【2026年最新】OpenClaw × ビットコイン匿名セットアップ|No KYCでAIエージェントを動かす方法
本稿では、いま話題のOpenClawをLightningやCashuといった技術を用いて、できるだけ個人情報を晒さず(=No KYCに近い運用思想)セットアップする方法の一例をご紹介します。
KYC(本人確認)が当たり前になった今、No KYCという選択肢はプライバシー保護だけでなく、検閲耐性やAIエージェントのリスク分散という意味でも価値があります。この記事を読むことで、匿名性を意識したOpenClawのセットアップがわかります。
また、「OpenClawの立ち上げにはMac miniが必要なのでは」と思われがちですが、本稿で紹介する方法では専用のハードウェアは必要ありません。基本的には手元のPCだけでもセットアップ可能です。
二点注意事項があります。
①AIの進化が目まぐるしい現代において、情報の陳腐化は免れないと考えられます。情報の鮮度が長くなるようになるべく意識して書いておりますが、2026年2月末時点の情報であるという点にはご留意ください。
②本稿でのセットアップによる秘密鍵流出など、生じるいかなる責任も負いかねますので、自己責任にて行いますようよろしくお願いします。
まずはOpenClawの紹介とNo KYCの意義について説明します。
OpenClawとは:個人用AIエージェント
OpenClawとは、簡単に説明するとチャット(WhatsApp、Telegram、Discord、Signal、Slackなど)で指示することで実際に作業まで行ってくれる個人用のAIエージェントの事です。既存のAIは、チャットにただ答えるのに対して、OpenClawはメールの送信・カレンダー操作・Webチェック・各種自動化などの実行まで踏み込んでくれます。
大まかな歴史としては、「warelay」というWhatsAppからメッセージを送ったり、受け取って自動応答する個人用AIエージェントとは関係のないアプリから始まっています。
その後Clawdbot、Moltybotと改名しながら機能を追加していき、最終的にOpenClawという名前に改名されました。
OpenClawのGithubのStarsが244k超といま話題を呼んでいる理由については、以下の3つがあると私は考えます。
- 質問するAIから行動するAIへと体験の質が変わるプロダクトが、一般のユーザーにも触れることができる形として登場したこと
- 自由度が高くクラウドでもセルフホストでも動かせること
- 便利さとは逆の観点として、環境をいじれたり・資格情報を扱ったりするので、セキュリティリスクの観点で議論が起きやすいということ
本稿の趣旨とはズレますが、今すぐ簡単にOpenClawを触ってみたいという方には、「Clawi.ai」というサービスもありますのでぜひ触ってみてください。
No KYCとは何か、なぜ重要か
本稿のタイトルにもなっているNo KYCとは何かを手短に説明しておきます。No KYCとは、KYC(Know Your Customer=本人確認)をしない、つまり本人確認プロセスを要求しない設計・運用の事です。しかし、No KYC=何も情報は要らないではなく、アカウント識別子・行動ログ・技術情報・決済情報などはサービスにより集めることがあります。
本稿では、メールアドレスからのログインはほとんどなく、公開鍵認証もしくはアカウント不要で支払い方法はビットコインを用いた匿名寄りのものをNo KYCとして説明していきます。
OpenClawにおいてNo KYCとしたいモチベーションは、突き詰めるとプライバシーの確保と自己主権(自分の情報を自分で守る)にあります。
仮に、OpenClawのセキュリティ設定が不十分で情報漏洩が起きた場合を考えてみましょう。もしKYCが前提のサービスであれば、氏名・住所・顔写真・サブスク情報・メールアドレス・SNSアカウント・暗号資産関連の情報など、本人を特定できる情報がまとめて拡散されてしまう可能性があります。これは単にプライバシーが侵害されるだけでなく、なりすましや脅迫、詐欺など、犯罪に悪用されるリスクにも直結します。
また、大手企業のサービスがKYCを採用している場合、登録=本人特定が可能という状態になりやすく、利用履歴や行動データが本人と結びついた形で収集され得る点も見逃せません。
だからこそ、OpenClawをNo KYCでセットアップすることには意味があります。本人情報の露出を最小化し、漏洩時の被害を限定し、必要以上に誰かを信頼しなくても済む形(トラストレス)に近づけること。この発想がNo KYCの根底にある意識です。
プライバシーに関連して自己主権について深く知りたい方は、押川拓夢さんの以下の記事をご覧ください。

では、これからNo KYCでセットアップする方法を説明していきます。
OpenClaw × ビットコイン匿名セットアップ全体像
セットアップの全体像は以下の流れになります。
- VPSの立ち上げ(LNVPS)
- サインイン:Nostr
- 決済:Lightning
- VMの立ち上げ
- SSH接続をしてOpenClawを立ち上げる
- API Keyの取得(Routstr)
- 決済:Lightning/Cashu
- チャットアプリのセットアップ(筆者はSignal)
LNVPS:No KYCなVPSの立ち上げ
まずOpenClawを立ち上げる環境は、VPS(Virtual Private Server)上で行います。VPSとは1台の物理サーバーを仮想化技術で区切って、自分専用の小さいサーバーとして使えるサービスです。
ここでNo KYCなVPSの立ち上げをするために、LNVPSを使います。LNVPSは、Lightningを用いて支払いを行い、VPSを作成・更新できるサービスです。

