ビットコインのUX改善の試み:Casa Keymaster, Bitrefill Thor, そしてアドレスを意識しない未来
ビットコインの広い普及には現在の比較的難しいUXを改善していく必要があるとの指摘があります。積極的に学んできたアーリーアダプターはともかく、秘密鍵の管理やLNへの参加、アドレスの使用などが一般人にとって難しいことは否めません。
今回の記事ではビットコインを利用する上でのUX改善の試みをいくつか紹介します。
シードレスなCasa Keymaster
誰でも簡単にセットアップできる既成フルノードを販売しているCasaという会社があります。
ビットコインのUX改善にこだわる彼らのもう1つの興味深い商品はCasa Keymasterというサブスクリプション制のマルチシグサービスです(2-of-3または3-of-5マルチシグの鍵の1つをCasa社が預かり、鍵の紛失や盗難に備える)。
Casa Keymasterは「どの鍵のシードもユーザーに表示されない」という特徴があり、この形態を「シードレス」と呼んでいます。
ウォレットをお持ちの方はご存知かと思いますが、シードというのは秘密鍵を導出することができる12単語あるいは24単語の羅列です。ハードウェアウォレットが壊れてしまっても、あるいはソフトウェアウォレットを変えても、このシードを控えてあれば別のハードウェアウォレットに乗り換えたり、秘密鍵自体を求めることができます。要するに、人間に読みやすい形式の秘密鍵です。
なぜCasaがシードレスにこだわったかについて、同社のウェブサイトに「芳しくないUXであるとともに、シードを正しく保管しなければセキュリティ上の懸念もしくは欠陥であるから」との記載があります。
実際、ハードウェアウォレット自体にはPINの入力が必要だったりしますが、秘密鍵自体であるシードが見られてしまうと元も子もありません。一度漏れてしまえば、大きな入金があるのを待ってから盗難される可能性もあります。
また、シードとハードウェアウォレットが同時に失われた場合はセルフGOXになります。多くの人はそのような危険なシードをハードウェアウォレットとともに自宅で管理していると考えられます。シードレスな設計にすることで、いかなる場合も資金の移動はマルチシグで行う必要があるサービスを構築し、盗難やセルフGOXの可能性を減らしているわけです。
また、マルチシグに使用する秘密鍵はハードウェアウォレットやスマホなどに分散しており、ユーザーが「秘密鍵自体」を意識する必要性がなくなります。
LNチャネル作成サービス Bitrefill Thor
先日の記事にも書きましたが、ライトニングのUX上の難しさの1つはチャネルの残高管理です。例えば、チャネルがあっても相手方に残高がなければそのままでは受け取りが出来ません。
そこで、いきなり受取可能なライトニングチャネルを作ってくれるサービス(Thor)を提供しているのがBitrefillです。
手数料を加えた金額を送金すれば、Bitrefillのノードから最大1600万サトシのチャネルを張ってくれます。ライトニングはまだUX面で課題が多いです。このMedium記事には課題と、その解決にあたっているプロジェクトがたくさん載っていて面白いです。
https://medium.com/breez-technology/lightning-at-the-end-of-the-tunnel-overcoming-bitcoins-ux-challenges-5738171c759e
アドレスをユーザーに意識させない未来
ビットコインとライトニングのウォレットを作っているBluewalletなど複数のウォレット開発業者が主張するのは、UX上アドレスやQRコードをコピペしたり確認したりする流れは将来的に省きたいということ。
確かに、コピペしたアドレスが正しいか毎回ヒヤヒヤしながら確認するのはストレスです。プライバシーとの兼ね合いもありますが、特に人気のモバイルウォレットが出てきたら、多くの人がユーザーネームを登録できるウォレットを使用するようになっていく可能性はかなり高いと思います。(同じウォレットアプリのユーザー間はユーザーネームでトランザクションが作れる、など)
おわりに
ビットコインのUX改善を目指すプロジェクトは徐々に増えてきています。最終的には一般ユーザーは普通の送金アプリを使う程度の簡単さで使えるようになると思いますが、Venmoなど今の送金アプリの形が正解とも限らないのでいろんな提案がなされることに期待しています。
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