Steak 'n Shakeのビットコイン戦略|ビットコイン決済導入から財務活用まで
「Steak 'n Shake」は1934年創業の米国発ファストフード/カジュアルレストランチェーンです。ステーキバーガーとミルクシェイクを看板商品とし、長年にわたり全米で展開してきました。
Steak 'n Shakeは、2025年5月に全米約400店舗でビットコイン決済(Lightning Network)を導入しました。さらに、受け取ったビットコインを企業財務へ組み込み、従業員へのビットコインボーナス制度まで発表するなど、単なる決済対応を超えた動きを見せています。
また、単にビットコインを取り入れただけではなく、売上や新規顧客流入にもつながっており、Steak 'n Shakeの経営戦略とビットコインは密接に関わっていると考えられます。
本記事では、Steak 'n Shakeがビットコイン企業になるまでの経緯を振り返り、企業におけるビットコインの役割について考察します。
ビットコイン決済やビットコイントレジャリーなど、ビットコインを事業に組み込んでいる企業、または検討している企業において、Steak 'n Shakeの戦略は1つの模範的な実例になると考えられます。
経営危機からの転換:ビットコイン導入の背景

Steak 'n Shakeがビットコインを取り入れた背景には、経営環境の変化があります。
同社は2018年に628店舗まで拡大しましたが、その時期をピークに店舗数は減少しました。2026年2月時点では426店舗まで縮小しています。
コロナ禍による収益低下に加え、同社は伝統的なダイナー型のテーブルサービスを採用しており、オペレーションコストが重い構造でした。
加えて、クレジットカード手数料は外食産業にとって無視できないコストです。売上に対して数%の決済手数料がかかる構造は、利益率の低いビジネスモデルにとって大きな負担となります。
こうした状況下で、Steak 'n Shakeはブランドの再構築と収益改善の両立を模索していました。
決済面の改善策として導入されたのが、セルフサービス型キオスクとビットコイン決済でした。
2025年5月:全米約400店舗でビットコイン決済を導入
2025年5月、Steak 'n Shakeは全米約400店舗でビットコイン決済を開始しました。Lightning Networkを活用し、店内キオスクなどを通じて即時決済を可能にしました。
重要なのは、実験的に一部店舗で試すのではなく、全店舗同時に導入したという点です。
当初私は、ビットコイン決済の導入についてPR施策の一環と見ていました。
しかし、全店導入という意思決定は、単なる話題づくりではなく、経営レベルでの判断だったと考えられます。
ちなみに、ビットコイン決済の導入初日のインパクトは大きく、Steak 'n Shakeのビットコイン決済の取引が、ビットコイントランザクション件数全体の約0.2%を占めたと言われています。(参考)
ビットコイン決済導入後、売上15%増加と手数料削減を実現

ビットコイン決済の導入後、Steak 'n Shakeは約15%もの売上増加を公表しています。他の北米主要ファストフード店と比較しても、勢いのある成長率となっています。
ビットコイン決済の導入は、新規顧客の流入や、ブランド認知の向上が寄与したと考えられます。
また、Lightning Networkを利用することで、クレジットカード決済と比較して手数料負担を大幅に削減できたとも報じられています。
実際に、同社のCOOダン・エドワーズ氏はBitcoin 2025のカンファレンスにて、下記のように述べています。(参考)
顧客がクレジットカードではなくビットコインで支払うと、我々の 処理手数料を約50%削減できている
仮に決済コストが半減すれば、特に外食産業においては無視できないインパクトです。
さらに、いわゆる「ビットコイン・ステーキバーガー」などのプロモーション施策も行われ、ビットコインコミュニティとの結びつきを強めました。

同社はビットコイン決済を導入することにより、次のような複数の効果を同時に生みました。
- マーケティング効果
- コスト削減
- 新規顧客獲得
ビットコイン決済は単なる新しい決済手段ではなく、経営の改善につながる存在でもあると考えられます。
戦略的ビットコイン準備金:企業財務への組み込み
Steak 'n Shakeがさらに踏み込んでいるのは、決済で受け取ったビットコインを即座にドルへ換金しなかった点です。
同社は戦略的ビットコイン準備金を創設し、決済として受け取ったビットコインを企業財務に組み込みました。(参考)
さらに追加購入も行い、ビットコインを保有資産として明確に位置付けています。
Strategy社のようなビットコイントレジャリー企業との違いとして、Steak 'n Shakeは先にビットコイン決済を導入しているため、自費で購入せずとも売上に伴ってビットコインが蓄積されていきます。
また、売上のビットコインをドルに換金しないことにより、換金手数料も削減することができます。
外食チェーンがここまで踏み込むのは異例であり、ビットコイン専門企業での採用とは異なる重みがあります。
従業員へのビットコインボーナス制度:企業内経済圏の構築
さらなる施策として、従業員へのビットコインボーナス制度が開始されました。(参考)
時間給あたり0.21ドル相当のビットコインを付与し、2年間のベスティング期間を設ける制度が発表されました。
単なる福利厚生ではなく、下記のような効果もあると考えられます。
- 従業員の長期定着
- 価値保存手段としてのビットコイン活用
- 社内経済圏への統合
ビットコインを決済として受け入れ、準備金としてビットコインを蓄積するだけでは、企業財務としてビットコインが滞留するのみとなってしまいます。
従業員へのビットコインボーナスによって、企業内でビットコインが循環する構造が生まれます。
Steak 'n Shakeが証明したビットコインの企業活用モデル
Steak 'n Shakeの事例が示しているのは、ビットコインの役割が「決済手段の1つ」や「トレジャリー用途」にとどまらないという点です。
同社はビットコインの事業導入によって下記の機能を得たと整理できます。
- 売上増加を生む可能性
- 決済コスト削減
- ブランディング効果
- 財務資産
- 人材定着施策
そして何より重要なのは、Steak 'n Shakeはビットコイン専門企業ではないという点です。
「ファストフードチェーンが合理的な経営判断としてビットコインを採用した」という事実は示唆に富むものと考えられます。
まとめ:Steak 'n Shakeはビットコイン統合企業へ
Steak 'n Shakeは、経営転換の一環としてビットコイン決済の導入を選択しました。決済導入はブランディングに寄与するとともに、クレジットカード等と比較した決済コストの削減など実利的な効果があります。
また、決済導入にとどまらず、企業財務への組み込みや、人材定着施策への利用など、ビットコインが企業経営全体に関わっています。ビットコインは単なる金融資産ではなく、事業活用が可能な企業資産であると整理できます。
ビットコインの企業経営の組み込み事例として、Steak 'n Shakeは今後も参照されていくでしょう。
ちなみに、当サイト「ビットコイン研究所」の運営である「日本ビットコイン産業株式会社」は、売上、支出、バランスシートともにビットコインが組み込まれている、日本においても稀有な企業であると自負しております。
ビットコイン決済のような実証実験的な取り組みから、企業経営としてのビットコインの組み込みまで、ご興味がありましたらぜひお気軽にお声がけください。
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