数日前にベラルーシの大統領が公にビットコインのマイニングを推進していく意向について言及した、ということが記事になっていました。

Op Ed: Belarus And The Case For National Bitcoin Strategies
Belarusian President Alexander Lukashenko has suggested the country begin mining bitcoin with its nuclear power. What could this mean for the world?


他にも数か月前にイラン政府もマイニング産業を認可する、というような話もありましたが、今回はビットコインマイニングの地理的分散や政府の介入のトレンドについて紹介、簡単に考察してみます。

ビットコインマイニングは中国に集中している?

「ビットコインはマイニングが集権化しており、中国に支配されている」というような批判を一回は聞いたことがあると思います。それは本当なのでしょうか?

https://coinshares.com/assets/insights/Research/bitcoin-mining-network-june-2019-fidelity-foreword.pdf/

今年6月に発表されたデータになりますが、CoinSharesという会社の半期ごとのリサーチによれば、確かに現在のマイニングのハッシュレートの内約半分は中国の四川で発生していると推定されています。その他の主要なマイニングサイトとしては、カナダ、アメリカ、北欧などが挙げられていますが、この推定を信頼するとしたら確かにまだマイニングハッシュレートの半分以上は中国内にある、ということになります。前から言われていることですが、これは確かに一つの懸念/リスクと言えるでしょう。

ビットコインの電力消費は本当に悪か?

もう一つよく言われる批判として、ビットコインは大量の電力を無駄にしており、環境に悪いというものがあります。これは主にCO2排出による環境へのダメージということかと思いますが、色々な情報やデータを総合してみてもこの主張は的を得ていなさそうです。

同じくCoinSharesのレポートによれば現在のビットコインのマイニングの約75%は水力発電を中心とした再生可能エネルギーが利用されていると推定されています。ハッシュレートの半数が集中する四川では元々水力発電が盛んで、アメリカやカナダなどのその他のサイトも再生可能エネルギーが盛んな地域にマイニング施設が存在しています。

つまり、ビットコインはおそらく一般に想定されているより「クリーン」ということになります。これは当然偶然ではなく、水力発電など遠隔地で発電したエネルギーは蓄電や送電が難しく、発電出来る量に対して需要が少ない、という面があります。この利用用途がない格安の自然エネルギーがビットコインのマイニングのニーズと合致しており、マイニングのクリーン化現象が起きているようです。なので、「ビットコインのマイニングは環境に悪い」というそれらしい単純な批判がよくありますが、確からしい事実に基づいていない、ということは覚えておいた方が良さそうです。

再生可能エネルギーとビットコインセキュリティーの関係性

今まで活用が難しかった自然電力の利用はビットコインのセキュリティーへの示唆もあります。よくビットコインの価格が急落すると、マイナーの採掘コストと採算が合わなくなり、マイニングが止まり、ネットワークが止まってしまうリスクが指摘されます。

ただし、マイニングの大部分が追加費用の掛からない再生可能電力に支えられえているとしたら、価格が一定以上急落しもマイニングは続くのではないかと考えられます。この点では、「他にあまり利用用途がない」「追加費用がほとんどかからない」水力などの利用はビットコインのセキュリティーにとってもポジティブな面があります。

ビットコインマイニングと国家の介入

そして冒頭でも言及した通りビットコインのマイニングへの国家の介入というトレンドがあります。先日のベラルーシに加え、イラン、ロシアなども国家としてマイニングに積極的な姿勢を見せており、特に寒冷な気候や石油や自然エネルギーに富む国では今後もこういう傾向は増加することが予想されます。

また、ベネズエラでは国としてゴールドと同じ要領でビットコインを国のReserveに追加することを検討する、という報道が一部ありました。今後国や中央銀国が率先してビットコインを集める事態が来る、と以前から予想するビットコイナーも結構いるのですが、デジタルゴールドともいわれるビットコインが部分的にでもこの役割を果たすようになっても自分も別に驚きませんし、大いにあり得ると思っています。

このように国家が介入することでマイニングのゲームはさらに複雑になり、市場原理のマイナー同士の競争に加えて国同士の競争、補助金などの利用による促進などがありえます。これは政府がビットコインのシステム維持に少しでも力を持つことにもなるので、リスクや懸念もあると思いますが、政治的アジェンダを持つ国同士の競争で一国にマイニングパワーが集中するような事態は次第に解消されていく可能性があります。

結論

1.今の時点では確かに中国へのマイニングの集中が見られる
2.その理由として水力発電を中心とした安価な再生可能エネルギーへのアクセスがあげられる
3.ビットコインのマイニングの多くは水力発電に支えられており、マイニング=環境破壊、という単純な図式は間違い
4、再生可能エネルギー利用はビットコインのセキュリティー的にもプラスと見れる。
5.ロシアやイランなど今後も国家がビットコインマイニングに参入するトレンドが起こる可能性は高い
6.結果としてマイニングのハッシュパワーの地理的分散はさらに進む可能性がある。