今年の流行語大賞になるのではないかというくらいキャッシュレス決済の話題が尽きません。ツイッターを見ていると、乱発する○○ペイといくつかの事件を通して、交通系ICカードのすごさを実感しているユーザーが多いようです。

大手であるAliPayやLINE Payなどを含めて、○○ペイの多くはQRコード決済ですが、この機会にQRコード決済とNFC決済の違いと、ビットコインやライトニングのウォレットの将来について書きました。

QRコード決済:低コストで汎用的

QRコード決済の何よりの利点は導入コストの低さにあります。QRコードリーダー、すなわちカメラがあれば誰でも読み取ることができる上、QRコードを読み取ってもらう側は画面に表示するだけで、しかも画面がなければ紙に印刷したQRコードでもいいわけです。

つまりQRコードという技術自体はかなりローテクなもので導入ハードルが非常に低いです。取引IDなどのメタデータを加えたQRコードを都度発行するようなシステムの構築に多少お金がかかったとしても、運用面ではやはりスマホやPOS端末で十分に対応できるわけです。

さて、ビットコインやライトニングの世界でも、今のモバイルウォレットには必ずといっていいほど搭載されているのがQRコード表示・読み取り機能です。今ではほぼすべてのスマホが搭載されているので誰とでも使うことができるという長所を活かせるUIですが、1つ解決できない問題があります。

それは、小さなQRコードで表示できる情報量はかなり限られているということです。特にビットコインアドレスだけであれば割と普通の大きさのQRコードで事足りますが、ライトニング支払いのQRコードはかなり大きなものとなっており、確かに使えるのですが、うまく読み取れるまで数秒間かかったり、少しの汚れで正常に読み取れなくなる可能性があります。この点ではUXがQRコードに制約を受けているといえるでしょう。(なお、QRコードにはチェックサムがあるのでQRコードの汚れ起因のセルフGOXが起こる確率は非常に小さいです。)

余談ですが、JALやANAの航空券も最近はQRコードですが、マイレージカードを登録していればカードをタッチするだけでよく、保安検査場や搭乗口などで数秒早かった記憶があります。

NFC決済:最強UX?だが導入ハードルも

NFC決済とは超近距離の通信によって決済を行うシステムのことを指します。もともと早い時期からのおサイフケータイや交通系ICカードなどの導入で日本が世界でもトップランナーだったNFC決済ですが、日本市場(特に改札機向け高速通信という特殊用途)に向くFeliCaの開発に集中しすぎたあまり、世界では通信速度では劣るがより安価なNFC Type-AとType-Bが主流になっています。(※NFCという技術の中にType-A、Type-B、そして倍速のFeliCaという規格がそれぞれあります。)

その経緯から日本では決済系のサービスもFeliCaを採用してしまったため、一種のガラパゴス市場となりました。なので、最近は増えてきましたが、スマートフォンからFeliCaが使える端末がある程度限られていました。

また、読み取り端末の機種によって店員の操作方法がかなり違う場合があるようです。ライトニングのウォレットにとってメリットとなるのはその使いやすさだけではなく、通信速度の速さでもあります。

NFC Type-Aの通信速度は424kbpsなので、ライトニングのインボイスに最大値である639バイト(5112ビット)のメモが含まれていても一瞬で通信が終わります。一方このようなデータをQRコードで再現するには非常に大きなQRコードが必要で、ちゃんと読み取れるまで数秒かかる可能性が高いです。(エラー検知を最大限にした場合、およそ150ピクセル四方のQRコードになります)

ちなみに、交通系ICカード以外にも、今は非接触ICチップが入っているクレジットカードやデビットカードもありますし、Apple Payに登録してiPhoneから使うこともできるので、Suicaを礼賛しつつもこれらのカードが流行らないところが現金が好きな国民性なのでしょうか。

現実はQRコード、未来はNFC?

このように、一般の人もNFCが優れていると感じている上、もし導入ハードルが軽減されればQRコード決済よりNFC決済のほうが優位そうだと感じていただけたのではないでしょうか。

しかし、国内ではガラパゴス化の後遺症によりNFC決済の規格などの面での混乱が未だに続いているのが現状です。ビットコインやライトニングのウォレットの支払いUIが将来的にQRコードからNFCに切り替わっていくとすれば、それはおそらく海外から普及することになると考えています。