先週いちばん驚いたのはコインチェックのステーキングの開始です。

ステーキングサービスについては、業界内で法的な論点を頭出しして勉強している段階という認識だったので、いきなりコインチェックによって本サービスが提供開始されたのには正直びっくりしています。

取り扱いコインはLISKで正直微妙すぎですが、現在取り扱っているコインのなかから・・ということになると致し方がないとはいえます。

ステーキングは、レバレッジ2倍、新規コインも扱えない業界にとって新しい顧客を獲得する起爆剤になりそうです。

さて、私はステーキングについては好意的なことを書いてきました。

ただし、ステーキングやPOSというエコシステムの本質は何なのか?ということは理解しておいたほうが良いです。

ステーキングは、文字通り、なにもしないでコインが増えるので、まるで魔法のように見えます。

しかし、そんな馬鹿なはなしはなくて、コインは実際には増えているのではなく、希釈化しているだけなのです

ポイントは3つ

1. 新規のコインを得るのに追加的な費用がかからない(ノーリスク)

2. コインの経済が内部に閉じている

3. 得られるコインはあくまでそのコインである

POSと、PoWのマイニングを比較したときに、決定的に違うところです。

POSでは新規のコインを得るのに追加的なコストはかかりません。電気を消費することなく、文字通り無からコインが生じます。

PoWでは、マイニング機材に投資し、電気が消費されると共にビットコインが生まれます。そこにはひとつのエネルギーの保存則のようなものがあり、フリーランチではありません。PoWでは、新規コインの価値はそのコインの経済システムの「外部」からやってくるということになります。

一方で、PoSでは、コインの価値は内部から生じています。PoSでは、コインを手に入れるのに何らのリスクを追うこととなく、無からコインが生じます。

こういうと、PoSでもリスクがあるから無じゃないという反論が必ず有ります。

コインの価格の変動や、ロックしているあいだの機会費用などのリスクがあるというものです。

しかし、そのリスクはたんにコイン内でのリスクであって、外部経済とリンクいていません。単なる内部規定であって、そのリスク行為が外部からみて意味があることではないのです。

この違いについては直感的に理解できる人もいれば、いくら説明しても平行線のままのひともいますので、これ以上の説明はいたしません。この説明でわからなければ、一生わからないでしょう。

外部経済と内部経済

PoWもPoSも報酬はその新規コインの発行で支払われますが、発行されたコインの役割は真逆です。

PoWはでは、外部経済から価値が由来するので、新規発行により時価総額が増えて、コインが発行れるごとに価値が追加されていきます。

PoSでは、内部経済から無からコインができるので、新規発行が発行されるごとに希釈化がおこります。価値の総量は変わらず、1コインあたりの価値がその分減るはずです。

これは、株を理解している人なら、こう言い換えることができます。

・PoWは、第三者への増資による新規の株の発行。時価総額は増える。

・PoSは、株主への比例割当の新株発行や、株式分割。時価総額は増えず、株の単価がその分だけ下がる。

(実際には多少希釈化しても株価はそのままだったりするので、うまく誤魔化された結果、希釈化されず時価総額上昇してしまうという市場のミスがあります。ただし、それはトリックとして原理原則は別途踏まえてください。)

ということで、POSで金利が得られるというのは、実際には金利はえられておらず、単に希釈化されているだけということです。

ステーキング報酬は、実はペナルティである

希釈化については、騙しているプロジェクトもあれば、そうでないのもあります代表的なステーキング銘柄のCosomos(ATOM)の開発者は、正直にいっているタイプです。

「ステーキングの報酬は、報酬ではなく、ペナルティである」と言っていて、実際にその仕組みがプロトコルに実装されています。

どういうことでしょうか?CosmosなどのBFTコンセンサスでは66%のノードがステーキングに参加することがプロトコルのセキュリティ的に大きなな意味をもちます。

ですので、もし全体のステーキング率が66%を割っている場合、ステーキング報酬をプロトコルが自動的に「増やす」ことでペナルティが増大する仕組みになっています。

いいでしょうか?混乱しないようにしましょう。ステーキング報酬を増やすことがペナルティなのです。

たとえば報酬が年100%だったらわかりやすいはずです。翌年になったら、ステーキングしていたひとと、そうでない人とでは、コイン保有量が倍違ってくる。

だから、ステーキングしないと大損する。ということで、ステーキングさせるように仕向けるというしかけなのです。

これがPOS報酬の正しい理解です。

POS報酬は、報酬ではなく、ネットワークのセキュリティに参加しない人への、ペナルティなのです。

POSコインに価値はあるか?

POSを採用しているものには、すべて価値がない議論もたまにみかけますが、私はこれはコインの性質を分けて考えるべきとおもいます。

コンセンサスアルゴリズムの種類を問わず、そのコインに、ユーティリティや配当あれば、コインはその分の価値を持ちます。

ユーティリティとは、たとえば広告を見えなくするとか、ディスクスペースを買えるとか、通信がはやくなるとか、計算をしてもらえるとか、スマコン処理ができるとか、そういうのがユーティリティです。

配当とは、手数料などの配当です。(ステーキング報酬のことではないです)。

むしろそういうユーティリティや配当のあるコインにおいては、PoWは単なる余計な行為なので、POSのほうが親和性がありますし便利です。

一方PoSで無価値がなものもあります。

ユーティリティや配当がまったくなく、通貨としての利用を想定したPoSコインです。

これらは無から生じユーティリティがなく、無限に希釈化します。価値が全く無いのは自明です。

もうそういう通貨タイプのPOSコインは市場から淘汰済みですが、ステーキングブームに乗じて、高年利をうたう詐欺コインが再マーケティングされたり、新規製造されそうですから十分注意ください。

コインチェック、仮想通貨Liskの金利サービスを提供開始 〜10LSK以上保有者に毎週自動的にステーキング報酬を分配。ユーザー側は手続き不要
コインチェックは1月9日、仮想通貨Lisk(LSK)のステーキングサービスの提供を開始した。同サービスは実証実験の一貫として、β版という形で提供するという。同社が運営する仮想通貨交換所Coincheckにて、口座内に一定額以上のLSKを保有するという条件を満たすユーザーがサービスの対象となり、保有額に応じて定期的にLSKが付与される。