Nostrを用いたサインイン
サイトを開くと以下の様な画面が存在しますので右上のサインインを押してください。

サインイン方法はNostrの公開鍵認証により行うことができます。
Nostrを初めて知った方に簡単に説明すると、分散型のSNSの事です。公開鍵と秘密鍵を用いた電子署名によりアカウントを使用することが可能なため、メールアドレスなどは不要です。アカウントがない場合は、Create Accountから作成してログインしてください、ちなみにNIP-07(ログイン拡張機能)にも対応しているので気になる方はやってみてください。
サインイン後はVM(Virtual Machine)を立ち上げる
サインインをしたら用途によりVPSの性能を選択して、Lightningにて購入を行います。

OpenClawを動かすための最小性能としてはSmallを選んでおけば問題ないです。また、カスタムで緑点をドラッグして選択することも可能なので用途に合わせて選んでください。
Lightningにて支払いを行うとGUIにてVM(Virtual Machine)を起動させることができるので、SSH接続を行い、OpenClawを立ち上げることができます。
またさらにプライバシーを追求したい場合、SimpleLoginという一つのメールアドレスから複数の匿名アドレスを作成することができるサービスもおすすめです。
Routstr:LightningやCashuトークンで使うNo KYC AI推論
OpenClawにおいてAI推論を行うためには、通常OpenAIやAnthoropicのAPIが必要になり、このとき個人情報やクレジットカードの登録を行ってAPI Keyを取得する必要があります。しかし、このAI推論のAPIもNo KYCでの取得が可能であり、以下のRoutstrというサービスを用いることで達成できます。

Routstrは、AI推論のための分散型プロトコルであり、AI推論の計算リソースを売りたい人(プロバイダ)と使いたい人(クライアント)がオープンに取引できるマーケットを作る、という位置づけです。
RoutstrでのCashuの役割
Routstrの支払いには、Lightning決済やビットコインのCashu(ecash)を用いて行います。Cashuの仕組みに関しては結構難しいので、ここでは細かい説明は避けてイメージだけお伝えします。
Lightningで支払いをする場合、基本的には支払うたびにインボイス(請求書)を発行して決済する必要があり、これが意外と手間になります。さらに、Lightningでの支払いにおいてよりプライバシーに配慮された方法が選べるなら、そちらを使いたいと感じる方も多いはずです。
そこで登場するのがCashuです。Cashuは、言ってしまえばプリペイド式のテレフォンカードのようなものです。あらかじめsatsをチャージしたトークンを用意しておき、LLMの利用料金に応じて従量課金で残高が引き落とされる形で使えます。
より詳しくCashuについて知りたい方は、加藤規新さんのこちらの記事をご覧ください。
LNVPS上でRoutstrを利用する方法

上記の画像は、Routstr公式のLNVPSを用いるときの説明の抜粋です。LNVPS上でRoutstrをセットアップする方法は、以下のコマンドを実行します。(最新のコマンドは公式をご確認ください)
$ curl -L <https://routstr.com/lnvps-routstr-openclaw.sh> -o routstr-setup.sh
$ chmod +x routstr-setup.sh
$ ./routstr-setup.sh
コマンドを実行すると自動でセットアップが進み、途中チャージするsats数を選択することで、QRコードが生成されます。読み込んでLightningで支払うと自動的にCashuトークンが生成され、AI推論を使用することが可能になります。
詳しいセットアップ方法はこちらのサイトをご参考ください。
自分でCashuトークンを生成したい場合、Cashu+LightningウォレットであるMinibitsというアプリがおすすめです。
筆者はSignalを用いてセットアップ
OpenClawでは、以下のスクリーンショットの様に途中でどの接続方式を使用するかを尋ねられます。

様々な選択肢がありますが、筆者はSignalを用いてセットアップをしました。Signalはアカウントの作成や連絡先の同期に電話番号を用いますが、メッセージは暗号化されて通信され、メタデータ最小化を意識しているなど、匿名性の高いアプリであることが言えます。
ビットコイン研究所では、加藤規新さんのSignalについての過去記事がございますので、合わせてご覧ください。
まとめ
本稿では、OpenClawをNo KYCで動かすための一連のセットアップ方法を紹介しました。
まず、OpenClaw自体はチャットアプリから指示を送るだけでメール送信・カレンダー操作・Web確認など実際の作業まで実行してくれる個人用AIエージェントです。クラウドでもセルフホストでも動かせる自由度の高さが支持を集めています。
その上でNo KYCセットアップの要点は3点に集約されます。
VPS環境の確保には、Lightningによるビットコイン決済とNostrの公開鍵認証でサインインできるLNVPSを使用します。メールアドレスもクレジットカードも不要で、月数千円程度からサーバーを立ち上げることができます。
AI推論のNo KYC化には、Routstrを活用します。通常必要なOpenAIやAnthropicのAPIキー(クレジットカード登録が前提)の代わりに、CashuトークンをRoutstrに貼り付けるだけで推論を利用できます。Cashuはプリペイド式のトークンで、Minibitsなどのウォレットを使えば手軽にLightningでチャージが可能です。
チャットアプリの選択では、メッセージの暗号化とメタデータ最小化に配慮したSignalを採用しました。WhatsApp・Telegram・Discordなど複数の選択肢がある中で、プライバシーを重視するならSignalが現実的な選択肢です。
こうした組み合わせにより、個人情報の露出を最小限に抑えながらAIエージェントを運用できる環境が整います。情報漏洩時のリスク低減・行動ログの本人との分離・第三者への信頼を排除するトラストレスな設計がNo KYCでOpenClawを動かす最大の意義です。
なお本稿の情報は2026年2月末時点のものであり、各サービスの仕様変更が生じる可能性があります。実際のセットアップは公式ドキュメントを参照しながら自己責任で行ってください。
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