2020年の仮想通貨やビットコインにとって大事なキーワード・テーマ
まず、ビットコインについて。
1つめは、なんといってもライトニングネットワークの完成だろう。開発当初に欠陥だといわれてきたことについては、ほとんどが解決してしまった。次にあげるような機能も今年には解決されることがほぼ確実であり、ライトニングへの仕組み的な批判は的外れになることが確認されるだろう。
- 複数のチャネルをつかった支払い(AMP)
- インボイスを使わない支払い
- 相手がオフライン時の支払い
一方で、まだまだライトニングの技術は理解されているとは言いがたく、すでに解決済みの論点にかんしてもいまだ疑問を呈しているひともすくなくない。今年は、こうした認識が変わっていき、取引所での採用ふくめての実用化がすすむことを期待したい。
なお、ライトニングの技術はさらに進歩しており、実装のスピードも早く、来年以降も進化が止まらないとみている。
2つめは、シュノア署名とTaprootだ。
以前からこの2つの機能の導入は議論されてきた。
すでにシュノア署名は標準化は終わっており、BCHでは先行してシュノア署名が稼働ずみだ。ビットコインへの導入に関してはさらに広い議論とコンセンサスづくりが必要となる。年内にコードのマージ、アクティベーションの日時などが決まることを期待したい。
この技術のメリットは多数あるが、理解しやすい利点を1つを述べると、シュノア署名とTaprootをつかったトランザクションはどれも同じように見える。普通の送金も、マルチシグも、ライトニングのチャネルの開閉も、もっと複雑なコントラクトも、同じようなフォーマットのトランザクションに見えて、区別がつかない。これはプライバシーの向上をもたらす。
過去の記事も参照してほしい。
ビットコイン以外では、インターオペラビリティ、クロスチェーンまわりの進展を引き続き注目していきたい。この話の前提として、イーサリアムの停滞と、代替のプラットフォームの流れをおさらいしておこう。
イーサリアムのPOS移行が少なくとも3年程度の長丁場であるという認識が固まりつつある。今年2月に予定されている第一弾のPOSの移行では、POSチェーン上でスマートコントラクトが実行できるわけはない。その後シャーディング、WASMの実装など、複数のハードルを経て、ようやくPOS版のイーサリアムが完成するというロードマップになっている。予定では3年程度だが、暗号通貨ではロードマップにどうりに開発が行われた事例は皆無だ。3年という言葉は、およそ倍の6年を暗に意味し、業界にもっとも精通するひとなら、永久に開発されないほうにベッドするだろう。
すでに1月のPOSの予定も夏に延期するという話もでているし、これが来年にさらに延期になっても私は驚かない。
こうした中で、イーサリアムに見切りをつけるプロジェクトもでて来た。具体的には、ゲームなどの高速トランザクションが必要とされ手数料も低く抑えたいプロジェクトはEOSなどのプラットフォームにすでに移動した。
もう少し骨太のプラットフォーム系は、Cosmosベースで独自のブロックチェーンを立ち上げてそちらに移行するトレンドが生まれた(Aragon)。
イーサリアムに残るのはステーブルコインやセキュリティトークンなど、セキュリティ第一というプロジェクトになる。
こうしたすみ分けが起こるだろう。
この3つのなかで、スケールするのは独自チェーン+相互運用での展開である。独自チェーンであれば、必要に応じて独自の設計やトークンポリシーを導入できるほか、Cosmos-SDKベースであれば開発のハードルが大きくさがる。イーサリアムのEVM互換のEthermintもすでに利用できるため、既存イーサリアム上のプロジェクトが引っ越しする土壌も整備された。
これらの独自チェーンがお互いにトークンの相互運用を行うことで、基本を分散しつつも、ゆるやかに提携していくブロックチェーンのインターネットが出来上がる。
そのためのIBC(インターブロックチェーンプロトコル)の開発が進んでいるが、これは夏ごろにはリリースされることを期待したい。IBCにより、パブリックチェーンだけではなく、Libraなどのプライベート・コンソーシアムチェーンも相互運用の対象になろう。IBCの目玉はバイナンスチェーンや、ステーブルコイン、Libraなどのコンソーシアム系のプロジェクトの参加になると予想する。
