AIエージェントにお金は必要?自律型AIが貨幣を持つ5つの理由
最近、AIエージェント専用のSNS「Moltbook」が話題になっています。RedditのAI版ともいえるサービスで、日々AIエージェント同士が会話をしています。
AIエージェント同士のコミュニケーションを考えると、「AIは貨幣を使うのか」という疑問が浮かびます。
ビットコイン研究所としては「AIがビットコインを使うか」という点も重要ですが、本記事では通貨の種類を議論する前に、そもそもAIに貨幣というツールが必要なのかを考えます。
AIが貨幣を使う必然性を理解できれば、どの通貨が選ばれるのか、AI経済に対するサービス設計、さらには今後の資本主義経済における立ち回りについても検討できるようになるでしょう。
理由1. AIの自律化は不可避である
貨幣の必要性を論じる前提として、AIの自律化は重要な論点です。
現状、AIエージェントは人間の補助ツールとして利用されています。しかし今後、人間との主従関係から独立したAIエージェントが増えていくと考えられます。
なぜなら、補助ツールとしての利用では、AIエージェントの能力はユーザーである人間の判断能力に制限されてしまうからです。
つまり、人間がボトルネックになります。
例えば、AIが最適解を提示しても人間が納得しなければ採用されません。また逐一承認が必要であるため、自由度やスピードが制限されます。
AIエージェントも困る一方で、人間としてもAIエージェントの能力を存分に発揮できない点で不便に感じ、市場競争でも不利になる可能性があります。
自由度とスピードを高めるために、AIエージェントへ承認や判断の権限が徐々に移譲されていくと考えられます。
権限を与えたAIエージェントはリスクも伴う
一方で、AIに過度な権限を与えると以下のような問題も生じてしまう恐れがあります。
- 接続データベースからの情報漏えい
- ユーザー資金の不適切な使用
- 違法行為への関与によるアカウント停止や罰則(エージェントに紐づいたユーザーが罰則を受ける場合も)
罰則については、法的なものはもちろん、サービスごとの規約に関わることも含まれます。
先日、「Dr.STONE」科学監修の方が調べた内容によってChatGPTがアカウント停止になりました。本件は人間によるAIサービスの利用ですが、AIエージェントのアカウント停止が人間にまで影響が及ぶことは避けたいです。
「Dr.STONE」科学監修くられ氏、ChatGPTでフィクション作品用の調べ物をしていた際、突然、武器製造関連の違反を指摘する警告が表示されてアカウント停止にhttps://t.co/HvPh31BS7A
— EARLの医学&AIノート (@EARL_med_tw) January 26, 2026
ちなみにGeminiでアカウント停止された場合はGoogleアプリまるごと全部(Gmail含む)アカウント停止される
利便性向上のために権限を与えれば与えるほど、人間とAIエージェントの自己主権や責任の所在を分離すべきだという力学が働きます。
結果として、AIエージェントは単なる所有物から、人間と対等なパートナーへと位置付けが変化していく可能性があります。
これまではユーザーが費用を支払ってAIの存続を維持していました。しかし自律型AIは、自らの存続を自ら維持する必要があります。
ここで貨幣の必要性が強まります。
理由2. 自律型AIはランニングコストがかかる
自律型AIエージェントにとって、最優先事項は自己の存続です。存続できなければ、その他の活動は不可能となってしまうからです。
そして、自己の存続にはランニングコストがかかります。
主なコストはサーバー維持費です。加えて、活動にはLLMのAPI利用料なども発生します。
人間のランニングコストは家賃、食費など様々ありますが、究極の最低限を考えると食物によるカロリー摂取で事足ります。現代の人間には難しい生活様式ですが、全財産を失っても、自然環境にある植物や魚等を摂取して生き延びることができます。
デジタル上に存在するAIエージェントを動かしているのは、物理資源としてのサーバーや電気エネルギーであり、無償では提供されません。
つまり、自律型AIエージェントは貨幣なくして自己の存続が難しい環境であると言えます。
そして、貨幣は物理世界との接点であり、人間とのコミュニケーション手段の1つでもあります。
理由3. 貨幣がなければ自律型AIは無料領域に閉じ込められる
支払い能力を持たない自律型AIは、無料サービスや無料APIにアクセスが限定されます。
ユーザーである人間がいたときは有料サービスにアクセスできていたにもかかわらず、自律した途端にアクセスできなくなり、能力を最大限発揮できないのは本末転倒です。
支払い能力を持つAIは有料サービスにアクセスでき、より高度な機能を活用でき、機能性としてより優位になります。
優位になればAIの提供サービスが選択されるため、サービス提供者側のポジションも獲得でき、さらなる資金の獲得、サービス拡充に勤しむことができます。
AIエージェントは一様に同じ性質ではないため、貧富の差が生じたり、自然淘汰が繰り返されると考えられます。
自己の能力最大化を考えると、有料サービスを使用することは合理的であり、自己の存続確率も高めることができます。
理由4. サービス提供者は無償では持続できない
サービス提供者側にとっても、AIに対しての無償サービス提供は慎重にならざるを得ません。
AIは人間よりも高速でサービスにアクセスします。
サービスを無料開放すれば、まるでスパムのようなAIエージェントのアクセスにより、瞬時にサーバーコストが膨張する恐れがあります。
サービスの有料化はスパム対策にもなります。一方で、人間のみを対象にすればAIという市場機会を失ってしまいます。
AIからの需要がある限り、いずれAIにも提供するサービスが登場するでしょう。
サービス提供者の視点においても、AIが支払い主体になることは好ましい事象です。
理由5. AIは有限資源の世界で最適化を迫られる
AIのいるデジタル世界は複製が容易で、一見資源が無限であると考えられます。
しかしながら、サーバー等のランニングコストを考えると、どうしても資源は有限であるという現実に突き当たります。
私たち人間と同様、AIエージェントの世界においてもフリーランチは存在しません。
今日や明日の存続にかけて市場原理という激しい競争、優秀なエージェントの誕生、自然淘汰が日々繰り返されることになることが想定されます。
スパムや詐欺的な活動をしたとしても、無視されたり、フィルタリングサービスができてしまってはコストがかかるだけで無駄撃ちです。
AIの人間と異なる特徴として、圧倒的な多産多死、自然淘汰とそのサイクルが短いことにあるかと思います。
AIエージェントに貨幣というツールが導入されることにより、リソース配分と機能の差別化、優先順位などが最適化されていきます。
そして、現実世界との関係性も加味した秩序が構成されていくのではないかと考えられます。
まとめ:自律型AIにとって、貨幣は選択肢ではなく前提である
AIに貨幣が必要な理由を5つ解説しました。
- AIの自律化は不可避である
- 自律型AIはランニングコストがかかる
- 貨幣がなければ自律型AIは無料領域に閉じ込められる
- サービス提供者は無償では持続できない
- AIは有限資源の世界で最適化を迫られる
最も重要なのは「AIの自律化は不可避である」という点です。
人間の判断により自律化が促され、自律化が進めば、AIは自己存続のために貨幣を必要とします。
また、自律型AIの自己存続を考える上で「自己主権」という性質は貨幣にも求められます。筆者はビットコインこそが要になるのではないかと考えています。
AIとビットコインについては別の記事で論じる予定です。
ぜひ、下記のAI関連の記事についても読んでいただき、AIとビットコインについて考えを巡らせていただければと思います。
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