defiコインを預けることでYamを掘ることができます。しかし、その後は、yam_yCRV_LPというトークンを預けた人にだけコインが発行されるようになります。

yam-y_curve_LPとはなんでしょうか?

これは、Uniswap上で、YAMと、yCRVというコインを交換する流動性を提供したひとに発行される預かり証です。yCRVというのがまたややこしいのですが、これはステーブルコインをCurve.fiに預けるともらえる預かり証です。

つまり、ひとことでいうと、YAMとステーブルコインの交換の市場をつくったひとに、追加のYAMを発行しますよ、ということです。YAMが売買できる場所を作ったひとに報酬としてYAMをあげる。

これはどういうことでしょうか。一見すると、よいインセンティブ設計のように見えます。しかしよく考えてみてください。何の価値の裏付けもないYAMに、価値をつけているのは市場で交換するひとたちです。

それに報酬を与えることによって、運営側は、YamのExit先を作っているわけです。UniswapでYAMの市場をつくってファーミングしているひとは、YAMを得てホクホクしているようで、じつは彼らが養分になっているというわけです。(大石)