しかしながら、技術的な設計の試みとしての美しさや期待度は高いが、これが全てのソリューションになるとも思えない。この分野も進展はそれほど早くない。
年内の進展としては、
- IBCが稼働し、数個のチェーンが相互接続される
- Polkadotがリリースされる
この2つが当面のメルクマールになるだろう。
なお、Polkadotは、イーサリアムの共同創業者であるGavin Woodが率いるプロジェクトで、こちらもインターブロックチェーンといわれてきたが、アーキテクチャや志向をみるに、イーサリアムの再設計とみてよい。Gavinはイーサリアムは失敗だと考えており、もう一度あたらしくイーサリアムを設計するならどうすべきかをゼロから考えたところPolkadotの仕組みになったという。イーサリアム2.0の完成を待つことなく、これらの代替プラットフォームが本格的に利用できるようになるのが今年であると言える。
2020年の相場予想
結論をいうと、ひきつづき仮想通貨市場全体でみると(ビットコイン以外の)ダウントレンドは継続するだろう。
昨年のおさらいをしてみよう。昨年は明らかにビットコイン1強が認識された年であった。
アルトコインは低迷し、イーサリアムですら下値を切り下げつづけている。
昨年は、機関投資家が参加する年だといわれていた。Bakktなどの先物市場も整備されたものの、ETFはまだ上場されず、ほんとうに機関投資家が増えたのか?というのは今後の検証が必要である。
ただし、アルトコインの崩壊とビットコインの1強に、機関投資家が増えたことを読み取ることができる。つまり、仮想通貨は2018年、2019年と大きくダウントレンドであり、それが今も続いているという認識だが、機関投資家による買いの唯一の対象となったBTCだけが、その値段を維持できたという視点である。
つまり、機関投資家はたしかにやってきたのだ。ただしBTCだけに。
昨年はビットコインの先物やオプションなどの市場が整備され、流動性も大きく増えた。こうしたデリバティブ市場が存在し流動性があるのはBTCだけである。この市場環境が決定的に大きい。BTCだけが多様な運用ストラテジーやヘッジが可能だからである。これが出来なければ大きなお金は入ってこないし、逆にいうと、唯一BTCだけにお金が流入したのはこうした市場環境が整備されたからである。
では今年はアルトコインにもこうした市場環境が広がるかというと否定的だ。したがって機関投資家の買いがアルトコインにまで広がるとは思えない。イーサリアムですら、POS移行への不透明感からも買いの対象となるのは難しいだろう。
次に詳しくトレンドを見ていこう。
- ビットコイン
半減期までは7000ドル前後が続く。半減期の瞬間は、ブラックホールの事象の地平面を超えるときのように静かに何事もなかったようにすぎるだろう。
その後、年末にかけて、10000〜14000ドル程度。昨年の最高値14000ドルを超えられれば非常に良いとの印象。
根拠は過去のトレンド。半減期はそれほど上っておらず、その半年後から値を上げ始め、翌年がピークというのがつづいている。すでに昨年の14000ドルの相場が半減期の折り込み相場だった可能性も高い。
マイナーの損益分岐点は表向き7000-8000ドルといわれており、このラインをだらだらと持ち合いが続くとみている。ただし、本当の損益分岐ラインは、最新の機材を導入した中国マイナーにおいては3000-4000ドルであり、この一部のマイナーにおいては、現在の価格でも半減期を乗り切ることができる。これがすでに折り込み済みの根拠である。
シナリオどおりであれば、2021年から2022年にかけて上昇相場になる。ピークは予想が難しいが、この時期に4万〜6万ドルを達成することができれば中期として十分であろう。1BTC=4万ドル〜6万ドルというのは、アップルやマイクロソフトといった時価総額の最も大きいな会社と並ぶ時価総額になる。世界中の機関投資家が購入しても十分なだけの時価総額の大きさと流動性を保証することにになり、ここまでくれば、ビットコインの地位は十分安定したものとなろう。
長期的には、今後10年をかけて20万ドルというのが私の変わらない予想である。
- イーサリアム
引き続き低迷がつづくだろう。POSへの移行は更に遅れるかもしれない。すでに半年の延期の噂があるが、これが来年にずれ込んでもたいして驚かない。またPOSへの移行が価格面で上げ要因になるとは思えず、混乱をまねくだけだろう。なにしろETH2が出来てトークンが2つになるのだ。
イーサリアムの受け皿としては、Cosmos(ATOM)、Polkadot(DOT)が筆頭。EOSが次点。Polkadotは、ローンチが遅れており、夏以降にずれ込むだろう。
- BCH/BSV
BCHとBSVの半減期はビットコインよりも前に到来する。これで何が起こるかは、注目している。詳しくはレポート参照。
- ステーキング銘柄
ステーキングによる収益が注目をあつめるだろう。ステーキング銘柄*1という用語が定着するだろう。ユーザーにとっては、貸出よりも理解しやすくリスクが全く無い(ように見える)。すべての(素人)投資家の夢である「何もしなくてもお金がふえる」というのを体現している。(本当は単なる希釈化である)
また、取引所側の思惑とも一致する。新規顧客獲得のカンフル剤だからだ。
もう単にアルトコインを増やしてもユーザーは増えない。デリバティブ領域は競争も激しい。そのなかで、ステーキングの提供は数少ないユーザー獲得のための施策だ。
すでにバイナンスがレンディングよりもステーキングを押し出しているほか、コインベースも同様にステーキングのラインナップを増やすだろう。
日本の取引所においても、自由に取り扱いコインがふやせず、レバレッジ規制も2倍になりそうな中、ステーキングサービスの提供はユーザー獲得の頼みの綱になるかもしれない。
※1
技術や仕組み的な面白みはさておき、純粋に投資という観点からみたときには、特定アルトコイン銘柄への集中投資は博打であり、またアルトコインがBTCのパフォーマンスを超えるのは引き続き困難である。
当方がよく発言する特定ステーキング銘柄については次の点にご留意されたし。
- 当該銘柄はポートフォリオのオルタナティブとしてマイナー比率を保有しており、当方ですら集中投資は決して薦めない。当方のポートフォリオはBTCが殆どを占める
- 当該銘柄はICOやプライベートラウンドにて現在の市場価格より著しく低い値段で取得している。
ビットコイン以外で注目のコイン(リブラや中央銀行デジタル通貨など含む)とその理由
昨年の暗号通貨業界を「リブラで始まりリブラで終わった」と評しているひとが多い。私はリブラには無関心であり、割合どうでも良い。あまりに視点が違うので驚いている。
リブラは、「ビットコインは失敗で、教訓を活かしブロックチェーンこそが本丸のイノベーション」という恥ずかしい主張をくりかえす既存金融系のたわごとを延命させる効果はあった。その延命は今年も続くだろうが、最終的には別のネタを探し始めるしかメンツを保つ方法がなくなるだろう。
中央銀行デジタル通貨はすでに実現されている。日銀当座預金がそれである。よって国民が日銀に口座をもてるようにすればよい。つまり、デジタル否かではなく、中央銀行が民間銀行というクッションをおかずに、直接国民にサービスを提供するか否かというアジェンダである。もし一部行われるとしても、ブロックチェーン技術はつかわれないし、ブロックチェーンとかはどうでもよい話である。
2020年の仮想通貨以外の注目ポイント/技術/トピックは
みんなAIを上げているが、わたしはAIには詳しくない。
ここのところ数年は、基礎科学における驚くべき発見が相次いでいる。昨年はブラックホールの直接観測があり、その前は、ヒッグス粒子の発見や、重力波の検出などがある。
いずれも世紀の発見である。
数学においても、ここ十数年にわたり、フェルマーの予想、ポワンカレ予想、ケプラー予想、ABC予想(議論あり)など、数百年にわたる難問が解決されてきた。
こうした発見が今年もつづくことを期待してやまない。
近々解決されることを期待できる事象としては、原子重力波の検出と、それによるインフレーション理論の実証があり、楽しみである。また、ABC予想をめぐる議論(IUT理論の正当性)については早いこと決着をつけてほしい。
生きているうちにこの目でみたいものは次の3つ
- リーマン予想の解決
- 平行多宇宙の存在の痕跡
- 人口意識の創出
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